(c)配電盤の緯縁抵抗及び絶線耐力
配電盤の絶縁抵抗及び絶縁耐力は設備規程第224条及び225条の規定による。
(絶縁抵抗)
第224条 配電盤の絶縁抵抗は、1メグオーム以上でなければならない。
2. 前項の絶縁抵抗の測定は、接地灯、標示灯若しくは電圧計回路のヒューズ又は常時母線に接続している電圧コイルを取りはずして行なってもよい。
(絶縁耐力)
第225条 配電盤の絶縁耐力の試験は次に掲げる試験電圧による。
(1)定格電圧60ボルト以下のもの 500ボルト
(2)定格電圧60ボルトをこえるもの 2×(充電部電圧)+l000ボルト(ただし1500ボルト未満の場合は1500ボルトとする。)
2. 前項の絶縁耐力の試験は、接地灯、標示灯若しくは電圧計回路のヒューズ又は常時母線に接続している電圧コイルを取りはずして行なってもよい。
(関連規則)
設備規程第221条、223条関連(NK規則)
2.5 配電盤、区電盤、分電盤
2.5.6 直流発電機用計器
船用直流発電機用配電盤には、少なくとも、表H2.7に示す計器を備えなければならない。
表H2.7 計器の数量
運転状態 |
計器の種類 |
数量 |
2線式 |
3線式 |
単独運転の場合 |
電流計 |
各発電機に1個(正極用) |
※各発電機に2個(正極及び負極用) |
電圧計 |
各発電機に1個 |
各発電機に1個(正負両極間正極又は負極と中性極の電圧測定用) |
並行運転の場合 |
電流計 |
各発電機に1個(正極用) |
※各発電機に2個(複巻の場合は、均圧線と電機子間、分巻の場合は、正極及び負極用) |
電圧計 |
2個(母線及び各発電機用) |
2個(母線及び各発電機の正負両極間、正極又は負極と中性極の電圧測定用) |
|
(備考) |
1. |
上記中※印は、中性線接地式の場合、零中心電流計1個を接地線に追加する。 |
|
2. |
電圧計のいずれか1個は、船外給電電圧が測定できるものとする。 |
|
3. |
発電機の自動制御等のため制御盤を備える場合には、上表の計器を制御盤に取り付けてもよい。なお、制御盤が機関室外に設けられる場合には、発電機を機側で単独又は並行運転を行なうために必要な最低限の計器は、配電盤に備えること。 |
2.5.7 交流発電機用計器
船用交流発電機用配電盤には、少なくとも、表H2.8に示す計器を備えなければならない。
表H2.8 計器の数量
運転状態 |
計器の種類 |
数量 |
単独運転の場合 |
電流計 |
各発電機に1個(各相の電流測定用) |
電圧計 |
各発電機に1個(各相間の電圧測定用) |
電力計 |
各発電機に1個(50kVA以下は省略してもよい) |
周波数計 |
1個(各発電機の周波数測定用) |
※電流計 |
励磁回路用として各発電機に1個 |
並行運転の場合 |
電流計 |
各発電機に1個(各相の電流測定用) |
電圧計 |
2個(発電機の各相間及び母線の電圧測定用) |
電力計 |
各発電機に1個 |
周波数計 |
2個(各発電機及び母線の周波数測定用) |
同期検定器及び同期検定灯 |
各1組 ただし、自動同期検定装置を設ける場合は、いずれか一方を省略してもよい。 |
※電流計 |
励磁回路用として各発電機に1個 |
|
(備考) |
1. |
上表中※印のものは、必要な場合に限り装備すること。 |
|
2. |
電圧計のいずれか1個は、船外給電電圧が測定できるものとする。 |
|
3. |
発電機の自動制御等のため制御盤を備える場合には、上表の計器を制御盤に取り付けてもよい。なお、制御盤が機関室外に設けられる場合には、発電機を機側で単独又は並行運転を行なうために必要な最低限の計器は、配電盤に備えること。 |
(d)配電盤に装備する付属継電器の設定値は、次を標準とする。
逆流及び逆力継電器の引はずし(定格電圧にて)値
逆流継電器 |
直流発電機 定格電流の2〜15% |
逆力継電器 |
交流発電機 定格出力の2〜15% |
|
備考 |
1. |
逆流継電器の設定を特に低くした場合には、発電機用遮断器を投入した際に作動することがないよう、適当な考慮を払わねばならない。 |
(e)制御回路の過負荷及び短絡保護には、電源にもっとも近い所にヒューズを取り付ける必要がある。ただし、次の場合(i〜iii)には、ヒューズを取り付けなくてもよいが火災に対する注意をすること。
(i)遮断器の引きはずし回路
(ii)電圧調整器の給電回路
(iii)操だ装置過負荷表示灯回路
(f)計器、表示灯及び接地灯などの電圧回路には、その各絶縁極の電源側に、また、計器用変圧器にあっては、その一次電源側ヒューズを取り付けて保護する。ただし、他の装置と一体となって取り付けられる表示灯はその表示灯回路の事故が重要な装置への給電に支障を生じない場合には、単独の保護を行なわなくてもよい。また自動電圧調整器などのように電圧の喪失により重大な影響をうける回路には、ヒューズを取り付けてはならない。なお、計器用変圧器、及び変流器の二次側は、接地をする。
(g)計器の目盛については、それぞれ下記に示す要件を満足することが必要である。
(i)電圧計の目盛は、定格電圧の120%まで読めるものとする。
なお、目盛範囲の事例は下表による。
使用電圧 |
目盛範囲 |
100/105V |
0〜150V |
220/230V |
0〜300V |
440/450V |
0〜600V |
|
(ii)電流計の目盛は、接続回路の定格電流の約130%まで読めるものとする。
(iii)並行運転を行なう交流発電機用電力計の目盛は、少なくとも定格電力の約15%に相当する逆力をも、読めるものとする。
