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7・5・2 インピーダンスの回路の電力
 純粋の容量リアクタンス又は誘導リアクタンスのみの回路の電力は計算によれば何れも零である。よって直列のインピーダンス回路の電力を計算してみる。
 
図7・48
 
 図7・48(a)のような回路において、交流の瞬時値eとiの式を次のように表す。
 この場合、7・4・3(2)で説明したとおり、電流はθ〔rad〕だけ遅れる。
 e=E sinωt〔V〕、iI sin(ωt−θ)〔A〕である。
 電力Pは瞬時値電力pの1周期間(2π〔rad〕)の平均であるから
P=ρの平均=E sinωt・I sin(ωt−θ)の平均
=EI{cosθ−cos(2ωt−θ}の平均
=EI cosθの平均−EI cos(2ωt−θ)の平均
=EI cosθ−0
=EI cosθ 〔W〕・・・(7・56)
 このように、7・5・1の抵抗のみの電力と異なりcosθが乗じてある。θ〔rad〕は電圧と電流の位相差であって、これは遅れているときも進んでいるときもあって、L、C回路には必らず付きまとうものである。図7・49(b)のように斜線の部分が+側にあるものと−側にもある。その分だけ電力が少ないことを意味する。cosθについて後に詳しく説明する。
〔例題〕
 RC直列回路で、電圧がe=E sinωt〔V〕で電流がiI sin(ωt+θ)〔A〕であるとき、電力P=EI cosθ〔W〕であることを説明せよ。
〔解〕P=pの平均=E sinωt・I sin(ωt+θ)の平均
=2EI sinωt・sin(ωt+θ)の平均
=EI{cosθ−cos(2ωt+θ)}の平均
=EI cosθの平均−EI cos(2ωt+θ)の平均
=EI cosθ〔W〕  ただし、EI cos(2ωt+θ)の平均=0







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