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5.2 結線要領
 
5.2.1 一般
 結線は、電気艤装工事の最終仕上げであり、電気機器が正常に動作しその機能を発揮するためには正確さが絶対条件となる。
 誤結線は、機器の正常な動作を妨げるばかりでなく、機器の損傷、火災などの事故の原因となり、接触部の緩みや接触不良は加熱や誤動作の原因となる。したがって、結線作業においては細心の注意を払って正確、確実に行い、更に次の事項に注意する。
(1)結線する場合は、端子にケーブルの重量が加わらないようにする。
(2)結線する際は、絶対に心線の減線をしない。
(3)ヒーター回路のヒーター端子に接続する場合は、はんだ付け処理を行わない。
(4)接地線の接続は、接地抵抗を極力少なくするようにする。
(5)各機器間の端子符号などは、できるだけ統一する。
 
5.2.2 心線さばき
 線端処理した心線端子を整理して機器側の端子に順序よく導く作業を、心線さばきと云う。心線さばきは、心線端子の結線作業を容易にし、振動による心線の断線や端子締付部の緩みを防ぎ、保守点検を容易にする。
 
図5.25 心線さばき要領
 
(1)心線長の余裕
 心線に引張り荷重がかからないように、また、多心線の場合は予備心線も含めて最遠距離の端子に接続できるように、長さに余裕を持たせておくこと。
(2)心線の整理、固縛
 心線は接続順序に整理し、集合部分を絶縁物のバンド、ひも等でまとめて固縛しておき、結線端を接続順序に従って引き出す。ケーブル導入口から接続端子までの距離が大きい場合は、ランナバーなどに固縛するか、あるいはダクトに入れるなどの措置を取る。
 また、心線被覆が機器や構造物で損傷しないようにする。
 
5.2.3 端子盤への接続
 端子盤への接続については、次の事項に注意する。
(1)端子の締付けは、表5.2に示すように締付けに適合した寸法の工具を使用し、締付け不十分で接触不良を生じたり、適度に締付けてねじ頭の溝を欠くことがないようにする。
(2)端子の緩み止めとして付属しているばね座金、舌付座金、ダブルナット又は緩み止め効果を有する特殊ナットは、その性能を損なわないよう正しく使用すること。
 小形端子の場合は緩み止めとして、ねじ部に白ペイント等を塗布してもよい。
(3)照明及び通信回路に多くのJIS端子及び端子盤(台)が用いられるが、これは小ねじの先端で細い導体を直接に締付けるので、図5.26に示すように、小ねじの先端の形状に注意し、平らか丸味のあるものを使用する。
 
図5.26 JIS端子ねじに対する注意
 
表5.2 端子用小ねじとねじ回しの適合
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(4)船舶で使用されている端子は、電線接続の信頼性から圧着端子(JIS C 2805−91相当)が主流となっている。
 近年、「ねじ無し(スプリング圧縮式)」の端子台や端子盤が一部に使用されているが、極端な振動がある場所では電線の固縛をしっかりする必要がある。
 従来の小型端子(JIS F 8811)、即ち、ねじ頭部の下面で電線を直接的に縮め付ける方式の端子とそれ用の船用端子盤(JIS F 8812)は、平成12年3月1日付で廃止されたので、これらに代わるものとしては、工業用端子台(JIS C 2811−95相当)が使用されることとなろう。参考に、工業用端子台(JIS C 2811−95)の規定の抜粋を下記に示す。
1)端子台の種類と定義は、次のとおりである。
 
(a)ねじ締端子台: 電線の接続に、ねじを使用する構造の端子台の総称。電線接続部の形状によって、ねじ端子台、スタッド端子台、クランプ端子台及び押締端子台がある。
(b)ねじ端子台: 端子ねじ頭部の下面で、直接的に又は座金などを介して電線又は圧着端子を締め付けて接続を行う構造の端子台。
(c)スタッド端子台: 導電金具又は絶縁物に植込みボルト(スタッド)を固定し、これにねじ込んだナットで、直接的に又は座金などを介して電線又は圧着端子を締め付けて接続を行う構造の端子台。
(d)クランプ端子台: 導電金具と締金具(クランプ)の間に電線を挿入し、締金具の押圧力によって電線を締め付けて接続を行う構造の端子台。
(e)押締端子台: 筒状の導電金具に電線を挿入し、導電金具に取り付けたねじの先で直接的に又は当て金を介して電線を締め付けて持続を行う構造の端子台。
(f)タブ端子台: 平形接続端子を使用して接続を行う構造の端子台。
(g)ラグ端子台: はんだ付けによって接続を行うためのラグを持つ構造の端子台。
(h)ラッピング端子台: 電線を巻き付けて接続するためのピンを持つ構造の端子台。
(i)ねじなし端子台: 導電金具とばねの間に電線を挿入し、直接的に又は当て金を介してばねの圧力によって接続を行う構造の端子台。
 
2)電線接続部の形状(形状は一例を示す。)
 
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