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6. MARPOL 73/78付属書IIの見直し(議題5関連)
(1)MARPOL Annex II改正案(BLG7/5)
(イ)プレナリーでの議論
(a)改正案について
 オランダから5分類(Appendix 1)及び3分類(Appendix 2)の両者を考慮した改正案の説明がありそれぞれの改正点を脚注に沿って議論した。
(b)Appendix 1の改正点について
 文書BLG 7/5(事務局)の5分類改正案および3分類改正案がそれぞれの脚注に基づいて審議された。
5分類改正案(BLG 7/5 Appendix 1)
・油類似物質(脚注1および3)
 我が国、イスラエルは現在トルエン、キシレンが油類似物質として輸送されていることを紹介し、INTERTANKOが当該物質に関する規定を維持することを提案した。しかしながら、現在提案されている汚染分類のクライテリアによれば、これらの物質はB類に分類されるため油類似物質に該当しなくなることから、当該規定を削除することが合意された。
・高粘性物質(脚注2)
 米国が高粘性物質の定義を変更することに関連する行政上の負担に関する懸念を表明したもの、一般海域及び特別海域並びにA、B及びC類ともに50mPa.sとすることが合意された。
・1986年以前に建造されたケミカルタンカー(脚注4)
 新附属書の発効予定年である2007年においても1986年以前に建造されたケミカルタンカーの運航が予想されることを指摘し、当該タンカーに関する規定を維持することが合意された。
・ストリッピング残留量(脚注6)
 文書BLG 7/5/1(IPTA)に基づき、ケミカルタンカーに設置されているポンプの性能に関する調査が紹介され、技術の進歩により2007年時点ではストリッピング残留量は75リットル以下になることが予想されることが報告された。当該報告を考慮の上、新造船に適用されるストリッピング残留量の要件を75リットル以下とすることが合意された。
3分類改正案(BLG 7/5 Appendix 2)
 5分類案と同様の修正が行われると共に下記の修正が行われた。
・特別海域(脚注2および16)
 特別海域における有害液体物質の排出要件とその他の海域におけるそれとに差異がないため、特別海域に関する規定を削除することが合意された
・その他の液体物質(脚注7および8)
 3分類案では該当がないためその他の液体物質(無害物質)に関する規定を削除することが合意された。
・留保規定(脚注15)
 排出要件の内航船への適用に関する留保規定は海洋環境保護委員会による指示を仰ぐため小委員会では検討を行わずそのまま維持されることが合意された。
(c)GESAMP HPの見直しによる汚染分類、船型の変更
 事務局よりBLG7/5/2の文書についての説明があった。
(d)実施上の問題への対応(BLG7/5/3)
 ノルウェーがBLG7/5/3文書の説明を行ったが、キプロス、日本より移行する時間は1年では短いとのを指摘を行った。オランダは可能であるとの意見であったが、我が国より蘭は可能であるが各国の状況は大きく異なり蘭と同様に対応できる国は極端に少なくその点を考慮すべきと発言し次回検討されることとなった。
(e)GHSの問題点(BLG7/5/4)
 米国よりGHSの摘要に関する問題点について文書の説明があった。
(ロ)ワーキンググループでの審議
 Annex IIの改正についてはWGでは議題にはならなかった。
 
7. IBCコード及びIGCコードの電気設備に関する規定の改正(議題7関連)
(1)プレナリーでの審議
 電気設備の見直しに関するMSC74及びDE45の審議結果報告(BLG7/7)、IEC規格をベースに作成したIBCコード及びIGCコードの改正案(BLG7/7/1)、ポンプルームに電動モーターの設置を禁止すべきとする提案(BLG7/7/2)の文書が、それぞれ事務局、独国、ノルウェーから紹介がなされた。
 デンマークは、MSC69/20/8で提案するとおり、特定の条件(温度制御、圧力監視、不活性ガス注入等)の下、貨物タンクに電気式サブマージポンプの使用を認めるよう主張した。これに対し、ノルウェーは、ケミカルタンカーには50近くのポンプが設置されており、メンテナンスの問題があるので、デンマーク案に反対の意を唱えた。また、独国は、貨物タンク内に設置することに安全上の問題があるとし、デンマーク案に反対した。
 独国が提案するIEC規格をベースとするIBCコード及びIGCコードの改正案に対し、ノルウェーは、現行IBCコードで危険区域として規定されているカーゴエリア内の区画及び上甲板上に、電気設備を設置することは現行のIBCコードの規定を下回るため、特に、電気式サブマージポンプを貨物タンク内に設置すること反対した。我が国は、IEC規格をベースとする独国提案を支持し、油タンカーでは承認された電気モーターをポンプルームに設置することに安全上問題ないと発言した。IECは、独国案はIEC規格を完全に取り込んだものではないので、運用上問題が生じることを指摘した。英国は、独国案に原則支持するも今回のBLG小委員会での検討結果をもとに、DE45で検討する方法をとる方が良いと主張した。サイプラスは、これまでこの見直し作業は、DE小委員会とBLG小委員会との間での審議結果待ちばかりで、なかなか議論が進まなかったことから、BLG小委員会で改正案のたたき台を作成するべきとの発言があり、議長は、大勢が支持する独国案をベースに改正案をドラフティンググループで作成するよう指示した。結果、ノルウェーのMr.Oftdolを議長にドラフティンググループで検討することとなった。
(2)ドラフティンググループでの審議
 プレナリーでの議論を踏まえ、改正案の検討がなされたところ、IEC規格を参照することが最も適切であるとの結論に至り、IEC規格60092−502を参照する脚注が加えられた。また、デンマークが提案する電気式サブマージポンプに対し、我が国は、技術的検討を行うべきであると主張した。その結果、リスク評価を行い同等の安全レベルが確保されていることを条件に認めることとなり、その旨を10.1.4として規定することとなった。
(3)プレナリーでの審議(DG後)
 ドラフティンググループで作成された原案は原則合意され、DE46で審議しその結果をBLG8で審議し、最終化されることになった。なお、IEC規格の位置づけについて、強制とすべきか勧告とすべきかの議論が行われた。条約上は強制ではないが(改正手続きを踏まない)、実質上強制とするために「同等以上とする」旨の条文に改めた。ノルウェーは今時会合で作成された改正案に合意できないことを再度表明した。
 
8. FPSOs及びFSUsに対するMARPOL附属書I要件の適用(議題8関連)
(1)プレナリーでの審議
 FPSO及びFSUに係るMARPOL条約上の船舶としての位置づけの議論が行われた。事務局から、「一般的適用関係として、『船舶』の定義規定は、条約本文第2条(4)に存在し、附属書Iにおいては、『油タンカー』(第1規則(4))及び『油タンカー以外の船舶』の2つのカテゴリーに分類される。FPSO及びFSUを『油タンカー以外の船舶』として位置づけるのであれば、自動的に『油タンカー以外の船舶』に対する関連規定が適用される。」旨の説明がなされた。
 この後、附属書I第2規則(適用)(2)「油タンカー以外の船舶のうち、油をばら積みするために造られ、・・・」、(4)(a)「水中翼船、エアクッション船その他の新しい型式の船舟類・・・」の適用関係について議論が行われたが結論は得られなかった。なお、我が国等は(4)(a)の船舶が適用されるべきとの主張を行った。
 その後、DG設置が決定され、次の事項について審議することとした。
BLG7/8/1 ANNEX2 をもとにMEPC決議案を準備すること。
MARPOL条約附属書Iに係る改正案を準備すること。
コレスポンディンググループに対するTORを準備すること。
 MARPOL条約附属書I以外の規定のFPSO及びFSUに対する適用について、今後のMSCの作業計画に取り込むことについては支持が得られなかった。
(2)ドラフティンググループでの審議
 上記TORに基づきDGで審議した結果、ガイドラインはMEPC決議ではなく回章の形式をとること、FPSO及びFSUはMARPOL条約附属書I上第21規則のプラットフォームに相当すること、国際海洋汚染防止証書の新たなフォームが必要であること、本件審議の目標期間を2003年まで延長すること、今後CGを設置しBLG8までの間討を行うこと等が同意された。
(3)プレナリーでの審議(DG後)
 上記(2)のうち、FPSO及びFSUはMARPOL条約附属書I上第21規則のプラットフォームに相当することについて、オランダ、米国からDGで決定するのは適当ではない旨の意見が出されたが、議長からCGでもこれらを検討し、次回BLG8において決定するのが適当である旨総括し、DG審議結果を了承した。
 なお、本件については次回BLG8においてはWGが設置されることとされた。
 
