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(2)AM波の変調と復調(検波);
 トランジスタやダイオード等の素子を変調や検波に適する電圧を加えた動作点において搬送波と信号波を加えるとAM変調される。図2・10に信号波をコレクタ、搬送波をベースに加えるコレクタAM変調器を示す。
 
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図2・10 コレクタAM変調器
 
 変調された電波から信号成分を取り出す操作を復調又は検波という。図2・11にダイオードによるAM検波回路と波形を示す。DSBAM波を入力すると信号がエンベロープ波形として検波出力される。
 
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図2・11 ダイオードAM検波器と波形
 
(3)周波数変調FM波とFM検波器;
 発振器の周波数を信号で変化させるとFM波が得られる。可変容量ダイオードやリアクタンストランジスタ回路などがFM変調器に用いられる。LとCの共振が周波数により変化することを利用した回路とトランジスタやダイオードを組合せた種々のFM検波回路が実用化されている。
 
 送信機に要求される条件は
(1)送信周波数が安定して変動が規定した帯域内に納まること
(2)送信電力が規定した最大及び最小値の範囲内に納まること
(3)不要波成分(スプリアス)発射が小さいこと
(4)アンテナとの整合がとれて規定の放射電力と指向特性が確保できること
(5)誤発射防止対策と人体への保護対策が採られていること
等である。
 図2・12にDSBAM送信機の構成例を示す。図は高電力変調方式で、信号は電力が高い最終段に加えられてAM変調されるのでひずみが少ない高品質な変調信号が得られる。
 小型送信機等には搬送波の発振器に近い前段の回路に信号を加えてAM変調する低電力変調方式が低価格のため用いられている。
 
図2・12 DSBAM送信機(高電力変調方式)の構成
 
 受信機に要求される条件は
(1)感度が良いこと(最小受信可能電力が小さいこと)
(2)選択度が良いこと(混信がないこと)
(3)忠実度が良いこと(音質がよいこと)
(4)安定度が良いこと(電源電圧変動、周囲温度変動等の影響がないこと)
等である。図2・13に示すスーパーヘテロダイン方式受信機が一般に用いられている。
 
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図2・13 スーパーヘテロダイン受信機の構成
 
 空中線からの入力電波は高周波増幅されてから周波数混合器(ミキサー又は第1検波器ともいう)において第1局部発信機からの局部発振周波数と混合されて、その差の周波数成分(中間周波数成分)が取り出されて、中間周波数増幅されてから更に第2検波器で信号成分を復調して出力を得る方式である。入力の高周波を一度低い中間周波数に変換して増幅してから信号を復調できるので高性能な受信機が実現できる。
 第2局部発信器は音声を含まないモールス信号(A1電波という)を受信するときに使用する回路でモールス信号を音として耳で聴き取るための回路である。







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