(3)電力調査表
船の各運航状態における総合需要電力は、その状態で使われる補機類やその他の負荷の需要電力を合計したものであり、次式から求められる。
PG=ΣPc+χΣP1
ここで
PG:船の各運航状態における総合需要電力
Pc:連続運転負荷の需要電力
P1:断続運転負荷の需要電力
x:1/不等率
ただし
不等率=各負荷の最大需要電力の和/総合最大需要電力
なおχΣP1の代わりに、断続負荷のうちの最大出力の電動機及びこれと同時に運転が予想される負荷を加算する方が妥当な場合が多い。負荷の最大電力は、その機器の使用方法などによってきまり、一般に需要率が考慮される。需要率は、その設備の使用状態における最大需要電力と定格出力に対する入力との割合となる。
すなわち
をいい、一般に船舶では次の値が採用されている。
一般補機など |
60〜95% |
操だ機 |
20〜30% |
電熱器 |
50〜100% |
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|
一般電灯 |
|
航海中 |
70〜80% |
荷役時 |
60〜70% |
停泊中 |
50〜60% |
投光器 |
100% |
貨物船に使われる電動油圧ウインチ及び電動ウインチは、一般には表2.7によればよい。
表2.7(a)電動油圧ウインチ群に対する需要率(%)
(注)ポンプ駆動電動機の定格kW入力を基準とする。
(b)極数変換式交流電動ウインチ群に対する需要率(%)
電動機台数 |
2 |
4 |
6 |
8 |
10 |
12 |
14 |
16 |
18 |
20 |
需要率 |
100 |
65 |
50 |
44 |
40 |
37 |
37 |
37 |
37 |
37 |
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また、統計的手法による需要電力の推定法では荷役ウインチ等の需要電力を以下の手順により求める。
(a)ウインチ1台(又は1ギャング)の標準的荷役サイクルダイヤグラムを作成する。
(拡大画面:17KB) |
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図2.7(c)荷役ウインチのサイクルダイヤグラム(電動油圧の場合)
(b)サイクルダイヤグラムより次の値を求める。
(c)荷役ウインチ群の総合需要電力は次式による求める。
総合需要電力:
ただし、m:ウインチ台数(又はギャング数)
z:標準正規分布の確率変数
なお、zの値に対するφ(z)(起こりうる確率)の代表的な値は表2.7(d)のようになる。
表2.7(d)
Z |
0 |
1 |
1.5 |
2 |
2.5 |
3 |
4 |
φ(z) |
0.5 |
0.8113 |
0.9332 |
0.9772 |
0.9938 |
0.9987 |
0.9999 |
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すなわち、本方式で計算した電力に対し、この電力以上になる確率は、サイクルをT秒とすれば、次式に示す時間に1回という割合になる。
なお、交流船では、かご形誘導電動機を全電圧始動することが多く、自動交流発電機で、発電機の電圧特性がJEM1274の(3)特性の場合には発電機容量の20〜30〔%〕に相当する容量までの発電機の直入始動は可能であると考えて良いが、詳細については 2.4.1の(3)及び (4)を参照し検討すること。
電力調査表は、上記の需要率、不等率を考慮して作成される。
表2.8及び表2.9に貨物船及び漁船の電力調査表の一例を示す。
表2.8 ディーゼル船の電力調査表
(拡大画面:178KB) |
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表2.9 漁船の電力調査表
(拡大画面:109KB) |
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(注) |
14kWは主機駆動発電機を示す。 |
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C.L・・・連続負荷
I.L・・・断続負荷 |
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