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 瀬戸内海は、中国山地・四国山地などに囲まれた大きな盆地としての形状をしており、海陸風や山谷風の影響を局地的に受けやすい地形である。局地的な小循環は水蒸気を蓄積し、蓄積された水蒸気が飽和に達して霧が発生する。したがって、局地的な循環は霧の発生や持続に非常に大きな影響がある。
 図4.2.4に代表的な霧発生事例として2000年7月2日8時における視程の分布図、図4.2.5に同時刻の切断面C−Dの雲水量の鉛直断面図を示す。霧は淡路島の北西の海上の比較的広い範囲で発生した。切断面C−Dでは風速が弱く、局地的な小循環が形成され、水蒸気を蓄積して霧が発生・持続する状態が再現されていた。
 区域Bは複雑な地形に囲まれているため、比較的スケールの大きい霧が発達しづらく局地的な霧が発生する。また、2002年6月5日は事故の発生した事例で、男木島で1時間だけ霧が観測されており、局所的な霧が発生したと想像される。このような霧を予報するためには、小スケールの局地循環などが重要であり、小スケールの局地循環を精度よく再現するためには、さらに細かな格子間隔による計算をする必要があると考えられる。
 
図4.2.4 2000年7月2日8時
瀬戸内海の視程分布図(●:霧が観測された地点)
 
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図4.2.5 2000年7月2日8時
霧発生地点の鉛直断面図(切断面C−D)







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