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2.4.2 発電機及び電動機
注:JEM1274−97(船用交流発電機)、JEM1277−98(船用低圧三相誘導電動機)、JEM1272−99(船用電線貫通金物の適合基準)、JEM1410−92(船用低圧三相かご形誘導電動機の寸法)を参照のこと。
(1)原動機
 発電機を駆動する原動機については、設備規程第185条及び第186の規定による。
 
(原動機)
第185条 発電機を駆動する原動機には、管海官庁が指示する負荷を急激に除去し、又は加えた場合、瞬間において10パーセント以内及び整定後5パーセント以内に速度変化を制御できる調速機を備え付けなければならない。
2. 前項の調速機が並列運転を行なう交流発電機用原動機に備え付けられているときは、配電盤上に速度調整を行なう装置を付けなければならない。
第186条 蒸気タービンで駆動される直流発電機が2台以上並列運転される場合には、蒸気タービンの過速度調速器が作動したとき発電機の自動しゃ断器が同時に開くように装置しなければならない。
 
(関連規則)
(1)設備規程第185条関係(船舶検査心得)
 
(原動機)
185.1(a)「管海官庁が指示する負荷」は、除去の場合にあっては発電機の連続最大出力、投入の場合にあっては最初に発電機の連続最大出力の50%、その後60秒以内に残りの出力とする。
 ただし、これにより難い場合又はこれによることが不合理な場合には、資料を添えて管轄の地方運輸局又は海運支局に相談すること。
(b)主機により駆動される発電機については、第196条ただし書及び第199条の規定との関連において支障のないようにすること。
185.2(a)この装置は、いわゆるガバナーモーターを制御するもので微小な速度変化(すなわち、周波数及び位相のずれ)を調整するため使用すること。
 
(2)設備規程第185条関連(NK規則)
 
2.4.2 調速特性
−1. 主電源装置用原動機の調速機の調速特性は、次によらなければならない。
(1)発電機の定格負荷を急激に遮断したとき、瞬時速度変動が定格速度の10%以下であること。
(2)発電機の定格負荷の50%を急激に加え、速度が整定した後、残りの50%をさらに急激に加えたとき、瞬時速度変動が定格速度の10%以下であること。また、最終整定速度の1%以内に回復するまでの時間は、5秒を超えないこと。なお、これにより難い場合及び発電機の負荷条件が著しく異なる場合は、本会の適当と認めるところによる。
(3)無負荷から定格負荷までのすべての負荷において、整定速度変動は、定格速度の5%以下であること。
−2. 非常用発電機を駆動する原動機の調速特性は、次によらなければならない。
(1)非常時に給電される負荷の合計に相当する負荷を急激に遮断した場合、−1.(1)に規定する速度変動を超えないこと。
(2)非常時に給電される負荷の合計に相当する負荷を急激に加えた場合、−1.(2)に規定する速度変動を超えないこと。
(3)無負荷から非常時に給電される負荷の合計に相当する負荷までの負荷において、−1.(3)に規定する整定速度変動を超えないこと。
−3. 並行運転される交流発電機を駆動する原動機の調速機は、2.4.14−3.及び−4.に規定する負荷分担が確実に行えるものであって、かつ、常用の周波数のもとで発電機定格負荷の5%以内の負荷移動の調整が容易に行えるものでなければならない。
−4. 並行運転されるタービン駆動の直流発電機は、過速度調速機が動作したときに発電機の遮断器を開く装置を備えたものでなければならない。
 
(2)発電設備の容量
 発電機の容量については、設備規程第183条及び第183条の2の規定による。
 
(発電設備の容量)
第183条 船舶には、当該船舶の安全性又は居住性に直接関係のある電気利用設備に必要な電力を十分に供給することができる常用の発電設備を備えなければならない。ただし、当該電力の供給を外部から受ける係留船については、この限りでない。
(主電源)
第183条の2 次に掲げる船舶の主電源は、2組以上の発電設備により構成され、かつ、そのうちの1組が故障した場合においても、前条の電気利用設備のうち管海官庁が指定するものに対し十分に給電することができるものでなければならない。
(1)外洋航行船
(2)外洋航行船以外の旅客船(係留船を除く。)
(3)係留船(管海官庁が当該係留船の係留の態様を考慮して必要と認めるものに限る。)
(4)国際航海に従事する総トン数500トン以上の漁船
(5)第1号、第2号及び前号に掲げる船舶以外の機関区域無人化船
2. 外洋航行船の主電源を構成する発電設備は、主機又はその軸系の回転数及び回転方向にかかわらず給電することができるものでなければならない。
3. 機関区域無人化船の主電源を構成する発電設備は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
(1)1組の発電設備により電力を供給する場合には、次に掲げる要件に適合するものであること。
(a)過負荷を防止するため適当な負荷優先遮断装置を備え付けていること。
(b)発電設備が故障のため電力の供給が停止した場合において、自動的に、第1項の電気利用設備に対し十分に給電することができる他の発電設備を始動して主配電盤に接続し、かつ、推進に関係のある補機を再始動できること。
(c)(b)の場合において、自動的に始動される発電設備は、電力の供給停止後45秒以内に給電できること。
(2)2組以上の発電設備を並列運転して電力を供給する場合には、1組の発電設備が故障のため停止したときにおいて他の発電設備が過負荷となることなく、第1項の電気利用設備に対し十分に給電するための措置が講じられているものであること。
(3)発電設備ごとに管海官庁が必要と認める警報装置その他の安全装置を備え付けているものであること。
 この場合において警報装置を備え付けるときは、当該警報装置は、船舶機関規則第96条第4号の規定に適合するものでなければならない。
 
(関連規則)
(1)設備規程第183条及び第183条の2関係(船舶検査心得)
 
(発電設備の容量)
183.0(a)「船舶の安全性又は居住性に直接関係のある電気利用設備」については、174.3(a)を準用する。ただし、貨物ポンプ及び揚貨機並びに(20)に掲げるものを除く。
(b)容量の算定に当たっては、不等率を考慮して差し支えない。
(主電源の容量)
183−2.1(a)「管海官庁が指定するもの」とは、次に掲げるものをいう。
(1)外洋航行船(限定近海貨物船を除く。)、外洋航行船以外の旅客船(限定沿海区域又は平水区域を航行区域とするものを除く。)及び国際航海に従事する総トン数500トン以上の漁船にあっては、174.3(a)に規定する設備(揚錨設備、係船設備、サイドスラスタ、バラストポンプ並びに(2)及び(15)に掲げるものを除く。)
(2)第5号の機関区域無人化船、限定近海貨物船及び限定沿海区域又は平水区域を航行区域とする旅客船にあっては174.3(a)に規定する設備(揚錨設備、係船設備、サイドスラスタ、バラストポンプ、糧食用冷凍機、機関区域用通風機(自然通風が十分可能な場合に限る。)、居住区域用通風機並びに(2)及び(14)から(19)までに掲げるものを除く。)
183−2.2(a)主電源を主機により駆動する場合は、当該主電源は、錨泊、出入港及び低速時を含むいかなる場合にも給電できるものであって、例えば次に掲げるいずれかに該当する場合とする。ただし、(2)および(3)の場合には、他の主発電装置を使用することなく、主機を始動できるものであること。
(1)バックアップ用の補助機関を有するもの
 
図183−2.2〈1〉
 
(2)定速度制御されるCPP用主機により駆動されるもの
 
図183−2.2〈2〉
 
(3)ボイラの追だき装置を備える排ガスターボ発電機
 
図183−2.2〈3〉
 
(b)(a)に掲げる以外の装置を認める場合には、資料を添えて、管轄の地方運輸局又は海運支局に相談すること。
(c)外洋航行船以外の旅客船及び第1項第4号の機関区域無人化船については、(a)及び(b)を準用すること。
(d)船舶の推進及び操舵の機能が維持されるように優先遮断が行われ、その後他の発電設備が始動して第1項の電気利用設備に十分な電力が供給される場合も、第4号の規定に該当する。
(e)第5号の警報装置については、表183−2.2〈1〉によること。
 
表183−2.2〈1〉
計測点 警報
発電機 電圧 H L
周波数又は回転数 H
電流 H
備考 1. Hは高位警報、Lは低位警報を示す。
  2. 検出部を制御用と兼用して差し支えない。
 
(2)設備規程第183条〜第183条の2関連(NK規則)
 
3.2.1 主電源装置
−1. 3.1.2(1)に該当するすべての電気設備に電力を供給するために十分な容量の主電源装置が設けられなければならない。この主電源装置は、少なくとも2組の発電装置より構成されたものでなければならない。
−2. 前−1.の発電装置の容量は、いずれか1組の発電装置が停止した場合においても、正常な稼働状態における推進と安全を維持するために必要な電気設備へ給電できるものでなければならない。
 また同時に、少なくとも調理、暖房、糧食用冷凍、機械通風、衛生水及び清水のための各装置を含む最低限の快適な居住状態を確保するものでなければならない。
−3. 主電源装置の構成は、推進機関又は推進軸系の回転数及び回転方向に係わりなく3.1.2(1)に該当する電気設備の運転を維持できるものでなければならない。
−4. 発電装置は、いずれか1台の発電機又はその原動力装置の稼働が停止した場合においても、残りの発電装置によりデッドシップ状態から主推進装置を始動させるために必要な電気設備を運転できるようなものでなければならない。この場合、非常発電機単独の容量又は他のいずれかの発電機との合計容量が、同時に3.3.2−2(1)から(4)の規定により要求される電気設備に対しても十分に電力を供給できる場合には、デッドシップ状態からの始動に非常電源装置を使用することができる。
(検査要領)
H3.2.1 主電源装置
−1. ディーゼル船において、規則H編3.2.1−1の規定により設けられた2組の主発電装置のうちの1組を主推進装置に原動力を依存する発電装置とする場合には、次によること。
(1)主発電装置の他の1組を使用することなく主推進装置を始動でき、かつ、船舶の停止状態を含むすべての操船状態及び航海状態を通じて、規則H編3.2.1−2に規定する発電容量を確保できること。
(2)船舶の速度制御(前進、停止、後進)に伴って発電装置を制御する必要がある場合には、当該制御は主推進装置の制御に連動させると共に、主推進装置の制御を行っている場所からも手動により行い得ること。この場合は、制御に伴って給電が中断してはならない。
(3)突発的な船舶の減速、停止等主機の速度変動に起因する停電に備え、速やかに電源を復旧できるような手段を講ずること。
(4)主推進装置に原動力を依存する発電装置を使用中に主推進装置の船橋制御を行なう船舶の船橋には、当該発電装置の運転表示その他の必要な表示装置を設けること。
(5)主推進装置に原動力を依存する発電装置は、主発電装置の他の1組に比べて効力及び信頼度が劣るものでないこと。
−2. ディーゼル船において、規則H編3.2.1−1の規定により設けられた2組の主発電装置に加えて主推進装置に原動力を依存する発電装置を備える場合には、次による。
(1)突発的な船舶の減速、停止等主機の速度変動に起因する停電が予想される場合には、速やかに電源を復旧できるような手段を講ずること。
(2)主推進装置に原動力を依存する発電装置を使用中に主推進装置の船橋制御を行なう船舶にあっては次の措置又はこれと同等の措置を講ずること。
(a)当該発電機の電圧及び周波数をほぼ一定に維持する装置を設けること。ただし、電圧及び周波数があらかじめ設定された範囲を外れたときに船橋に警報を発する装置が設けられている場合には、この限りでない。
(b)当該発電機の電圧及び周波数があらかじめ設定された範囲を外れた場合又は外れるおそれがある場合には、自動操作又は船橋からの遠隔操作により、推進装置に原動力を依存しない発電装置に切り換えられること。ただし、停電切換えとする場合は、45秒以内に再給電できること。
(c)船橋の主機制御ハンドル付近には、次の事項又は同等の内容が表示されること。この表示は、船橋制御時に当該発電機が使用されるとき、自動的に又は制御場所からの遠隔操作により表示されること。
(i)軸発電機運転中
(ii)軸発電機使用可能な主機の速度調整範囲( rpm〜 rpm)
−3. 規則H編3.2.1−2において、「船舶の正常な稼働状態における推進と安全を維持するために必要な電気設備及び本会が必要と認めるその他の電気設備」とは、「船舶を正常な稼働及び居住状態に維持するために必要なすべての電気設備及び本会が必要と認めるその他の電気設備」から下記に示すものを除いたものをいう。
(1)主推進装置の一部を構成しないスラスタ。ただし、自動船位保持装置(DPS)用のスラスタは、主推進装置の一部を構成するものとして取り扱う。
(2)揚錨機
(3)繋船機
(4)空気調節装置用冷凍圧縮機
(5)その他本会が差し支えないと認めたもの。
−4. 規則H編3.2.1−4において、デッドシップ状態から主推進装置の運転に至る手段は、検査要領D1.3.1−2による。
 
(説明)
 外洋航行船とは次の船舶をいう。(船舶設備規程第2条定義)
(a)国際航海に従事する旅客船
(b)国際航海に従事しない旅客船であって遠洋区域又は近海区域を航行区域とするもの
(c)国際航海に従事する総トン数500トン以上の非旅客船(漁船を除く。)
(d)国際航海に従事しない総トン数500トン以上の非旅客船であって遠洋区域又は近海区域を航行区域とするもの







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