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3.7 分解能
3.7.1 距離分解能
 この装置は、1.5浬の距離範囲において、等方位で距離にして40m以下離れている二つの同じような小物標が、その距離スケールの50%ないし100%の距離にあるとき、別々に別れた映像として表すことができること。
3.7.2 方位分解能
 この装置は、1.5浬の距離範囲の50%ないし100%の距離の等距離にある二つの同じような小物標が、方位にして2.5度以下離れているとき、別々に別れた映像として表すことができること。
3.8 縦動揺又は横動揺
 船が±10度のローリング又はピッチングをしていても、距離測定能力は3.1と3.2の規定に適合するような動作性能の装置であること。
3.9 アンテナ・スキャン
 スキャンは、時計回りで連続的で、360度の方位を通して自動的であること。アンテナ回転速度は、1分間20回転以上であること。この装置は、100ktまでの相対風速においても充分にスタートし、かつ作動すること。別のスキャン方法も許されるが、その動作能力は劣ってはならない。
3.10 方位安定
3.10.1 ジャイロ・コンパスあるいは同等の性能の装置によって、表示を方位安定させるような方法を備えること。コンパスの伝達装置の同期精度は、1分間に2回転の回転速度のもとで0.5度以内であること。
3.10.2 この装置は、方位安定が動作していないときは、ヘッド・アップの非安定方式で充分に動作すること。
3.10.3 一つの表示方式から他の表示方式への切換えは、5秒以内ででき、必要な方位精度も保たれること。
3.11 作動確認
 この装置の使用中に、装備したときに得られた校正基準に比べて、作動に大きな低下を来していることが直ちに分かるような手段を備えること。物標が存在しないときでも、正しく同調していることが分かるような手段を備えること。
3.12 クラッタ除去装置
3.12.1 海面反射や、雨その他の降下物、雲や砂塵からの無用の反射映像を抑制する適切な手段を備えること。このクラッタ抑制制御は、手動で連続的に調整可能であること。これに加えて、自動クラッタ抑制制御を備えてもよいが、その場合は、この制御のスイッチ・オフが可能であること。
3.12.2 動作要件は、海面反射が存在しても、レーダー・アンテナが海面上15mの高さに装備されているとき、標準リフレクタを3.5浬まで明白に指示することである。
3.13 動作
3.13.1 利用性
 この装置は、停止の状態からスイッチを入れた後4分間以内で、完全な動作状態になること。
 この装置が15秒以内で動作状態となるようなスタンバイ状態を備えること。
3.13.2 制御
 制御器類は、近づきやすく、その識別と使用が容易であること。1
 この装置は、主表示器の位置からスイッチがオン・オフされ、かつ運用できるようになっていること。
 固定距離環や可変距離マーカや電子的方位線の明るさの調節、並びにそれらの消去が、それぞれ独立にそして完全に表示器からできること。
 附加的な合成情報(例えば、物標識別、ベクトル、航海情報)を持ったレーダーにあっては、この附加的な情報を画面から消去できる手段を備えること。
3.14 レーダービーコンやSARTに対する動作
3.14.1 レーダーは、レーダービーコンからの信号を探知して表示できること。また、9GHzのレーダーは、捜索救助用レーダー・トランスポンダからの信号を探知して表示できること。
3.14.2 9GHz帯のすべてのレーダーは、水平偏波モードで作動できること。もし他の偏波モードが使用できる場合は、表示器にそのいずれを使用しているか明確な表示があること。
3.14.3 レーダービーコンやSARTをレーダー画面に表さないような信号処理器の場合は、そのスイッチを切ることができること。
3.15 表示モード
3.15.1 この装置は、相対運動と真運動表示ができること。
3.15.2 レーダーの起点は、表示画面の半径の少なくとも50%最大75%までオフセットできること。
3.15.3 レーダーは、対水安定及び対地安定ができること。対水又は対地安定の場合にも、表示の精度と分解能は、この作動基準に要求されるものと少なくとも同等であること。
3.15.4 レーダーへその船の対水速力を供給する速力航程測定装置(SDME)は、船首及び船尾方向の速力を供給できること。
3.15.5 対地安定のための入力は、2次元であること。それは、SDMEからか、電子的位置測定装置からか、レーダーで固定物標を追跡することから得られる。速力精度は、決議A.824(19)の要件に適合すること。
3.15.6 使用中の入力の型及び安定の種類は、表示されること。
3.15.7 その船の速力は、手動で0ktから30ktまで0.2kt以下のステップで入力できること。
3.15.8 手動で、セット・アンド・ドリフトを入力する設備があること。
3.16 外部磁界からの干渉
 船上に装備して調整した後、この作動基準に述べた方位測定精度は、地球磁界の中で船の位置が変化しても再調整することなく保たれること。
3.17 レーダー装備
 アンテナを含みレーダーの装備は、そのレーダー装置の動作が本質的に害されないような方法でなされること。装備に関する指針が製造者の文書によって与えられること。
3.18 故障の警告と状態の表示
 使用者に与えられた情報が不良であるという検出可能な理由があるならば、適切で明白な警告が使用者に与えられること。
 

1:IEC936及び IEC945参照







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