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2・1・4 安全上の注意
 試験を行うに際しては、安全について細心周到な注意を払うとともに、十分な安全対策を施し、特に電気災害は重大な災害につながる傾向にあることを十分に認識しておくべきである。
 次に安全対策の幾つかについて述べる。
(1)試験を行うグループの責任者、担当者を明らかにして、関係部署との連絡を常に緊密にできるようにする。
(2)責任者は試験員に作業内容・方法・順序・分担・日程・安全注意事項などをよく理解させ、毎日の作業・試験項目が常に分かるようにする。
(3)安全標識を必要箇所に掲げる。一般には標識の種類と設置例はJIS Z 9104−95(安全標識)を参照すること。
(4)通電している機器、特に変圧器のような静止機器には通電中の標示として赤電球の点滅をさせるとよい。このことは耐電圧試験中においては、特に必要である。
(5)電気機器の周囲には、安全柵やロープなどを設け、試験作業区画を明らかにしておく。
(6)非常の事態に備え、消化器・消火砂・消火栓・出入口・配電盤・担架などの置いてある場所、緊急連絡先を全員が確認しておく。
(7)作業を行う場合には、原則として、安全帽を着用し、腰手ぬぐいやネクタイは回転体に巻きこまれるおそれがあるので着用してはならない。また裸体に近い状態で作業することは避けること。
(8)試験前に電源設備、被試験機との直結状態、負荷設備、関連設備の状態を点検し、危険な箇所を発見したら即刻処理する。
(9)導電体部分の作業を始める際は検電器で通電していないことを確かめる。
(10)配線はなるべく負荷先端から始め、電源への接続は最後に行う。
(11)VT、CTの取扱い及び接続は入念に行い、特にVTの二次回路は他の回路と混触しないように注意し、その一端を接地する必要がある。
(12)電気機器は完全に所定の接地が行われていることを確認する。特に、軸電流防止板やゴムクッションのあるもの、あるいはフレームが球形のため試験用木枠上で試験するものは、接地を忘れがちであるから十分注意する。
(13)導電部分の露出箇所はできる限り絶縁する。もし、絶縁が行えない場所は安全保護柵かロープなどで人が近づかないように危険標識を行う。
2・1・5 試験に必要な計測器
 電気機器の試験を行う際必要な計器には、一般指示電気計器・計器用変成器・温度計などのほか、種々の特殊計器が挙げられる。特に、迅速・正確に試験を進めるには、どのような計器・装置を使えばよいのかを検討し、またその動作特性・確度及び使用方法を熟知することが必要である。
 次に一般に使用される計器について、必要な注意事項を簡単に述べる。
(1)指示電気計器(JIS C 1102−1〜9−97)
 電圧計・電流計・電力計・周波数計・力率計などがあるが、通常の試験には精密測定用(0.5級、許容差は定格値の±0.5%)計器を使い、規格に示した許容範囲を十分確認できるものとする。試験に使う計器は正確に校正したものでなければならない。
(2)計器用変成器
 電力を直接指示計器で測定できるのは200V、10A程度までであり、通常、計器用変圧器(VT)及び変流器(CT)を使って測定する。
 なお、変圧器や誘導電動機の突入・始動電流の測定や電気機器の保護継電器の動作試験などでは、CTを過電流で使用するが、試験に当たっては、使用するCTの規則や規格に定められた定格過電流強度に注意する必要がある。
 長期間末使用の計器を使うときは絶縁劣化のおそれがあるから、十分に点検・調査したのち使うようにする。
 VTを使う際、二次側の非接地線に電灯回路の非接地線がなんらかの原因で接触すると、高電圧側に高電圧を誘起するので高電圧側はもちろん、低電圧側の配線も慎重に行い、なるべく他の回路と混接しないよう区別する必要がある。
 CTの二次側の試験用配線は、なるべく接続箇所をなくし、絶対に開放しないようにしなければならない。
(3)オシログラフ、オシロスコープ
 被測定回路の電圧・電流の波形の観測、過度現象の測定にはオシログラフ、オシロスコープなどを使うことが多い。
(4)回転速度測定計器
 普通、回転速度の測定計器には次のようなものがある。
(a)機械式回転計
 単純歯車式、遠心力式、時計仕掛式などがある。
(b)電気式回転計
 直流・交流発電機式回転計と、最近多く使われる電磁式又は光電式ピックアップを使ったトランジスタ式ディジタル回転計がある。
(C)その他の回転計
 ストロボスコープ法によるものがあるが、誘導電動機の回転速度試験などは電源周波数に対するすべりを正確に測定するために、直流電圧計法・受話器法などがある。
(5)ゲージ類
 検査に使うゲージ類については指定された機関の認定を受けたものでなければならない。
(6)材料試験機
 材料試験に使う試験機は指定された機関の認定を受けたものでなければならない。
(7)その他の測定器
 
表2・1 被測定量と測定器
被測定量 測定器
温度 棒状温度計、ダイヤル温度計、埋込温度計 熱電対温度計、抵抗測定器(抵抗法)
振動 携帯用振動計、周波数分析器
軸ぶれ ダイヤルゲージ
騒音 指示騒音計、周波数分析器
風量 羽根車式、熱線風速計
水・油量 水量計、容器とストップウォッチ
絶縁抵抗 メガー







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