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(3)発電機の構造及び性能
(a)発電機の回転軸、潤滑油装置、軸電流の防止及び温度上昇限度については、それぞれ設備規程第180条、及び第187条から第190条までの規定による。
 
(材料試験)
第180条 船舶の安全性又は居住性に直接関係のある発電機又は電動機であって定格出力が100キロワット又は100キロボルトアンペア以上のものの回転軸に用いる材料は、管海官庁の行なう試験及び検査に合格したものでなければならない。
 ただし、管海官庁が適当と認める機関が発行した合格証明書を有する材料についてはこの限りでない。
(回転軸)
第187条 発電機の回転軸は、十分な強度を有するものであり、かつ、その材料は日本工業規格「炭素鋼鍛鋼品」SF440Aの規格に適合するもの又はこれと同等以上の材質のものでなければならない。
(潤滑油)
第188条 発電機潤滑油装置は、もれた潤滑油が巻線その他の充電部に侵入しない構造のものでなければならない。
2. スリーブ式軸受は、油面及び潤滑状況を監視できるように装置しなければならない。
(軸電流の防止)
第189条 発電機の軸と軸受との間に軸電流を生ずるおそれのある場合には、これを防止する適当な方法を講じなければならない。
(温度上昇限度)
第190条 発電機の温度上昇限度は、第10号表に定めるところによる。
 
第10号表 回転機の温度上昇限度表
機器の部分 型式 温度上昇限度(摂氏・度)
A種絶縁のもの B種絶縁のもの
温度計法
による
抵抗法
による
温度計法
による
抵抗法
による
交流機回転子巻線 全閉形以外のもの 50 60 70 80
全閉形 55 65 75 85
整流子をもつ電機子の巻線 全閉形以外のもの 50 70
全閉形 55 75
絶縁を施した回転子巻線 全閉形以外のもの 50 60 70 80
全閉形 55 65 75 85
直流を通じる界磁巻線 一般のもの  全閉形以外のもの 50 60 70 80
全閉形 55 65 75 85
露出した平打巻 全閉形以外のもの 60 60 80 80
全閉形 65 65 85 85
円筒回転子形交流タービン発電機 −  90
鉄心その他の部分で絶縁巻線に近接した部分  全閉形以外のもの 50 70
全閉形 55 75
絶縁されない短絡巻線、鉄心その他の機械的部分で絶縁巻線に近接しない部分、ブラシ及びブラシ保持器 機械的支障なく、かつ、附近の絶縁物に損傷を起さない温度
整流子及び集電環 65 85
備考 1. 周囲温度が摂氏40度をこえる場所で使用するものには、その超過する温度をこの表の温度上昇限度から減ずるものとする。
  2. 整流子又は集電環にB種絶縁を施した場合であって、A種絶縁を施したものがこれに極めて近接しているときは、その温度上昇限度は摂氏65度とする。
 
(関連規則)
(1)設備規程第180条関係(船舶検査心得)
 
(材料試験)
180.1(a)「船舶の安全性又は居住性に直接関係のある発電機又は電動機」については174.3(a)を準用する。
(b)「管海官庁が適当と認める機関」は、(財)日本海事協会とする。
 
(2)設備規程第190条関係(舶検)
 
海検第48号(59.12.17)
 (株)帝国電機製作所の製造に係るF種絶縁の三相誘導電動機の設計検査について
 F種絶縁の回転機の温度上昇限度については、下記に定めるところによることとし、特に伺い出ることを要しないこととする。この場合において、F種絶縁の材料についてはJIS C 4003(電気機器絶縁の種類)を参考とし、耐熱性に関し十分検討すること。
 
F種絶縁の回転機の温度上昇限度
 F種絶縁の回転機の温度上昇は、定格負荷で連続運転したとき又はそれぞれの時間定格に応じて運転したとき、次表に示す値を超えてはならない。ただし、基準周囲温度が40度以下の場合には、表の値よりその差だけ高くなっても差し支えない。
(基準周囲温度の限度40℃)
 
