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第2章 航海用レーダー等に関するSOLAS条約
 前章に記したSOLAS条約の、航海用レーダー等に関する性能要件が示してある第5章第12規則の和訳を、抜粋して以下に示す。
 
2・1 第5章 第12規則 船舶に備える航行設備
(a)この第12規則の適用上、船舶について「建造された」とは、次のいずれかの建造段階をいう。
(i)
キールが据え付けられる段階
(ii)
特定の船舶と確認し得る建造を開始した段階
(iii)
当該特定の船舶について、50トン又は全建造材料見積り重量の1パーセントのいずれか少ないものが組み立てられた段階
(b)(i)総トン数150トン以上の船舶には、次のものを備える。
(1)
基準磁気コンパス((iv)に規定する場合を除く。)
(2)
操舵磁気コンパス。ただし、(2)の規定により要求される基準コンパスで得られる船首方位情報を利用することができ、かつ、主操舵場所で操舵手が明確にこれを読み取ることができる場合は、この限りでない。
(3)
基準コンパスのある場所と通常の航行制御場所との間の主管庁が認める適当な連絡装置
(4)
360度にわたる水平の弧について実行可能な限り精密に方位を測定する装置
(ii)
(i)の磁気コンパスは正確に調整するものとし、また、残留自差表又は残留自差曲線は、常に利用することができるようにしておく。
(iii)
(i)(2)の操舵コンパス又はジャイロ・コンパスを備えていない場合には、基準コンパスと交換することができる予備の磁気コンパスを備える。
(iv)
主管庁は、個々の船舶又は船舶の種類について、航海の性質、陸地との近接状態又は船舶の形態により基準コンパスを必要としない場合であって、基準磁気コンパスを要求することが不合理又は不必要であると認めるときは、適切な操舵コンパスがすべてのときに備えられていることを条件として、この要件を免除することができる。
(c)総トン数150トン未満の船舶は、主管庁が合理的かつ実行可能と認める場合に限り、操舵コンパスを備え及び方位を測定する手段を有しなければならない。
(d)1984年 9月1日以後に建造された総トン数500トン以上の船舶には、次の要件を満たすジャイロ・コンパスを備える。
(i)
マスター・ジャイロ・コンパス又はジャイロ・レピータは、主操舵場所で操舵手が明確に読み取ることができるものでなければならない。
(ii)
総トン数1,600トン以上の船舶には、360度にわたる水平の弧について実行可能な限り精密に方位を測定するため、ジャイロ・レピータを備え及び適切に配置する。
(e)1984年9月1日前に建造された国際航海に従事する総トン数1,600トン以上の船舶には、(d)に定める要件を満たすジャイロ・コンパスを備える。
(f)非常操舵場所のある船舶には、少なくとも当該場所に船首方位情報を中継するための電話その他の連絡装置を設ける。更に1992年2月1日以後に建造された総トン数500トン以上の船舶には、非常操舵場所に目で見えるコンパスの表示をするための装置を設ける。
(g)1984年9月1日以後に建造された総トン数500トン以上の船舶、及び1984年9月1日前に建造された総トン数1600トン以上の船舶には、1のレーダーを設ける。当該レーダーは1995年2月1日以後は、9GHzの周波数帯で運用することができるものとする。更に国際航海に従事する旅客船(その大きさを問わない。)、又は総トン数300トン以上の貨物船には、同日後は、9GHzの周波数帯で運用することができる1のレーダーを設ける。総トン数500トン未満の旅客船及び総トン数300トン以上500トン未満の貨物船については、これらの船舶の設備が捜索及び救助用のレーダー、トランスポンダと完全に両立する場合には、主官庁はその裁量により(r)の規定の適用を免除することができる。
(h)総トン数10,000トン以上の船舶には、それぞれ独立して作動し得る2注)のレーダーを設ける。これらの2のレーダーのうち少なくとも1は、1995年2月1日後は、9GHzの周波数帯で運用することができるものとする。