なお、並行運転を行なう直流発電機用のものは、少なくとも定格電流の15%に相当する逆流を読めるものとする。
(h)開閉器及び遮断器、並びにヒューズ及びホルダについては、それぞれ設備規程第227条から第234条までの規定によるほか、下記による。
(i)ナイフスイッチ(刃形開閉器)で双投式のものは、水平に取り付けるのを原則とし、縦方向に取り付ける場合には、「断」の位置に確実に保つ方法を講ずることが必要である。
(ii)給電回路にある遮断器またはヒューズの遮断容量が、その点で発生すると考えられる最大短絡電流に及ばない場合には、最大短絡電流以上の遮断容量のある遮断器又はヒューズで後備する必要がある。
この場合、発電用遮断器を後備遮断器として使用しない。
(開閉器及び自動しゃ断器)
第227条 開閉器及び自動しゃ断器は、振動、温度変化等により誤動作を生ずるおそれのないものでなければならない。
第228条 配線用しゃ断器以外の自動しゃ断器の弧光接触片は、取り換えることができる構造のものでなければならない。
(刃形開閉器)
第229条 刃形開閉器は、回路条件が、交流にあっては75パーセントから80パーセントまでの力率で、直流にあっては無誘導で、定格電圧において定格電流の1.5倍の電流を次に掲げる回数で連続開閉しても異常を生じないものでなければならない。ただし、断路器その他の単に回路の開放のみを目的としたものについては、この限りでない。
(1)定格電流60アンペア以下のもの 100回
(2)定格電流60アンペアをこえるもの 10回
(電磁開閉器)
第230条 電磁開閉器は、次の各号に適合するものでなければならない。
(1)最高適用負荷電流の110パーセントの電流を連続通電しても第12号表の温度上昇限度をこえないこと。
(2)第177条に規定する傾斜、横揺れ及び振動の状態において最高使用温度で定格電圧の85パーセントから110パーセントまでの電圧を加えた場合、完全に作動すること。
(自動しゃ断器)
第231条 自動しゃ断器は、回路の過負荷電流及び短絡電流を異常なくしゃ断できるものでなければならない。ただし、用途に応じて管海官庁が承認したものについては、過負荷電流又は短絡電流のいずれかを異常なくしゃ断できるものでよい。
(配線用しゃ断器)
第232条 配線用しゃ断器は、日本工業規格「配線用しゃ断器」の規格に適合するもの又はこれと同等以上の効力を有するものでなればならない。
(逆流継電器及び逆力継電器)
第233条 逆流継電器及び逆力継電器は、発電機の定格電圧において定格負荷の15パーセント以下の逆電流又は逆電力により異常なくしゃ断できるものでなければならない。
(ヒューズ及びホルダ)
第234条 ヒューズ及びホルダは、日本工業規格「配線用筒型ヒューズ及びホルダ」若しくは「配線用プラグヒューズおよびホルダ」の規格に適合するもの又はこれらと同等以上の効果を有するものでなければならない。
(関連規則)
設備規程第231条関係(船舶検査心得)
(自動遮断器)
231.1(a)発電機制御のため又は大きな分岐回路を制御するために使用するものにあっては過負荷電流及び短絡電流で共に作動するものであること。制御機を合わせ備えるものについてはいずれか一方のみとすることができる。
設備規程第232条関係(船舶検査心得)
(配線用遮断器)
232.1(a)配線用遮断器は、自動遮断器の一種であるが、ヒューズに近い特性をもっており、埋込遮断器(NK)、ノーヒューズブレーカー(No fuse breaker)と呼ばれることもある。
(i)区電箱(区電盤)及び分電箱(分電盤)については、設備規程第222条の規定によるほか、下記事項(i〜iv)を満足させることが必要である。
(JMS 8828−99(船用遮断器式分電箱)参照)
(i)区電箱及び分電箱の保護形式については、2.2.2(1)による。
(ii)区電箱及び分電箱は、前面から点検、調整、検査のできる構造のものとする。
(iii)盤には難燃性、非吸湿性の絶縁材料を用い、充電部と大地間、箱体、又は極を異にする充電部間は、接地又は短絡のおそれがないよう、十分に保護しておくことが必要である。
(iv)区電箱及び分電箱は、埋込形の場合、その保護ケースは、盤の壁と同じ材料、同じ厚み以上のものとする。
(区電盤及び分電盤)
第222条 区電盤及び分電盤は、配線するのに十分な空間をもった金属製箱又は難燃処理を施した箱に収めなければならない。
(j)接続箱及び分岐箱については、設備規程第226条による。
(接続箱及び分岐箱)
第226条 接続箱及び分岐箱は、金属性又は難燃性及び非吸湿性の材料で作られ、かつ、配線するのに十分な空間をもったものでなければならない。
(k)プラグ、レセプタクル及び小形スイッチは、下記事項(i〜iii)を満足することが必要である。(JIS F 8836−96、8837−96、8838−94、8841−97、8821−00、JMS 8831−99、8835−99、8840−99、8822−99参照)
(i)安全電圧の場合を除き移動式機器に使用するレセプタクルには、外箱に接続された接地接触子を備え、プラグの接地接触子と完全な接触を保つことが必要である。
(ii)プラグは、レセプタクルに適合し、コードの振動、ねじれなどによって接触不良にならないようにする。
また、定格の異ったプラグとレセプタクルは、互に結合できない構造とする。
(iii)定格電流が、15Aを超えるレセプタクルには、スイッチを設け、スイッチが閉じているときは、プラグを抜き差しできない構造のものとする。
|