6 電気艤装工事
(1)船舶設備規程、その他船級協会の規則に定められた事項を十分熟知し、これらに適合するように、工事を施工すること。
(2)工事中は常に防水、防振、防熱を念頭において施工すること。
(3)諸機器の用途・構造などを十分知って、その性能を十分発揮させること。
(4)確実第一を旨とし、例え工事が応急の場合であっても、後日事故の発生が起らないように心掛けること。
(5)資材の節約、搭載重量の軽減を極力計ること。
(6)定められた工事期間を厳守し、工事を完成させること。
(7)工事中は常に担当係員と十分連絡をとり、独断で工事をしないこと。そして工事完了後は担当係員に報告すること。
図面を調査し、できれば現場と比較し、図面どおりに電路を布設できるかどうか、また、関係部と打合せを行って支障があるかどうかなどを調べる。なお、その布設に当っての配線用材料例えば導板、パイプ、バンドなどを準備する。
(1)ケーブルはなるべく同じ太さのものを同じバンドに納める。
(2)積重ねは太い線を下にし、中央に高くなるようにする。
(3)ケーブルの曲げ半径は規定どおりにする。
(4)重要な電線布設にあたっては、火災の危険の大きい場所を通過させないこと。
(5)許容温度が相違しているケーブルは同一バンドで束ねないこと。
(6)金属管工事については、管の太さは電線総断面積の250%より大(電線占有率40%未満)となるようにする。その他は定めたとおりとする。
(1)電路の位置出し
(イ) |
電路の長さを最短とし、斜走電路は極力さける。 |
(ロ) |
電路布設工事は容易で、かつ、損傷をうけない場所を選び、湿気・高熱の場所をできるだけ避ける。止むを得ない場合は、防熱面から200mm以上はなす。 |
(2)機器の位置出し
(イ) |
機器は性能に応じ、操作に便利な位置を選ぶ。 |
(ロ) |
機器はその直上又は付近に管の接手とか、弁等のない位置に設置する。 |
(ハ) |
機器は蒸気管又は加熱面の防熱面より200mm以上離す。
位置出しは、勿論その物の実際の大きさで表し、邪魔物があるか、ないかを調べる。なお、関係者の立会いの上で定める方がよい。 |
ケーブル導板、ハンガ等の取付けを行い、また、金属管工事等の工事を行う。甲板及び隔壁を貫通する場所が防水か非防水かを確めそれに応じた工事をする。なお、船体のビーム、フレームなど強度上重要な部分に穴あけする場合は船体部と協議のうえ決定する。
(1)ケーブルは、できるだけ正確に寸法を取り、切取った先端はテープ巻きをし湿気が入らないようにする。
(2)切取ったケーブルには系統行先線番号を書いた札をつける。
(3)ケーブル布設は傷をつけないよう行うこと。
(4)バンド間隔は規定による。
(5)マスト及び支柱に布設の場合には船尾側に、昇降時の妨げにならない範囲内で、極力梯子の近くとし、振動や自重により下らないようにする。金属管工事の場合も中の電線が自重で下らないようにする。
(6)非防水隔壁及び甲板を貫通する場合はブッシングを設ける。
機器の配置図及び装備図によって装備するが照明器具その他小型機器の取付け位置については日本船舶電装協会の“船舶電気装備技術講座(電気艤装工事編)”を参照のこと。鉛蓄電池用の棚には鉛張り、その他は耐酸塗料を塗らねばならない。なお、鋼材のものとアルミニウム材のものと接触部分には電食防止剤を塗らねばならない。
(1)機器内に電線を導入する場合、機器の内外で交差しないこと。端子の配列は正面に向って、次のようになっている。直流は右又は上の端子は正極(+)、その逆は負極(−)。交流は左より右に又は上より下にUVW相となっていることに注意する。
(2)線端処理は定めてあるとおり行う。
(3)予備の心線は最遠距離の端子に接続しうる長さに切断し、一括して固定する。
(4)心線をむき出すときは段むきにし、被覆を直角に切り落してはいけない。心線が多い場合には端子と相符号の札をつけておく。
(5)機器とケーブルの接続は原則として端子を使用する。
(6)配電盤端子に接続する場合は定めのとおりにする。
(1)目的
機器の金属外被又は電線の金属被覆に漏電があれば、身体に感電するおそれがあるため、これを防止し、漏電のため発生火花による火災を防止し、また、外被に誘導された高周波が、妨害電圧となって、付近の電子装置に誘導障害を起すことを防止する。
(2)接地の方法
定められた方法によって、接地線で有効に接地することが原則であるが、場合により、自然接地、メタルタッチを行う場合がある。移動機器の接地は移動コード内の1本を接地線とする。
ただし、50V以下の回路電圧の機器はその必要がない。その理由は“注”の記載事項を参照されたい。
注: 直流、交流(実効値)とも50V以下の電圧は人体に危険のないものとし、安全電圧という。
(1)甲板貫通部分、倉口、はしご裏など機械的又は人為的に損傷をうけ易いところのケーブルには、適当な金属製保護覆を施す。ただし、甲板貫通部の金属製保護覆は、掃除又は塗装に便利なように床面から離して覆いをする。
(2)小形機器は防水構造であっても、雨水波浪にさらされている場合には、金属製等の保護覆を施した方がよい。また、投光器等には帆布覆を設けるのが普通である。
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