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4・14・5 遮断器
(1)気中遮断器
 一般にACB(Air Circuit Breaker)と呼ばれ回路の電流を遮断するとき、大気中で接点間に発生するアークを安全に消すことのできる遮断器をいう。この消弧を行う方法に吹消コイル(磁気吹消)を使用するものと、1938年スレピアン博士考案のディアイオングリッドを使用したものがある。気中遮断器の定格電流は60〜6000〔A〕の範囲で、定格遮断電流は交流最大で10,000〜135,000〔A〕、までである。これは自由引きはずし装置付きで、過電流引きはずし、不足電圧引きはずし等希望により選定付加される。なお、時限装置を設けるのが普通であり、一般に発電機回路の保護に用いられる。なお、JISC8372−91(低圧遮断器)、JEC160−78(気中遮断器)、NK等に規定されている。
(2)配線用遮断器
 一般にMCCB(Moulded Case Circuit Breaker)と呼ばれ、使い易く経済的なことから最も利用されすぐれた開閉性能をもち、消弧装置はディアイオングリッドを使用し、小型にできることから、配電盤、分電盤などに使用されている。なお、JISC8370−96(配線用遮断器)、NKなどに規定されている。
 
4・14・6 ヒューズ
 金属の可溶体の溶断又は気化によって回路の過負荷短絡を保護する目的に使用されるが、欠点として各相同時遮断が行われず、また、正確な限時を望むことが困難で、動作のたびに新品と交換する手数がかかる。したがって、小容量のものとか、主として回路の短絡保護用に用いられている。これもJISC8314−83(配線用筒形ヒューズ)、JISC8319−83(配線用ねじ込みヒューズ及び栓形ヒューズ)の規格がある。詳細はこれを参照のこと。また、NK規則を参照のこと。
 
4・14・7 電磁接触器
 交流電磁開閉器と混同しやすいのでこれを説明すると次のとおりである。
 JISC 8201−4−1−99(低圧開閉装置及び制御装置)の定義によれば、電磁接触器と過電流継電器と組合わせて、一つの箱に収めたものを交流電磁開閉器と称するとある。電磁接触器は直流又は交流回路において電磁石の励磁により閉路し、減磁により開路する接触子をもち、かつ、電気回路の頻繁な開閉に耐える開閉部を有するものである。
 小型の電磁接触器に複数の接点数をもったものを補助継電器として使用されている。
 詳細はNK規則を参照のこと。
 
4・14・8 開閉器類
(1)断路器
 電路の接続替えを行うとか、その接続を断つことを目的とし、無電流あるいはそれに近い状態で電路を開閉することを建前としているので、電流を遮断する能力を有しない。しばしば、MCBや刃形開閉器をこれの代用に使用している。
(2)刃形開閉器(ナイフスイッチ)
 常時の負荷電流あるいは過負荷電流くらいまでは、安全に、これを開閉できるが、負荷電流の数倍以上の故障電流の開閉は不可能で、その目的には適しないものである。
 
4・14・9 船用ソケット
 船内で使用する250〔V〕以下の主として照明器具の白熱電球のソケットについて、JISF8401−96(船用ソケット)で規定されている。口金の形状はねじ込口金(エジソンベース)とさし込口金(スワンベース)とがある。ソケットの座は座付、筒形、ボタンスイッチ付、つば付等の形式があって、照明器具に適当するものを選定できる。蛍光ランプ用ソケットは市販品で船舶用に適するものを選定する。
 
4・14・10 船用小形接続箱
 電灯回路及び通信回路の分岐又は電線の接続のために使用されるもので、詳細は、JISF8821−00(船用防水形小型接続箱)及びJMS8822−99(船用非防水形小型接続箱)を参照のこと。
 
4・14・11 船用小形端子及び端子盤
(1)船用小形端子
 電気機器内部及び機器相互間の配線に使用する軟銅のより線又は単線の電線を接続するための端子で、詳細はJISC2805−91(銅線用圧着端子)を参照のこと。
(2)船用圧着端子用端子盤
 定格電圧500〔V〕以下を定めた圧着端子に適合する端子盤である。詳細はJISF8813−00を参照のこと。
 
4・14・12 船用電線貫通金物
 布設される電線(ケーブル)が箱、隔壁、甲板を貫通する部分を防水するために使用する金物であって、それぞれについて、JISF8801−98(船用電線貫通金物(箱用))、JISF8802−87(船用隔壁・甲板用電線貫通金物)の規格があるので参照されたい。電線が多数貫通する場合には図4・16(a)(b)のようなものを使用する。
 

(a)電線貫通箱(防水用)
(b)電線貫通管(非防水用) 
図4・16
 
 
4・14・13 船用防爆灯制御スイッチ
 JISF8422−98(船用防爆天井灯)による船用防爆灯の点滅操作用スイッチで、安全な場所に取付ける制御スイッチである。スイッチのハンドルを“切”の状態のときに取外し、その取外したハンドルで、その系統の防爆灯を開放できるようにした安全のためのスイッチである。詳細はJISF8846−98(船用防爆灯制御スイッチ)を参照のこと。
 
4・14・14 船用照明灯光度加減器
 JMS8851−98(船用白熱灯光度加減器)に規格化された船用照明灯加減器は主として海図台灯(白熱電球式)に用いる可変抵抗器式光度加減器である。この外に半導体を使用した光度加減器もJISF8851−98の付属書に掲げられている。
 
4・14・15 船用計器照明灯光度加減器
 操舵室内で使用するだ角指示器、エンジンテレグラフの文字盤、指針等の照明に用いる電球、EL板などの光度加減に使用するものである。詳細はJMS8852−98(船用計器照明灯光度加減器)を参照のこと。
注:EL板について
 ELはエレクトロルミネセントランプの略称で、1946年アメリカでネサ膜をもったガラス電極が発明されてから今日のように盛んに使用されてきた。(ネサ膜とは、融点の高いガラス板を700〜800℃に加熱しておいて、これに塩化錫の水溶液を吹きつけて作った膜である。)EL板の構造は図4・17のとおりで、金属板電極とネサ膜との間に交流電圧をかければ、螢光体と誘電体とを混合した蛍光体層があり、これが発光する。
 
図4・17 EL板
 
 
4・15 電気機器完成品の試験・検査
 電気機器メーカにおける完成試験は少なくとも次のような試験項目がある。そして試験の結果、その合否の判定を下すことを検査するという。
 
 
 
4・16 復習問題(7)
(1)電気加熱器はどのような所に使用しているか。また、その加熱温度はどの位か述べよ。
(2)蛍光灯の原理及び、点灯はどのようにするかそれぞれ説明せよ。
(3)船灯のうち航海灯はどのような種類があるか、また、どのような装置と電源を必要とするか述べよ。
(4)エンジンテレグラフについて知る所を述べよ。
(5)火災探知装置について知る所を述べよ。
(6)熱電対式温度計について述べよ。
(7)自動針路保持装置とはどのようなものか説明せよ。
(8)電磁ログとはどのようなものか説明せよ。
(9)音響測探機について説明せよ。
(10)ドプラログとはどのようなものか説明せよ。
(11)GPS衛星航法システムとはどのようなものか。
(12)航海用レーダーとはどのようなものか、また、その種類を述べよ。
(13)ワンマン・ブリッジ・コントロール・システムについて説明せよ。
(14)遭難自動通報装置について説明せよ。
(15)気中遮断器について述べよ。







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