日本財団 図書館


付録1.5 第8回IMO・BLG・ESPH作業部会報告
[I]会合の概要
(1)平成14年11月4日〜8日 ロンドンIMO本部
(2)参加国又は機関
 ベルギー、独、日本、蘭、ノルウェー、パナマ、フィリピン、ロシア、スウェーデン、英、米、ICS、CEFIC、INTERTANKO、DGAC及びIPTA
(3)議長等
議長 Mrs. M. C. Tiemens-Idzinga(蘭)
事務局 Mr. J. Crayfbrd
(4)日本からの出席者(敬称略、順不同)
岡村 敏 日本造船研究協会
石綿 雅雄 日本化学工業協会
濱田 高志 日本海事検定協会
(5)主な議題
(1) 新規物質の評価
(2) 汚染分類決定のための基準の策定
(3) 改正MARPOL73/78附属書II本文案の見直し
(4) 洗浄剤の評価
(5) MEPC.2/Citc.7の見直し
(6) 分類システムおよび運送要件割当基準の変更にともなうIBCコードの見直し
 
[II]審議結果の概要
(1)MARPL73/78附属書IIの見直し
(イ)汚染分類の見直し
 MEPC48にて合意されたとおり今回会合では汚染分類決定のためのクライテリアに関する見直しは行われなかった。
(ロ)改正MARPL73/78附属書II本文の見直し
 3分類案および新5分類案それぞれに基づき、附属書IIの本文の見直しが行われた。この見直しは編集上の見直しであり実質的な内容の変更は行われていない。なお今回会合では時間の都合上3分類案に基づいた見直しのみが行われ、新5分類案に基づいた改正本文は、3分類案に基づいた見直しをベースに事務局が準備することとなった。
(ハ)新汚染分類システムの植物油輸送への影響
 MEPC48からの要請に従い新汚染分類システムが植物油輸送に与える影響に関して検討が行われた。本検討にはIPTAから提出された植物油の輸送量を油種および国別に集計した資料(BLG8/6、ANNEX5)が利用された。
残留量制贋
 現在多くのケミカルタンカーのダブルハル化が進んでおり、新船に関して貨物残留量制限(ストリッピング・リミット)を要求することは実質的に問題ではない。現存船に関しては、現状行われているスウィーピングを実施することによって貨物残留量を削減することは十分に可能である。しかしながら、残留量制限の要件がないことや時間的制約等からそれらの作業が行われない場合があり、これが残量貨物の合法的大量排出につながっている。
ディープタンクでの輸送
 現状ディープタンクで輸送される植物油量は全植物油輸送量に対して0.5%程度であり、オフショア・サポートベッセルによる化学薬品の輸送に関するガイドラインと同様のガイドラインを作成することで対応出来ると考えられる。ディープタンクの構造上一般的なケミカルタンカーよりも残留量が少なくなる場合もある。
植物輸送運賃の上昇
 多くのケミカルタンカーは船型2および船型3両方のタンクを有しており、また、船型2のタンカーの数は貨物に対して過剰気味であることから、貨物に対する船型要件が変更になったとしても輸送に供されるタンカーの数は十分である。また、商習慣上、船型要件の相違・変更は、貨物輸送運賃の上昇に大きな影響を及ぼすことはないと考えられる。議論の中でフィリピン代表が同国から輸出されるココナッツ油の輸送実態を報告した。フィリピン代表によれば、ココナッツ油はバルクキャリアーおよび船型3のケミカルタンカーにて輸送されているとのことである。
 以上の検討結果をふまえ、新汚染分類システムを導入した場合でも植物油輸送に多大な影響を及ぼすことはないであろうことが合意された。しかしながら、太平洋諸島諸国における植物油の輸送などは一般原則から免除する等の措置が必要かもしれないとの認識で一致した。
 
(2)新規物質の評価
 BLG7および今期会合に提出された合計4種の新規物質の評価が行われ、その内下記3種の物質はMEPC.2サーキュラーに新たにエントリーされることとなった:
Alkyl (C12+) dimethylamine;
N-Ethyl methylallylamine;
Fatty acids, essentially liner, C6-C18, 2-ethylhexylester。
 残る1種(Carbon Dioxide)はIGCコードの新エントリーとして合意された。
 なおMEPC.2サーキュラにエントリーされた3種の物質については、より詳細で完全なデータが揃うまではIBCコードに取り入れるべきではないと合意された。
 
(3)洗浄剤の評価
 日本から提出された1種の洗浄剤を含む10種の洗浄剤の評価が行われた。10種の内9種(日本からの1種を含む)が基準を満たしていると合意され、MEPC.2/Circ.8に記載されることとなった(BLG8/6、ANNEX4)。
 
(4)MEPC.2/Circ.7の見直し
 日本および米国の要求に基づき、本年末をもって暫定評価の有効期限が切れる3種(日本:1種、米国:2種)の物質について検討が行われ、次回のGESAMP/EHS会合に詳細なデータを提出し最終評価を受けることを条件として、それらの物質の暫定評価の有効期限をさらに1年間延長することが合意された。
 
(5)分類システムおよび運送要件割当基準の変更にともなうIBCコードの見直し
 事務局が用意したWP(ESPH8/WP.2:Identification of potential changes to the IBC Code)を基に、新汚染分類システムを導入した場合に改正が必要となるであろうIBCコードの部分の検討を行った。本検討の結果は次回BLGに提出され(BLG8/6、ANNEX7)IBCコードの改正作業の基礎資料として使用されることとなる。なお、時間の制約から、運送要件割当基準の変更にともなうIBCコード本文の改正についての検討は行われなかった。
 
(6)汚染の危険性のみを有する混合物の分類および船型決定計算方法
 MSC/Circ.265セクション5に規定された現行の混合物の汚染分類および船型要件決定に係る計算方法は、GHSに規定された水質汚濁物質の混合物に係る計算方法(ESPH/WP.3)と相違している。今会合ではGHSの計算方法に則した混合物に係る新計算方法の検討を行った。
 議論の中で、GHSは急性毒性および慢性毒性のみを考慮した計算方法であるが、MARPOL条約附属書IIの汚染分類および船型要件決定は、それらのみならず、生物蓄積性、生分解性、物理的性質等も考慮されており、GHSの方法をそのまま適用することは難しいとの意見もあったが、極力GHSに則した方法を取り入れるべきであるとの意見が体勢を占めた。検討を行った結果、さらに詳細な検討が必要であるとして今後も検討を続けることとなった。
 今後下記5種類の選択肢を検討の対象としていくこととなる。:
(a) 混合物そのもののテストデータを基に汚染分類および船型要件を決定する(急性および慢性毒性のみを考慮する);
(b) ハザードプロファイルの決定に関係するそれぞれの物質の危険性データを使用してGHSの計算法に従い混合物としての危険性を計算する(生物蓄積性、生分解性および物理的性質に関する計算法はGHSでは規定されてはいない);
(c) それぞれの物質のハザードプロファイルのレーティングを使用してGHSの計算法に従い混合物としての危険性を計算する(生物蓄積性、生分解性および物理的性質に関する計算法はGHSでは規定されてはいない);
(d) GHSの計算法をそのまま使用する;および
(e) MSC/Circ.265セクション5に規定された現行手法の原則を使用する。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION