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2・13・7 ソナー
 ソナーと呼称されるものには、ドップラーソナーとスキャニングソナーとがある。前者は、船底に装備した送受波器から超音波を海中に向けて発射し、その反響音に含まれるドップラー周波数を測定して船の速度を測るものである。後者は、送受波器に自在な回転及び垂直方向の角度を与え、細い超音波ビームを発射し、魚群などの目標物を広範囲に探索するものである。
(1)ドップラーソナー
 原理的にはドップラーログと同じであるが、ドップラーログが船速を表示する機能だけであるのに比べ、左右方向の船速及び水深も表示する機能を持たした装置である。
 この装置も2種類あり、船首に装備された送受波器により前後左右の船速を測るものと(2軸式)と、船尾方向にもう1個左右方向用の送受波器を追加したもの(3軸式)がある。
 ドップラーソナーは、水深数百mまでの対地速度を測る機能を有しており、この機能を使えば船の正確な動きを知ることができ、接岸時(ドッキング)にも有効に使用できる。このことから3軸式ドップラーソナーを特にドッキングソナーと呼ぶこともある。
(2)スキャニングソナー
 多数の振動子素子を円筒の円周上に配列した送受波器を使用し、送信時には全周方向に同時に強力な超音波パルスをビームとして発射する。下方向へのスキャニングは、縦方向の各層の振動子素子に加える送信周波数の位相をずらせている。
 受信時には円周方向の複数個の振動子素子を組合せてシャープな受信ビームを作り、それを電子的に高速で切換えることにより周囲の物標を一瞬にしてブフウン管上に表示し、観測、識別する。
2・13・8 無線方位測定機
 無線方位測定機は、船位決定とホーミングに利用されている。船位決定は、あらかじめ位置が判明している2箇所以上の陸上送信局の電波の到来方位を測定して、その交点から自船の位置を特定するものである。ホーミングは、航行しようとする方向にある送信局の電波の方位を測定して、目的地に直行するものである。
 このホーミング航法によって経済的な針路を求めて帰港したり、僚船に合流したり、漁網に設置したラジオブイの発信電波に向かって速やかに到達できるなど様々な利用価値がある。
 なお、この測定装置は、SOLAS1974により、船位の測定機として、及び、遭難船の遭難信号電波を受信し左右15度の精度でホーミングンができるものとして、国際航海従事の総トン数1,600トン以上の船に対し、船舶設備規程(第146条の29)で積付け義務が要求されている。ただし、GPSの普及、GMDSSへの移行によりSOLAS1988改正で、積付け義務が免除されることになったことに呼応し、船舶設備規程では、当該船舶がGMDSS移行船舶(GMDSSに係る法4条設備、航海用具及び救命設備を搭載している船舶)であって、かつ、衛星航法装置を備えている場合は、本装置の積付け義務が免除される。
2・13・9 風向風速計
 一般に使われている風向風速計は、1基のプロペラを持つ飛行機形をしている。風速は、プロペラ駆動の交流発電機に生ずる風速に比例した電圧を、風速で目盛った電圧計又は表示ユニットにデジタル表示される。
 風向は、垂直尾翼による胴体の回転角度を風向センサ(直流セルシン発信器等)で得た信号を表示ユニットにアナログあるいはデジタルで表示される。
 なお、最近の装置では、船内の他の装置から船速・船位・方位等の情報を得、表示ユニットに同時に表示されるものが多い。
 また、他の装置からの情報を演算処理し、相対風向速及び真風速を表示できる機能も有している。
 
図2.148 プロペラ式風向、風速計構成図







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