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2・2 レーダー装置の動作基準に関する勧告ほか
附属書17
決議 MSC.64(67)
(1996年12月4日採択)
1999年1月1日以後船に装備されるレーダーは、この動作基準に適合すること。
1999年1月1日より前に船に装備されるレーダーは、A.477(12)に適合すること。
 
MSC 67/22/Add.1 ANNEX 17
ANNEX 4(附属書4)
RECOMMENDATION ON PERFORMANCE STANDARDS FOR RADAR EQUIPMENT
レーダー装置の動作基準に関する勧告
 
1 まえがき
 すべてのレーダー装置は、決議A.694(17)にある一般要件に加えて、次の最低要件に適合すること。
2 一般
 レーダー装置は、他の海上船舶や障害物、浮標、海岸線、航路標識の位置を、自船との関係において、航海と衝突防止に対し援助するように表示を与えること。
3 レーダー
3.1 距離探知性能
 通常の電波伝搬状態における動作要件は、レーダーアンテナが水面上15mの高さに装備されているとき、海面反射のない状態で、次の物標を明白に表示するものであること。
.1 海岸線
 60mまで隆起している陸地は、20浬において
 6mまで隆起している陸地は、 7浬において
.2 海上物標
 5,000 総トンの船は、そのアスペクトにかかわらず 7浬において
 長さ10mの小船は、3浬において
 約10m2の有効反射面積を持つ物標例えば航海用浮標などは、2浬において
3.2  最小探知距離
 3.1.2に述べたような海上物標は最小50mの距離から1浬まで、距離範囲切換器以外の制御の調整を変更しないで、明白に表示すること。
3.3 表示
3.3.1 この装置は外部拡大装置を使用しないで、次の値以上の方位目盛内の最小有効直径を有する昼間表示器を備えること。
.1[150]*総トン以上、[1,000]*総トン未満の船には、180mm
.2 [1,000]*総トン以上、[10,000]総トン未満の船には、250mm
.3 [10,000]総トン以上の船には、340mm
3.3.2 この装置は、次の距離範囲の表示をもつこと。
0.25、 0.5、 0.75、 1.5、 3、 6、 12、 24浬
3.3.3 これらより大きいあるいは小さい距離範囲を附加されていてもよい。
3.3.4 表示中の距離範囲と固定距離リングの間隔距離は、常時明白に表示されていること。
3.3.5 レーダービデオの有効表示区域の中には、航海と衝突防止にレーダー表示を利用することに関する情報、例えば物標識別標やベクトルのような物標に関連する、又はレーダー表示に直接関係ある、必要な情報だけが表示されること。
3.3.6 レーダースケール(レーダービデオ)の起点は、自船からとし、直線的で遅延しないこと。
3.3.7 マルチカラーの表示も許されるが、次の要件に適合すること。
.1 物標の映像は同じ基本色であって、反射の強さによって違った色で表示してはならない。
.2 附加的な情報は、違った色で表してもよい。
3.3.8 レーダーの映像や情報は、あらゆる環境条件のもとで読み取ることができること。もし周囲の明るさが非常に強くて表示器の作動を容易にするために遮光器が必要な場合は、その取付けと取外しが簡単にできる手段がなされていること。
3.3.9 System Electronic Navigation Chart(SENC)情報の中の選択されたものを、レーダー情報を覆い隠したり、不明りょうにしたり、劣化させたりしないような方法で表示してもよい。もしSENC情報がレーダー表示器に利用されるならば、少なくとも海岸線、自船の安全水深線、航行上の危険物、固定又は浮揚の航行援助設備を含むこと。航海者が自分に役立てるため、表示するように要求したSENCのそれらの部分を選択できること。
(訳者注:このPara.3.3.9 はNAV42でNAV41/23の原案を修正したものである。)
3.3.10 SENCの選択された部分の重畳に対しては、次のことに留意すること。
.1 座標系管理
表示された情報は、相互に関係づけられていて、同じ測地系で同じ座標系にあるということが確かめられるような座標系管理が必要である。
.2 表示区域
全有効表示区域は、利用可能なレーダーとSENC情報を含むこと。
.3 重畳合致と調整
