日本財団 図書館


3・12 船舶検査の方法(国土交通省 海事局 海検)
B編 一般の船舶及びこれに備える物件に係る検査
第1章 第1回定期検査等
 
1.1.1 船舶について初めて行う定期検査、製造検査及び製造に係る物件の予備検査並びに、新たに船舶の備え付け又は新替えする物件の検査(以下「第1回定期検査等」という。)の方法は、本章による。
1.6 電気設備
1.6.1 防爆型の電気機器
 防爆型の電気機器を承認するとき、JIS F 8004「船用耐圧防爆電気器具通則」又はJIS C 0903「一般用電気機器の防爆構造通則」等当該機器に関するJIS規格(注)にもとづき爆発試験、引火試験等の試験を行い、それら規格に適合していることを確認すること。ただし、附属書A−1に掲げる公的機関が認定又は承認したものは、確認のための前記爆発試験、引火試験等を省略して差し支えない。
 承認後の検査の方法は、水圧試験(耐圧防爆型のものに限る。)及び完成品について構造検査を行うこと。
 なお、次の1.6.4及び1.6.5に該当するものは、それぞれの試験を行うこと。
(注JIS F 8009船用防爆電気機器一般通則、JIS C 0930電気機器の防爆構造総則参照)
1.6.2 防水型及び水中型の電気機器
 防水型及び水中型の電気機器を承認するときは、船舶検査心得5−3船舶設備規程171.0に適合することを確認すること。
1.6.3 特殊な構造の電気機器
 特殊な構造の電気機器にあっては、承認試験及び承認後の検査につき、意見を添えて首席船舶検査官に伺い出ること。
1.6.4 回転軸の材料試験
 設備規程第180条の材料試験は、船舶検査心得6−1船舶機関規則附属書〔2〕材料の基準及び船舶検査の方法1.4.2によること。
1.6.5 完成検査
 発電機、電動機、変圧器、配電盤又は制御器にあっては、それぞれ次に掲げる事項に留意のうえ、設備規程第181条に定める完成検査を行う。ただし、定格出力が1kW又は1kVA未満の小型電気機器及び居住性に直接関係ある電気機器であって防爆型、水中型、防水型等特殊な構造のものを除くものにあっては、製造者の試験成績書の確認にとどめて差し支えない。
−1. 発電機又は電動機
 温度試験は、定格電流を通じ、連続定格のものにあってはその温度が一定になるまで、短時間定格のものにあっては定格時間まで行う。
 過負荷耐力試験は、温度試験に引続き行う。
 過速度耐力試験は、無負荷状態で行う。
 特性試験及び並行運転試験を行う。
 絶縁抵抗試験は、温度試験の前及び直後において、線間及び電線と大地との間に所定の電圧を加えて行う。
−2. 変圧器
 絶縁耐力試験は、一次側、二次側をそれぞれの定格電圧に従って別に試験電圧を定めて行う。ただし、高い方の試験電圧でまとめて行ってもよい。
 誘導絶縁耐力試験は、電源の周波数が変化した場合に、変圧器が短時間誘起電圧並びにヒステリシス損及び渦電流損による鉄心の温度上昇に耐えることを確かめる。
 短絡試験は、一番機についてのみ行い、以後は一番機の成績書の確認にとどめてよい。
−3. 配電盤又は制御器
 温度試験は、定格電流のもとで規定の値を超えないこと。
 動作試験は、計器、しゃ断器、開閉装置等の動作が正常であることを確認すること。
1.6.6 効力試験
 船内すえ付け後、次に掲げる試験を行い、その効力を確かめる。
 なお、検査着手前に、搭載電気機器ごとに試験、検査要領をあらかじめ提出させて、事前に打合せを十分実施すること。
 ただし、「船舶電気ぎ装工事事業場の施設及び能力の基準」に適合すると認められた事業者が行った電気ぎ装工事については、検査着手前に試験、検査要領を提出させることを要しない。
−1. 非常電源用発電機
 始動試験(設備規程第299条)
−2. 常用発電機(非常電源用発電機を含む。)
(1)過速度防止装置そのほかの安全装置の動作試験
(2)電圧変動率試験及び並行運転試験
(3)負荷試験
−3. 配電盤上の開閉器、しゃ断器及び継電器等(区電盤、分電盤についても準ずる。)
(1)負荷開閉器、しゃ断器の実負荷通電試験、手動開閉試験及び設定電流の確認等を行う。
(2)発電機用しゃ断器(気中しゃ断器)及び逆電流(又は逆電力)の引外し試験
−4. 通風機、燃料油装置のポンプ又は貨物用ポンプに使用する電動機の遠隔停止装置にあっては動作試験
−5. 電動機及びその他の電気機器
 動作試験
−6. 機関区域無人化船にあっては、次の試験
(1)過負荷防止装置及び警報装置の動作試験
(2)待機発電機の自動給電試験及び第1種補機の自動再始動試験
−7. 電気式航海灯については次の試験を行う。
(1)常用電源と予備電源の切換試験
(2)航海灯制御盤の動作試験
