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第13規則 電源
1 船舶が海上にある間は、無線設備を運用するために、及び無線設備の補助電源の一部として使用する電池を充電するために、常に十分な電力の供給ができること。
2 船舶は、その船舶の主電源及び非常電源の故障の場合に、遭難通信及び安全通信を行うため無線設備に給電する補助電源を搭載すること。この補助電源は第7規則1(1)の規定によって要求されるVHF無線電話設備及びその船舶の水域に応じて適切に搭載しなければならない第9規則1(1)の規定によって要求されるMF無線設備、第10規則2(1)、又は第11規則1の規定によって要求されるMF/HF無線設備或は第10規則1(1)の規定によって要求されるインマルサット船舶地球局のうちのいずれか並びに4、5、及び8の規定による追加の負荷について、少なくとも次の時間の間、同時に運用することができるものであること。
(1)1995年2月1日に建造中又は同日以後に建造される船舶にあっては、1時間
(2)1995年2月1日より前に建造された船舶であって、もし非常電源が、無線設備に供給する要件を含めて、第II−1章の第42規則又は第43規則の規定のすべての関連する要件に完全に適合するならば、1時間
(3)1995年2月1日より前に建造された船舶であって、もし非常電源が、無線設備に供給する要件を含めて、第II−1章の第42規則又は第43規則の規定によって要求される非常電源が備えられていないか又はこれらの規定のすべての関連する要件に完全に適合しないならば、6時間15
 この補助電源は、独立したHF無線設備及びMF無線設備に対して同時に給電する必要はない。
3 補助電源は船舶の主推進力及び船舶の電気系から独立したものであること。
4 VHF無線設備に加えて、2に掲げる2以上のその他の無線設備を補助電源に接続することができる場合には、この補助電源は2(1)、2(2)、又は2(3)の規定に応じた時間、VHF無線設備並びに次のいずれかのものに同時に給電することができること。
(1)同時に補助電源に接続することができるその他のすべての無線設備
(2)もしその他の無線設備のうちの1の設備のみがVHF無線接辞と同時に補助電源に接続することができる場合は、これらの無線設備のうちの最も消費電力の大きな無線設備
5 補助電源は、第6規則2(4)の規定によって要求される電気的照明装置に給電するために使用することができること。
6 補助電源が再充電可能な蓄電池で構成される場合は、
(1)10時間以内に必要最小限の容量を再充電することができる場合には、その電池を自動的に充電する手段を備えること。
(2)12ヶ月を超えない間隔で、航海中でない時に、適当な方法16を使用して電池の容量を点検すること。
 
15 指針として、遭難時に必要な各無線設備のための、補助電源から供給すべき電気的負荷の算出には、次の計算式が推奨される。
 送信に必要な電流消費量×1/2+受信に必要な電流消費量+その他の負荷の電流消費量
16 蓄電池容量の点検方法の1は、その電池を完全に放電し、常用電流によって常用の時間(例えば10時間というような時間)で再充電することである。充電条件の評価はいかなる時でもできるが、航海中は電池の過大な放電を生じないようにして行うこと。
 
7 補助電源の蓄電池の設置場所及び備え付けは、次の事項を確保するものであること。
(1)最高度の供給
(2)合理的な寿命
(3)合理的な安全
(4)充電中であると又は使用していない場合であるとを問わず、電池の温度が製造者の仕様内にあること。
(5)電池は、完全に充電された場合には、あらゆる気象条件において、少なくとも必要最小限の運用時間の間給電すること。
8 この章の規定によって要求される無線設備に、その適切な性能を確保するために船舶の航行設備その他の設備からの情報の継続的入力が必要な場合には、その船舶の主電源又は非常電源が故障した場合に、その情報の継続的供給を確保する手段を備えること。
 
第14規則 性能基準
1 この章が規定の適用されるすべての設備は、主管庁による型式承認を受けたものであること。これらの設備は2の規定が適用される場合を除きIMOによって採択される性能基準17を下回らない適当な性能基準に適合するものであること。
 
17 IMOが決議として採択した、又はIMOが作成することとしている、次の性能基準参照
(1)船舶に対する、航行警報、気象警報及び緊急情報の受信のための狭帯域直接印刷通信設備〔総会決議A.525(13)〕
(2)GMDSSの一部を構成する船舶搭載用無線設備の一般要件[総会決議A.694(17)〕
(3)双方向通信が可能な船舶地球局[総会決議A808(119)及び船舶地球局の型式承認(決議A.570(14))〕
(4)通話及びデジタル選択呼出しが可能な船舶に備えるVHF無線設備の性能基準[総会決議A.803(19)及び決議MSC.68(68)附属書1(2000年1月1日以降に搭載された設備に対して有効)〕
(5)通話及びデジタル選択呼出しが可能な船舶に備えるMF無線設備の性能基準[総会決議A.804(19)附属書2(2000年1月1日以降に搭載された設備に対して有効)〕
(6)通話、狭帯域直接印刷及びデジタル選択呼出しが可能な船舶に備えるMF無線設備及びHF無線設備の性能基準[総会決議A.806(19)附属書3(2000年1月1日以降に搭載された設備に対して有効)〕
(7)406MHzで運用する離脱浮揚式衛星系非常用位置指示無線標識(EPIRB)の性能基準〔総会決議A.810(19)COSPAS−SARSATシステムで作動する衛星系非常用位置指示無線標識(EPIRB)の承認(総会決議A.696(17))も参照すること。〕
(8)捜索救助作業に利用するための生存艇(救命用の端艇及びいかだ)用レーダー・トランスポンダー〔総会決議A.802(19)〕
(9)自動浮揚型VHF非常用位置指示無線標識[総会決議A.805(19)]
(10)直接印刷電信を送信し、かつ受信し得るインマルサット標準C型船舶地球局[総会決議A.807(19)及び決議MSC.附属書3(2000年1月1日以降に搭載された設備に対して有効)並びに船舶地球局の型式承認(決議A.570(14))〕
(11)高機能グループ呼出設備[総会決議A.664(16)〕
(12)1.6GHzによるインマルサット静止衛星経由で運用する自動浮揚離脱型衛星利用非常用位置指示無線標識[総会決議A.812(19)〕
(13)非常無線設備の自動浮揚離脱並びに作動の装置[総会決議A.662(16)〕
(14)高周波狭帯域直接印刷を使用する海上安全情報の普及及び調整システム性能基準[総会決議A.699(17)]
(15)HFによる船舶への航海及び気象警報並びに緊急条項(MSI)を受信する狭帯域直接印刷電信の性能基準[総会決議A.700(17)〕
(16)GMDSSにおいて使用する舶用総合無線通信システム(IRCS)の性能基準[総会決議A.811(19)]
(17)現場用(航空用)双方向携帯用VHF無線通信装置の性能基準[決議MSC.80(70)附属書1〕
 
2 主管庁は、第1規則に規定された運用の期日前に搭載された設備について、これらに関係する基準を完全に適用することを免除することができる。ただしこの場合は、これらの設備が、IMOがそのような性能基準を採択した本質を適切に考慮して、その性能基準を満足する設備と両立するものであること。
 
第15規則 保守の要件
1 設備は、主なユニットが念入りな再較正又は再調整を行うことなく、容易に取かえることができるように設計されていること。
2 設備は、実行可能な場合には、検査及び船舶上における保守のために容易に近付き得るように、組み立てられ、かつ取付けられていること。
3 IMOの勧告18を考慮して、設備を適切に運用し、かつ保守し得るように適当な情報を備えること。
4 設備を保守し得るように、適切な工具及び予備品を備えること。
5 主管庁は、この章の規定によって要求される無線設備が第4規則に規定した機能要件の利用性を与えるように維持され、かつその設備について勧告された性能基準を満たすように保守されていることを確保すること。
6 A1水域及びA2水域を航行する船舶については、上記の利用性は、主管庁の承認するところに従って、設備の二重化、陸上保守又は海上における電子工学的保守、或はこれらの組合せというような方法を使用して確保すること。
7 A3水域及びA4水域を航行する船舶については、上記の利用性はIMOの勧告に考慮を払い、主管庁の承認するところに従って、設備の二重化、陸上保守又は海上における電子工学的保守というような方法の少なくとも2の方法の組合せを使用して確保すること。
8 第4規則に定めるすべての機能要件に適合することを確保するように、設備を良好な作動状態に維持するためのあらゆる合理的な措置がとられるべきである。しかし第4規則8の規定によって要求される一般通信のための設備が十分に機能しないことをもって、船舶が航行に堪えないという理由又は修繕のための施設の利用が容易でない港に停泊中の船舶の出港を延期させる理由としてはならない。ただし当該船舶が、すべての遭難と安全の機能を遂行できることを条件とする。
9 衛星EPIRBを12か月を超えない間隔で、操作上のすべての点について試験し、特に、周波数の安定、信号の強さ及びコーディングに特に重点を置くものとする。しかしながら、正当かつ合理的と判断するときは、主管庁はこの間隔を17か月まで延長することができる。試験は船上で行うほか、承認された試験ないしサービス施設で行っても差し支えない。
 
18 GMDSSの一部を構成する船舶搭載用無線設備の一般要件及びすべての舶用電気、電子装置における電磁両立性(EMC)に関する一般要件〔総会決議A.694(17)及びA.813(19)〕参照
 
第16規則 無線通信担当者
1 船舶には、主管庁が遭難と安全の目的のために十分であると認める資格を有する者を乗り組ませること。この者は無線通信規則に定める適当な資格証明書を有する者であること。また、そのうちの1名を遭難事故時の無線通信に関して主たる責任を有する者として指定すること。
2 旅客船においては、1の規定に従い、少なくとも1名の正規の有資格者が遭難時もっぱら無線通信業務を行うよう割り当てられなければならない。
 
第17規則 無線通信の記録
 主管庁が十分と認めるところに従い、かつ、無線通信規則で要求されるように海上における人命の安全にとって重要であると思われるすべての事件についての無線通信業務に関する記録が残されていること。
 
第18規則 船位の更新
 この章を運用する船舶に備える送受信装置で、遭難警報の船位を含め自動的に警報を出すことのできるものはすべて、どちらかが備わっているとすれば国内又は海外用の受信機のいずれかから、この情報を自動的に伝達されなければならない。このような受信機が備わっていない場合、船位とその位置が確定された時刻は、船舶の航行中は装置によって常に送受信が可能なように、4時間を超えない間隔で手動により更新していかなければならない。







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