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4・10 GMDSS設備
 無線設備に関しSOLAS条約の改正及び船舶安全法が改正され、GMDSS(Global Maritime Distress and Safety System:全世界的な海上における遭難安全システム)設備が1999年2月1日から、平水区域等を航行する一部の船舶を除き、全面導入された。
 GMDSSは、次の5つの機能を柱として考えられたが、その機能とは、(1)迅速な自動的遭難通報、(2)確実な生存艇への接近、(3)現場通信の確保、(4)能率的な捜索救助協力通信、(5)海上安全情報放送の確実な受信である。
 GMDSS設備の概要と、これらの適用及び性能の詳細については、「船舶設備規程」、「船舶救命設備規程」、「電波法関連規則」、「船舶電気装備技術講座(GMDSS)艤装工事及び保守整備編」等を参照のこと。
 
4・11 その他の無線装置等
 設備の概要を「船舶電気装備技術講座 電気機器編」に記載しているが、これらの適用及び性能の詳細については、「船舶電子機器装備工事 ハンドブック」を参照のこと。
 
4・12 防爆機器
 爆発又は引火しやすい物質が蓄積し又は貯蔵される場所には電気機器は原則として設置してはならない。
 やむを得ず設置する場合には、防爆型機器であって、しかも公的の機関で承認されたものでなければならない。これに適合するためには、JISF8009−98(船用防爆機器一般通則)、並びにJISC0930−93(電気機器の防爆構造総則)を参照して製作されたものでなければならない。
 防爆構造には、耐圧防爆構造、内圧防爆構造、安全増防爆構造及び本質安全防爆構造のもの等があって、使用場所・使用目的に応じて、適切に選ばねばならない。また、場合により、二重防爆構造のもの、例えば、耐圧防爆構造と安全増防爆構造を併合したものなどがある。
 
4・13 船用電線
 船内の電気設備に使用する、ケーブル、コード及び絶縁電線は、「船用電線JISC3410−1999」(平成11年3月25日改正)に詳細が記載されているので、この規格を参照のこと。従来の規格から国際規格であるIEC規格(国際電気標準会議)の見直しに連動し、ほぼ全面的に改正となっている。主な改正点は、(1)ケーブルの難燃性にかかわる規定が、「耐炎性及び対延焼性」の2種類に規格化されて、特に、耐延焼性は、ケーブル記号の前に[FA−]が付記されている。(2)電線の公称面積の呼称はIECサイズを導入した。(3)公称電圧はIEC規格に合わせ、「0.6(交流対地電圧)/1(交流線間電圧)kV」となり、ケーブル記号の前に付記される。多心線と電話用線は従来と同じである。なお、しばらくの期間、新旧のJIS船用電線2種類が混在すると予測される。
 以下簡単に要点のみを述べる。
 
4・13・1 構造の一例
 
(a)電灯用及び動力用ケーブル
(b)多心制御用及び通信用ケーブル
(C)電話用ケーブル
図4・14 船用電線の構造例
 
 
4・13・2 導体の最高許容温度
 ケーブルの絶縁材料を損傷しない程度の導体における最高許容温度は次のとおりである。したがって、これを超える温度において、使用することは危険であるから、導体の許容電流については、これを守らねばならない。
絶縁記号 導体最高許容温度〔℃〕
P:EPゴム絶縁 85
SR:けい素ゴム絶縁 95
C:難燃架橋ポリエチレン絶縁 85
Y:ビニル絶縁(一般) 75
Y:ビニル絶縁(電話ケーブル用) 60
注:EPゴムとは、エチレンプロピレンゴムをいう。
 
4・13・3 電線の許容電流
 電線の許容電流は、連続及び短時間使用について、各種ケーブル毎に決められている。
 
4・13・4 その他
 電線の適用法については船舶設備規程、規則等に記載されているので、これらを参照し適用する。なお、接地線を絶縁線心間により込んだもの、遮へい編組のもの、等が同規格にあるが、熱電対温度計用補償電線及び高周波同軸ケーブルは同規格にはないので、前者はJISC1602−95(熱電対)の規格、後者はJISC3501−93(高周波同軸ケーブル)の規格を参照のこと。
 
4・14 配線器具(電路器具)
 主配電盤又は非常配電盤から、船内の多くの電気機器へ給電するには、図4・15のとおり、一般に樹枝状配電方式(稀には環状配電方式)が計画される。その途中において用途又は目的によっていろいろの配線器具(電路器具)が使用される。以下これらを述べる。
 
図4・15 船内給電回路例
 
 
4・14・1 分電盤
 過負荷保護装置を組合わせて最終支回路に電力を給電する盤を金属製箱内に収めたものである。これにはJMS8828−98規格(船用遮断器式配電箱)がある。JISF規格では回路電圧250〔V〕以下で、支回路定格電流はヒューズ式では16〔A〕以下で、遮断器式では遮断器の定格電流15〔A〕どまりである。
 
4・14・2 区電盤
 他の区電盤、分電盤又は最終電気機器等への給電を制御する盤を金属製箱内に収めたものである。これにはJMS8829−98規格(船用遮断器式配電盤)がある。JMS規格では回路電圧250〔V〕以下で、支回路定格電流ではヒューズ式では使用者の指定により、遮断器式では遮断器の定格電流によるが、一応100〔A〕どまりである。
 
4・14・3 船外給電箱
 停泊中、陸上電源を受電するため設けられ、主配電盤又は非常配電盤を経て船内各負荷に給電するもので、配線用遮断器、相回転方向指示装置などを備えている。これにはJMS8825−98規格がある。
 
4・14・4 スイッチ及びプラグ類
(1)5〜10〔A〕容量の小形スイッチ
 これにはJMS8840−99規格(非防水形)及びJISF8841−97規格(防水形)規格がある。定格電圧は125〜250〔V〕である。ただし、3路又は4路スイッチはJISF及びJMS規格にはないので市場品を使用するか、前記スイッチを改良するかである。
(2)プラグとレセプタクル
 JMS8831−99・8835−99規格(非防水形)及びJISF8836−96・8838−94規格(防水形)としては、非防水型と防水型とがあり、前者は定格電圧250〔V〕以下で定格電流〔A〕まである。極数は2極で、防水型は2極又は3極である。なお、非防水・防水にも接地極を有している。
(3)冷凍コンテナ用ソケットアウトレットボックス
 電源レセプタクル(250V−60A/500V−32A)、遮断器およびモニタ用レセプタクル(24V−10A)を組み込んだ防水型のアウトレットボックスである。(JISF8837−96)なお就航航路や船主によっては国際的互換性に注意する必要がある。(ISO1496/2、JISZ1619−94)







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