−8. 電動操だ装置及び電動油圧操だ装置については次の試験を行う。
(1)過負荷警報装置の動作試験
(2)電動機の欠相に対する警報装置の動作試験
−9. 電気式自動スプリンクラ装置、火災探知装置及び火災警報装置並びに退船警報装置等については常用電源と予備電源の切換試験
1.6.7 電気機器及び電路の完成試験
 船内にすえ付けた後、すべての電気機器及び電路について、次に掲げる事項等の敷設状態を検査するとともに、導通試験及び絶縁抵抗試験(直流500V以上の絶縁抵抗測定器による。)を行い、配線及び絶縁状態等を確かめる。なお、内張りの施工後により検査が十分実施できない場合があるので、検査立会時期等について事前に打合せを十分実施すること。
−1. 電気機器の設備場所等
(1)電気機器の構造、型式が設置場所に適したものであり、振動等に耐えるよう確実に固定されていること。
(2)蓄電池の設置場所、換気装置及び防食処理が適当であること。
−2. 電路の敷設状況等
(1)使用ケーブルは、設備規程第236条に適合していること。
 なお、日本海事協会の形式試験証明書を有するケーブルであり、その試験に日本海事協会の検査員が立会っているものは設備規程第236条に適合しているものとみなしてよい。
(2)配線工事の種類は、敷設場所に適したものであること。
(3)電路のわん曲は設備規程第251条に適合していること。
(4)水密隔壁、防火隔壁等の電路の貫通部は、貫通金物等を使用して、適切に施工されていること。
(5)電路の接続は、端子箱又は接続箱により、適切に接続されていること。
(6)電路の線端は、テーピング等により、適切に処理されていること。
(7)電路は帯金等により確実に固定され、特に内張り内に敷設する電路は、断熱材の内部に埋め込まないこと。
(8)外洋航行船においては、ケーブルの難燃性を損なわないよう敷設すること。
−3. 電気機器等の接地等
(1)固定された電気機器の金属外被は、取付面の塗装の除去、接地線の採用等により有効に接地されていること。
(2)電路の金属外被は、船体に有効に接地されていること。
(3)接地灯、接地警報器又は絶縁監視装置が必要な箇所に備えられており、動作が良好であること。
(4)配電盤の前後の床面には、絶縁性敷物等が設けられていること。
1.7 一般設備
1.7.1 通則
−1. 動力となる原動機又は電動機の検査の方法は、それぞれ1.4(機関)又は1.6に定めるところによる。
−2. 機関規則の適用のある設備については、以下に引用する参照条文のほか、同規則の関連条文を参照すること。
−3. 設備の1.7に定める検査は、原則として、船舶に取り付けた後行う。
−4. 次の書類を提出させ、検査前の打合わせを行う。
(1)航海用具(第9号表又は第9号表の2の属具を含む。)のリスト
(2)予備検査合格証明書、予備検査成績書、検定合格証明書等(検査後に返却するものとする。)
−5. −4.(1)のリストは、検査結了後船舶件名表に添付すること。
1.7.2 居住、衛生及び脱出設備
−4. 脱出設備
(1)脱出経路、出入口及びはしご、並びに掲示札の確認を行う。(設備規程第6章参照)
(2)非常表示灯、非常照明装置及び蓄電池一体型非常用照明装置の点灯試験を行う。(設備規程122−5、122−6及び122−6−2参照)
1.7.4 操だ設備(設備規程第3編第2章参照)
−1. 性能試験は、附属書E−3に定めたところによるほか、海上試運転において行う試験は、1.19による。
−2. 自動操だ装置については、自動操だから手動操だに直ちに切り替えることができることを確かめる。(設備規程145参照)
−3. 操だ説明書の掲示を確認する。(設備規程146参照)
1.7.5 航海用具
−1. 航海用具の性能試験は、附属書E−4に定めるところによる。
−2. 船灯
(1)位置等の確認を行う。(設備規程146−4.2及び146−5参照)
(2)電気船灯については、断線警報の効力試験又は点滅試験を行う。(設備規程273参照)
−3. げん灯の内側隔板
 げん灯の性能試験で実施した内側隔板の寸法及び形状であることを確認する。
 ただし、平成10年7月1日以前に型式承認を受けたげん灯については、旧船灯試験規程第31条、97条関係第2図に示す寸法及び形状の内側隔板であることを確認する。(設備規程146−4、146−4.2参照)
−4. 信号灯
 点滅試験を行う。(設備規程第9号表又は第9号表の2参照)
−5. 汽笛
(1)設置方法を確認する。(設備規程146−8参照)
(2)吹鳴試験を行い、設備規程146−8.1.2に適合していることを確認する。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION