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(c)回転機の整流、絶縁抵抗及び絶縁耐力については、それぞれ設備規程第193条から第195条及び第278条の規定による。
 
(整流)
第193条 直流発電機は、界磁調整器を定格出力、定格電圧、定格回転数に相当する値に調整し、その調整値及びブラシの位置を変更しないで、連続定格のものにあっては定格電流の150パーセント以内、短時間定格のものにあっては定格電流以下において、有害な火花を生じないものでなければならない。
(絶縁抵抗)
第194条 発電機の絶縁抵抗は、次の算式を満足するものでなければならない。
 
 
(絶縁耐力)
第195条 発電機の絶縁耐力の試験は、第11号表に定める試験電圧による。
 
第11号表 絶縁耐力試験電圧表
機器の部分 試験電圧(ボルト)
直流機及び交流機の電機子巻線 1キロワット以上のもの2E+1000(ただし、最低1500) 1キロワット未満のもの 定格電圧が50ボルト未満のものは500、定格電圧50ボルト以上250ボルト未満のものは1000、250ボルト以上のものは2E+500
直流機界磁巻線
電動機として起動しない同期機の界磁巻線 10Ex(ただし、最低1500)
電動機として起動する同期機の界磁巻線 界磁巻線を短絡して起動するもの 10Ex(ただし、最低1500)
界磁巻線を開いて起動するもの 2Ei+1000
絶縁した起動用回転子巻線 2Ei+1000
誘導機一次巻線 1キロワット未満のもの2E+500(ただし、最低1000) 1キロワット以上のもの2E+1000(ただし、最低1500)
巻線形誘導機二次巻線 2Es+1000(ただし、最低1200)
(備考) 1. Eは主機定格電圧とする。
  2. Exは、励磁機定格電圧とする。
  3. Eiは、回転子を静止させ、起動電圧を電機子巻線に加えた場合の界磁巻線又は起動回転子巻線の端子間に生ずる誘起電圧とする。ただし、界磁巻線又は起動用回転子巻線に高抵抗を接続して起動する場合には、その状態における端子電圧とする
  4. Esは、二次巻線端子の最大誘起電圧とする。
  5. 電動機として起動する界磁巻線であって、これを短絡して起動するもののうち、その界磁短絡用抵抗値が界磁巻線抵抗値の10倍をこえるものについては、これを界磁巻線を開いて起動するものとみなす。
 
(関連規則)
 設備規程第195条関連(NK規則)
 
2.4.15 製造工場等における試験
−6. 回転機は、表H2.5に規定する商用周波数の交流電圧で充電部分相互間及び充電部と大地間に耐電圧試験を行ない、1分間これに耐えなければならない。
 
表H2.5 試験電圧
試験部分 試験電圧(実効値)V
1 電機子巻線 0.4kW(又はkVA)以下のもの 2E+500
0.4kW(又はkVA)を超えるもの 2E+1000(最小1500V)
2 直流機の他励巻線 2Ef+1000(最小1500V)
3 同期機 電動機として始動しない界磁巻線 10Ex(最小1500V)
電動機として始動する界磁巻
  i) 界磁巻線を短絡して始動するもの 
  ii) 界磁巻線を開路して始動するもの
 
10Ex(最小1500V)
2Ei+1000
絶縁した始動用回転子巻線 2Ei+1000
4
巻線形誘導電動機の二次巻線
  i) 逆転又は逆相制動をしないもの
  ii) 逆転又は逆相制動をするもの
 
2Es+1000
4Es+1000
5 励磁機 2Ei+1000(最小1500V)
(備考) 1.
E 定格電圧
Ef 界磁回路の最大定格電圧
Ex 定格励磁電圧
Es 二次端子における静止誘起電圧
Ei 回転子を静止し、始動電圧を電機子巻線に加えた場合の界磁巻線又は始動用回転子巻線の端子における誘起電圧。ただし、界磁巻線又は始動用巻線に高抵抗を接続して始動する場合は、その状態における端子電圧
  2. 直流機の直巻、分巻、補極及び補償巻線等電機子巻線につながる巻線は表中第1項の電機子巻線に準じて試験を行なう。
  3. 励磁装置の半導体整流器については2.12半導体整流器の規定による。
 
(d)直流発電機は、設備規程第196条から第199条までの規定を満足することが必要である。
 
(直流発電機)
第196条 直流発電機は、原動機の速度変動をも考慮してなるべく平複巻特性を有し、かつ、20パーセントから100パーセントまでの負荷を漸増し、又は漸減した場合において、その電圧が定格電圧の6パーセント以上の変動を生じないものでなければならない。ただし、負荷の変動の少ない用途に使用するものであって、その電圧特性曲線の垂下が定格電圧の15パーセントをこえないものについては、分巻特性のものでもよい。
第197条 直流三線式発電機は、その正極又は負極の負荷電流を定格電流に等しくし、かつ、不平衡電流を定格電流の25パーセントとした場合において、中性点に対する正極電圧と負極に対する中性点電圧との差が正負両極間の定格電圧の2パーセントをこえないものでなければならない。
第198条 複巻発電機は、その直巻線輪を負極にそう入し、又は両極に等分してそう入したものでなければならない。
第199条 主機により駆動される発電機にはなるべく自動電圧調整器を備え付けなければならない。
 
(関連規則)
 設備規程第196条及び第199条関係(船舶検査心得)
 
(直流発電機)
196.1(a)「負荷変動の少ない用途」とは蓄電池充電、照明、通信、電熱等をいう。
199.1(a)自動電圧調整器は、自動車等に使用される程度の非常に簡単なものでよい。
 
〔説明〕直流発電機について
 小型の船で、船内の負荷が主として電灯の場合は、主機(推進軸)に蓄電池充電用発電機(ダイナモ)を連結し、主機運転中は、この発電機が駆動され、蓄電池を浮動充電し、充電停止時は、蓄電池により船内に給電する方法が行われている。
 設備規程第199条には、主機に駆動される発電機は、なるべく自動電圧調整器を備え付けなければならないとされている。これは、発電機が主機(推進軸)に連結されているため、船の速度により、発電機の回転速度が変わり、また、船のピッチングにより、プロペラが空転し、主機の回転、すなわち発電機の回転速度が変わり、従って電圧も変わるので、これを調整するため、自動電圧調整器が必要となるわけである。
 
(e)交流発電機は、設備規程200条の規定を満足することが必要である。
 
(交流発電機)
第200条 交流発電機は、無負荷から定格負荷までの負荷変動に対して原動機の速度変動及び自動電圧調整器の効果をも考慮して定格電圧の4パーセント以上の変動を生じないものでなければならない。ただし、自動電圧調整器を備え付けていないものについては、この限りでない。
 
(f)並行運転(又は並列運転)を行なう発電機は、設備規程第201条の規定を満足することが必要である。
 
(並列運転を行なう発電機)
第201条 並列運転を行なう発電機は、あらかじめ各発電機をその定格負荷の75パーセントに調整した後、界磁調整器等により調整しないで負荷の総和を20パーセントと100パーセントの間に増減した場合において、各発電機の比例分担すべき負荷がその発電機の定格負荷の(±)15パーセント以上の変動を生じないものでなければならない。
 
(関連規則)
 設備規程第201条関連(NK規則)
 並行運転を行なう発電機
 
2.4.13 直流発電機
−4. 直流発電機の総合電圧変動特性は、次の(1)から(3)の規定に適合しなければならない。但し、この場合回転速度は、全負荷において定格速度に合わせるものとする。
(1)分巻発電機
 温度試験に引き続き、全負荷において定格電圧に合わせた場合、無負荷における整定電圧は、全負荷における電圧の115%を超えないこと。また、すべての負荷における電圧は、無負荷における電圧を超えないこと。
(2)複巻発電機
 温度試験に引き続き、20%負荷において電圧を定格電圧の±1%以内に合わせた場合、全負荷における電圧は、定格電圧の±1.5%以内であること。また、20%負荷と100%負荷間の漸増及び漸減電圧変動曲線の各負荷における平均値は定格電圧より3%以上変動しないこと。
(備考)並行運転を行なう複巻発電機は、負荷を20%から100%まで漸増した場合、電圧の垂下は、定格電圧の4%までとしてもよい。
(3)3線式発電機
 前(1)及び(2)の規定に適合するほか、正負いずれかに定格電流を、中性線に定格電流の25%を通じた場合、正と中性線又は負と中性線間の電圧差が正負間の定格電圧の2%を超えないこと。
−5. 直流発電機を並行運転する場合、各機の負荷の不平衡は、各機の定格出力の総和の20%と、100%の間のすべての負荷において、各機の定格出力による比例配分の負荷と各機の出力との差が、それぞれ最大機の定格出力の±10%を超えないものでなければならない。この場合、各機は75%負荷において、その定格負荷に比例した負荷を与えるように調整するものとする。
−6. 2線式複巻発電機の直巻界磁巻線は、負極側に接続しなければならない。
−7. 直流発電機の均圧線の断面積は、発電機と配電盤の間の負極接続線の断面積の50%未満であってはならない。
2.4.14 交流発電機
−1. 自励複巻式発電機を除き、各交流発電機には、自動電圧調整器を備えなければならない。
−2. 交流発電機の整定総合電圧変動特性は、無負荷から全負荷までのすべての負荷において、定格力率のもとで、定格電圧の±2.5%以内でなければならない。ただし、非常発電機の場合には、±3.5%以内とすることができる。
−3. 交流発電機を並行運転する場合、各機の有効電力の不平衡は、各機の定格出力の総和の20%と100%の間のすべての負荷において、各機の定格出力による比例配分の負荷と各機の出力との差がそれぞれ最大機の定格有効電力の15%を超えることなく安全運転できるものでなければならない。この場合、各機は、75%負荷においてその定格負荷に比例した負荷を与えるように調整するものとする。
−4. 交流発電機を並行運転する場合、ほぼ定格力率において運転したとき、各機の皮相電力の不平衡は、有効電力を平衡させた状態において、各機の定格出力による比例配分の負荷と各機の出力の差がそれぞれ最大機の定格皮相電力の5%を超えることなく運転できるものでなければならない。







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