9. タンカーにおける毒性物質を含む貨物の運送における人的保護の要件(議題9関連)
 BLG7/9、BLG7/9/1、BLG7/9/2、BLG7/9/3、BLG7/9/4、BLG7/INF.3 が各提案国からそれぞれ紹介があり、(1)MSC/Circ.752の改正、(2)SOLAS条約II−1章F部の新設、(3)貨物情報、(4)安全指針のテーマごとに審議を行うことになった。
(1)MSC/Circ.752の改正 (BLG7/9/1)
 デンマークが提案するMSC/Circ.752の改正の必要性について、我が国、ギリシャ、独国、サイプラス、米国、蘭国、バハマ、バングラディッシュ等多数の国が支持し、MSC/Circ.752の改正を今後行うこととなった。
(2)SOLAS条約II−1章F部の新設
 独国(BLG7/9/4)、デンマーク(BLG7/9/1)が提案したSOLASの改正の必要性については独国、豪、デンマークが支持した。これに対し英国、サイプラス、バングラディッシュなどが既にISMコードにより担保されていることを理由に反対し、改正の必要性は無いことが合意された。
(3)貨物情報
 原油を運送するタンカーにおいても貨物の貯蔵に関する一般的な個人保護のための安全規則が含まれるべきであり、貨物情報(MSDS)が各航海に要求されるべきであるというINTERTANKOの提案(BLG7/9/3)は、バングラディッシュ、英国、デンマーク等の諸国がこれを支持した。今後さらにMSC76、BLG8において審議されることとなった。
(4)安全指針
 乗組員の健康と安全についての指針に関する米国の提案(BLG7/9/2)は、飽くまでもガイドラインの位置付けとし、強制化するものではないということで合意され、更にMEPC48、MSC76にて検討されることとなった。
 
10. オイルタグシステム(議題10関連)
 英国からDNAの研究中間報告(BLG7/INF.5)がされ、特段の議論なくノートされた。
 
11. 氷海域を航行する船舶のためのガイドライン(議題11関連)
 事務局が用意したテキスト(BLG7/11)は、修正なく原案とおり合意され、MEPC48及びMSC76にそれぞれ報告することとなった。
 
12. 作業計画及びBLG8の仮議題(議題12関連)
(1)ワーキンググループの設置
 「有害液体物質の汚染分類の見直し及びMARPOL附属書IIの全面見直し」
 「シップリサイクリング」
 「FPSOs及びFSUsに対するMARPOL附属書I要件の適用」
(2)ドラフティンググループの設置
 「MARPOL附属書Iの全面見直し」
(3)コレスポンディンググループの設置
 「確率論的手法を用いた油流出量の見直し」
 「FPSOs及びFSUsに対するMARPOL附属書I要件の適用」
(4)次回開催日
 2003年3月24日から28日に開催することになった。
(5)ESPH-WGの開催
 2002年11月4日から8日に開催することになった。
 
13. 議長及び副議長の選出(議題13関連)
 2003年の議長としてシンガポールのZ. Alam氏が、副議長としてノルウェーのS. Oftedal氏が再選出された。
 
14. その他議題(議題14関連)
(1) IACSから提出された乳化油及び高密度油の運送に関する情報は(BLG7/INF.6)、ノートされDE小委員会で検討することとなった。
(2) ICSから提出された高排出時におけるN2の供給を受けるケミカルタンカーに関する情報は(BLG7/INF.6)ノートされた。
(3) MSC75に提出したIACSの統一解釈(MSC75/19/2)について、BLGに関連する統一解釈を検討することになっていたが、MSC75とBLG7の会期間が短いため審議されず、次回送りとなった。







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