回転機の部分 F種絶縁
温度計法 抵抗法 埋込温度計法
交流機固定子巻線 ※85 100 100
絶縁された回転子巻線 ※85 100
多層界磁巻線 ※85 100
低抵抗界磁巻線及び補償巻線 100 100
露出した単層界磁巻線 110 110
円筒形回転子を有する同期機の界磁巻線 110
鉄心その他の機械的部分で絶縁した巻線と近接した部分 100
絶縁されない短絡巻線、鉄心その他の機械的部分で絶縁した巻線に近接しない部分、ブラシ及びブラシ保持器 機械的に支障なく、かつ、付近の絶縁物に損傷を与えない温度
整流子及びスリップリング 90
(備考) 1. 全閉型の回転機では、※印の数値より5℃高い温度とする。
  2. 整流子又はスリップリングに高級な絶縁物が使ってあってもこれに極めて近接した巻線部分に低級な絶縁物がある場合には、低級な絶縁物に対する温度上昇限度による。
  3. 同一部分を同時に二つ以上の方法(例えば温度計法及び抵抗法)によって測定することを必要とするものではない。
  4. 交流機固定子巻線であって、5,000kVA以上のもの又は固定子鉄心の長さ(通風ダクトを含む)が1m以上のものでは、抵抗法又は埋込温度計法による。
  5. 空気冷却器により強制冷却する回転機の温度上昇限度は、冷却器の入口における冷却水の温度が30℃以下のときは、表の値より20℃高くなっても差し支えない。
 
(3)設備規程第190条関係(NK規則)
 
2.4.3 温度上昇の限度
 回転機の温度上昇は、定格負荷で連続運転したとき、又はそれぞれの時間定格に応じて1運転したとき、表H2.2に示す値を超えてはならない。また、静止形励磁装置の温度上昇は2.5.10−2の規定に適合しなければならない。
 
表H2.2 回転機の温度上昇限度(℃)
 
(拡大画面:100KB)
(基準周囲温度の限度45℃)
 
(備考)1. 全閉形回転機の項1、2及び3Aを温度計法で測定する場合は、表の数値より5℃高い温度とする。
2. 誘導機の項1及び項2は温度計法によらないこと。
3. 整流子又はスリップリングに高級な絶縁物が使ってあってもこれに極めて近接した巻線部分に低級な絶縁物のある場合には、低級な絶縁物に対する温度上昇限度による。
4. 回転機の同一部分に対して、数種の温度測定法が与えてあるが、これは同一部分の温度を二つ以上の方法(例えば、温度計法と抵抗法)で測定することを意味するものではない。
5. 交流機固定子巻線では、5,000kW(又はkVA)以上のもの、又は固定子鉄心の長さ(通風ダクトを含む)が1m以上のものに対しては、原則として埋め込み温度計を適用する。
 
(検査要領)
H2.4.3 温度上昇の限度
−1. 軸受の温度上昇限度については次による。
(1)軸受(自冷式)の温度上昇限度は、表面で測定したとき35℃、メタルに温度素子を埋め込んで測定したとき40℃とする。ただし、耐熱潤滑剤(例えば、リチウム石けんを主とする潤滑グリース)を用いる場合は、表面で測定し、50℃とする。
(2)F種以上の耐熱絶縁材料を使用する回転機で、前(1)により難い場合は、採用しようとする温度上昇限度について、軸受及び潤滑剤の耐熱性に関する資料を添え、本会の承認を得る。
−2. 空気冷却器を備えて強制冷却する回転機の巻線類の温度計測方法は、埋込温度計法又は抵抗法によるものとする。
H2.4.4 温度上昇限度の修正
 空気冷却器を備えて強制冷却する回転機の冷却水温が32℃を超える場合の温度上昇限度は、その都度定める。
 
(b)発電機の過負荷耐力及び加速度耐力については、それぞれ設備規程第191条及び第192条の規定による。
 
(過負荷耐力)
第191条 連続定格の発電機は、25パーセントの過負荷で次表に掲げる時間中支障なく運転できるものでなければならない。この場合において、同表の毎分1000回転についての出力は、次の算式により算出したものとする。
 
 
毎分1000回転についての出力
(キロワット又はキロボルトアンペア)
時間
3未満のもの 15分間
3以上7.5未満のもの 30分間
7.5以上のもの 2時間
 
2. 前項の発電機は、50パーセントの過負荷で1分間支障なく運転できるものでなければならない。
第192条 発電機は、次に掲げる速度で1分間支障なく運転できるものでなければならない。
1. 蒸気タービン直結発電機  定格速度のl15パーセント
2. 内燃機関直結発電機  定格速度の120パーセント
3. その他の発電機  定格速度の125パーセント
 
(関連規則)
 設備規程第191条、第276条関係(舶検)
 
1. 舶検第76号(40.57)
 発電機及び電動機の過負荷耐力試験は設備規程第191条第2項及び第276条第2項の50%過負荷試験を1分間行なう限り第1項で行なう25%過負荷試験は省略してさしつかえない。







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