2・2・2 発振回路
交流や高周波のような電圧を発生するには増幅器と共振特性を持つ帰還回路の組合せを用いる。図2・4に発振器の原理図を示す。
図2・4 発振器の原理図
Gは増幅器の増幅度、βは帰還回路の増幅度である。増幅器出力を帰還回路を通して入力に戻すと図2・4の合成増幅度Aは
の条件のときA=∞となり回路が発振して電圧を発生する。帰還回路にLC回路や水晶回路をいれるとその共振周波数の発振電圧を発生できる。図2・5に水晶発振回路を示す。(a)はコルピッツ回路でトランジスタ出力を水晶L3を通して帰還している。(b)はハートレイ回路で出力をコンデンサC3で帰還して水晶L1で共振させている。
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図2・5 水晶発振回路
音声やビデオ等の信号を遠くに届けるには信号を高周波電圧にのせる必要がある。この操作を変調と呼び、信号を変調波、高周波を搬送波という。変調する回路を変調器と呼び送信機内に組み込まれる。変調された電波を受信して信号成分を取り出す操作を復調と呼び受信機内に組み込まれる。
図2・6にアナログ変調された波形を示す。(a)変調信号で音声やビデオ等のアナログ電圧である、(b)振幅変調波(AM波という)で信号に対応して振幅が変化する、(c)周波数変調波(FM波という)で信号に対応して周波数が変化する、(d)位相変調波(PM波という)で信号に対応して搬送波の位相が変化する。FM波と比較すると波形の粗密の位置がずれているだけで全体としてはFMとPMの波形は区別がつかない。
(1)変調度と変調率
搬送波は車のトラックで、信号は荷物に対応する。搬送波と信号の比を変調度と呼びトラック上の積み荷の割合に相当する。
振幅変調波の変調度mは
AM波の変調度m=信号の強さ/搬送波の強さ (2・9)
mを%で表すときを変調率と呼び
変調率m=m×100% (2・10)
となり、変調のひずみを少なくするため変調度mは1より小さい値にする。
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図2・6 アナログ変調波形
図2・7にAM変調波形と変調度の関係を示す。
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図2・7 AM変調波と変調度
搬送波EcSin2πfct、信号波EaCos2πfat、変調度mとするとAM波は
で表せる。図2・8の周波数スペクトルに示すように信号周波数faのエネルギーが上側波帯と下側波帯の両方に含まれているので両側波帯振幅変調DAM波と呼ぶ。
図2・8 DSBAM
Double Side Band AM
図2・9 SSBAM
Single Side Band AM
図2・9に単側波帯振幅変調SSBAM波の周波数スペクトルを示す。両側波帯の片側のみをフィルターで取り出す。図では上側波帯(USB)のみを含む場合を示す。さらに搬送波の電力を低減した低減搬送波SSBや完全に取り去った抑圧搬送波SSBも変調効率を上げるために使用される場合が多い。
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