探知可能な原因による、海図像とレーダー像との不一致が認められる場合は、手動調整ができること。いかなる手動調整もそれが作動中である限り明白に指示されること。リセットは、簡単な方法で可能であること。
.4 表示の優先度
レーダー情報の表示は、最優先であること。
.5 安定性
レーダー像、ARPAベクトル、SENC情報は適切な安定が可能であること。
.6 レーダー/ARPA及びSENCの独立性
6.1 SENC情報は、レーダー画像に有害な影響を与えないこと。
6.2 レーダー/ARPA情報と、SENC情報とは明白にそれと分かるように認識可能であること。
6.3 いずれか一つが動作不良であるとき、他の動作に影響を与えないこと。
3.3.11 使用されている周波数帯は、使用者に対し指示されていること。
3.4 距離測定
3.4.1 距離測定のために、電子的固定距離環が次のように備えられていること。
.1 0.25、0.5、0.75浬の距離範囲では少なくとも2つ、そして6つ以下の距離環を備えること。またその他の義務的距離範囲では、6つの距離環を備えること。
.2 オフ・センタ機能がある場合は、同じ距離間隔の距離環を附加すること。
3.4.2 電子的可変距離マーカが、距離環形式で距離の数字表示を伴って備えられること。この表示器には、他のデータを表示してはならない。 1浬未満の距離に対しては、小数点の前にただ一つの0を附けること。附加的の距離マーカがあってもよい。
3.4.3 固定距離環と可変距離マーカは、ある物標の距離を使用中の距離範囲の最大距離の1%、あるいは30mのいずれか大きい値以下の距離誤差で測定することができること。
3.4.4 オフ・センタの場合でも、この精度であること。
3.4.5 固定距離環の太さは、船首方位線の最大許容太さ以下であること。
3.4.6 すべての距離範囲において、可変距離マーカはいかなる場合でも 5秒以内に所要の精度で設定されること。使用者によって設定される距離は、距離範囲の変更に伴って自動的に変わってはならない。
3.5 船首方位指示
3.5.1 その船の船首方位が、最大±1度以下の誤差で表示器上に線で指示されること。表示された船首方位線の太さは、レーダー表示の周辺の最大距離において0.5度以下であること。船首方位線は、走査の起点から表示の周辺まで延びていること。
3.5.2 船首方位線を消すスイッチは、ヘッド・ライン・オフの状態に止まったままにならないような構造であること。
3.5.3 船首方位線は、方位目盛の上まで表示されること。
3.6 方位測定
3.6.1 表示器上に反射映像を表したすべての物標の方位を 5秒以内に得るために、方位の数字表示を伴った電子的方位線(EBL)が備えられていること。
3.6.2 EBLは、表示の周辺に表れた反射の物標の方位を±1度以下の最大誤差で測定できるものであること。
3.6.3 EBLは、映像面の上で船首方位線と明確に見分けられるような方法で表示されること。それは船首方位線より太くないこと。
3.6.4 EBLの明るさを加減することが可能であること。この加減は、他のマーカの強さと別にあるいは一緒にできること。EBLを映像面の上から完全に取り去ることができること。
3.6.5 EBLは、左右両方向に連続的にあるいは0.2度以下のステップで、回転可能であること。
3.6.6 EBLの方位の数字表示は、小数以下1位を含み少なくとも4字で表示されること。EBL数字表示は、その他のデータの表示に使用されないこと。指示された方位が相対方位であるか真方位であるかを示す明確な識別表示があること。
3.6.7 表示画面の周辺には、方位目盛が備えられていること。この方位目盛は、リニアでもノンリニアでもよい。
3.6.8 方位目盛は、少なくとも5度ごとに区切りマークがあり、5度と10度の区切りマークは明白に見分けられること。少なくとも30度ごとの区切りを明白に識別できるように、数字が付けられていること。
3.6.9 船首からの相対方位と北からの真方位が測定できること。
3.6.10 最小二本の独立した線からなる平行線を備えること。
3.6.11 EBLの起点を、自船から離して、有効表示画面上のいかなる点にも移すことができること。EBLの起点を画面上の自船の位置に速い簡単な操作で戻すことができること。EBLの上で可変距離マーカを表示できること。
 

*:これらの総トン数は、目下検討中の改正SOLAS第V章のレーダー搭載要件と整合されるべきである。従って[]内については未決定であることを示す。







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