(i)レーダーの表示のプロッティングをするための設備を(g)又は(h)の規定によりレーダーを設けることが要求される船舶の船橋に備える。1984年9月1日以後に建造された総トン数1,600トン以上の船舶については、プロッティング設備は、少なくとも反射プロッターと同等に有効なものでなければならない。
(j)(i)次の船舶には、自動衝突予防援助装置を設ける。
(1)
1984年9月1日以後に建造された総トン数10,000トン以上の船舶
(2)
1984年9月1日前に建造されたタンカー。このタンカーには、次の期日までに設ける。
(aa)
総トン数40,000トン以上のタンカーについては、1985年1月1日
(bb)
総トン数10,000トン以上40,000トン未満のタンカーについては、1986年1月1日
(3)
1984年9月1日前に建造された船舶でタンカー以外のもの。この船舶には、次の期日までに設ける。
(aa)
総トン数40,000トン以上の船舶については、1986年9月1日
(bb)
総トン数20,000トン以上40,000トン未満の船舶については、1987年9月1日
(cc)
総トン数15,000トン以上20,000トン未満の船舶については、1988年9月1日
(ii)
1984年9月1日前に設けられた自動衝突予防援助装置で機関が採択した性能基準に完全には適合しないものについては、主管庁の裁量により、1991年1月1日まではこの(j)に定める装置として認めることができる。
(iii)
主管庁は、船舶に自動衝突予防援助装置を設けることが不合理又は不必要であると認める場合又は船舶がその装置を設けることが要求される日から2年以内に業務を恒久的に終了する場合には、当該船舶について、この(j)に定める要件を免除することができる。
(k)1980年5月25日前に建造された総トン数1,600トン以上の船舶及び同日以後に建造された総トン数500トン以上の船舶であって、国際航海に従事するものには、音響測深装置を設ける。
(l)1984年9月1日以後に建造された国際航海に従事する総トン数 500トン以上の船舶には、速力及び距離を表示する装置を設ける。(j)の規定により自動衝突予防援助装置を設けることが要求される船舶には、対水速力及び対水距離を表示する装置を設ける。
(m)1984年9月1日前に建造された総トン数1,600トン以上の船舶及び同日以後に建造された総トン数500トン以上の船舶には、舵(だ)角及びプロペラの回転速度を示す表示器並びに当該船舶が可変ピッチ・プロペラ又はサイド・スラスターを有する場合には、そのピッチ角及び作動状態を示す表示器を設ける。これらの表示器は、操船場所から読み取ることができるものでなければならない。
(n)1984年9月1日以後に建造された総トン数10,000トン以上の船舶には、回頭角速度計を設ける。
(o)(d)から(n)までに規定する装置を良好な作動状態に維持するため、あらゆる合理的な措置をとる。もっとも、第I章第7規則(b)(ii) 第8規則及び第9規則に規定する場合を除くほか、装置が十分に機能しないことをもって、船舶の航行を不可能にする理由又は修繕のための施設を容易に利用することができない港に停泊中の船舶の出港を遅らす理由としてはならない。
(p)国際航海に従事する総トン数1,600トン以上の船舶には、方向探知機を設ける。主管庁は、船舶についてこの装置を設けることが不合理又は不必要であると認める場合には、その船舶の予定された航海における使用に適した他の無線航行設備を設けている場合には、この要件を免除することができる。
(q)1980年5月25日以後、1995年2月1日前に建造された国際航海に従事する総トン数1,600トン以上の船舶には、1999年2月1日まで、無線電話遭難周波数でホーミングするための無線設備を設ける。
(r)この第12規則の規定により設けるすべての設備は、主官庁が承認する形式のものでなければならない。〜以下略〜。
 

注)機関が決議A.477(XII)において採択したレーダーの性能基準に関する勧告第4項を参照すること。







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