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2.3 瀬戸内海で発生した霧(2000年〜2002年)
 観測値として、本州四国連絡公団から提供して頂いた、坂出、下津井、因島、多々羅、来島海峡の2000年〜2002年の時間視程データと、高松気象台から提供して頂いた男木島の同時期の時間視程データを使用して霧の統計を行った。観測地点を図2.3.1に示す。瀬戸内海には明石海峡大橋・安居島など他の観測点も存在するが、空間的に密で安定したデータが得られるため、以上の6地点の観測値によって解析を行った。簡単のため、下津井・男木島・坂出を備讃瀬戸地域、因島・多々羅・来島海峡を来島海峡地域とした。
 表2.3.1〜表2.3.3に2000年〜2002年の4月〜7月に瀬戸内海で霧の発生した日を示す。霧の判定は時間視程1000m以下とした。○を3地点のどこかで霧の発生した日、×を霧の発生していない日として表示した。霧発生の際、雨を伴ったものを雨霧、伴わなかったものを晴霧とした。雨霧の判定は、前日午後12時から当日午後12時の間に、1mm以上の降水と霧が同時刻に観測された事例を雨霧とした。海難事故が発生した日には、その気象災害名も合わせて表示した。
 
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図2.3.1 霧観測地点
 
表2.3.1 2000年瀬戸内海で霧の発生した日
備讃瀬戸地域 来島海峡地域 海難事故
4 5 ×  
  10 ×  
  14 ×  
  15 ×  
  20 ×  
  21 ×  
  25 ×  
5 7 ×  
  19 ×  
  23 × × 海上視程不良害
  27  
  28  
  31 ×  
6 1 海上視程不良害
  9 ×  
  11 ×  
  17 ×  
  18 ×  
  20 ×  
  21 ×  
  22  
  23  
  25 ×  
  26 ×  
  27  
  28 ×  
  29  
7 1 ×  
  2 ×  
  5 ×  
  7 ×  
  25 ×  
  26 ×  
  28 ×  
  31 ×  
○:霧の発生した日、×:霧の発生していない日
 
表2.3.2 2001年瀬戸内海で霧の発生した日
備讃瀬戸地域 来島海峡地域 海難事故
4 22 ×  
  24 ×  
  29 ×  
5 2 ×  
  8 ×  
  9 ×  
  21 ×  
  23  
  24  
  25 ×  
  28  
  30 ×  
  31 ×  
6 6  
  14 ×  
  18  
  19  
  20 ×  
  22 ×  
  23 ×  
  24 ×  
  25  
  30 ×  
7 2  
  6 ×  
  12  
  13  
  15 ×  
  16  
  17 ×  
  20 ×  
  26  
○:霧の発生した日、×:霧の発生していない日
 
表2.3.3 2002年瀬戸内海で霧の発生した日
備讃瀬戸地域 来島海峡地域 海難事故
4 8 海上視程不良害
  15 ×  
  16  
  17  
  21 ×  
  22 ×  
  24 ×  
  25 ×  
5 1  
  5 海上視程不良害
  7 ×  
  8  
  10 ×  
  11 ×  
  13 ×  
  15 ×  
  17 ×  
  18 ×  
  22 ×  
  23 ×  
6 5 × 海上視程不良害
  11 ×  
  20 ×  
  29 ×  
  30  
7 1  
  2  
  3 ×  
  4 ×  
  5 ×  
  9 ×  
  10  
  17  
  18 ×  
  19 ×  
  21 ×  
○:霧の発生した日、×:霧の発生していない日
 
 前項の霧発生日に基づき、2000年〜2002年の4月〜7月の霧発生日数の統計を行った。表2.3.4に地域別の霧発生日を示す。2000年〜2002年は毎年同日数程度の霧が発生しており、雨霧は晴霧の約2倍発生していた。備讃瀬戸地域は来島海峡地域と比較して霧が発生しやすいことが分かった。それは、備讃瀬戸地域は南からの暖かく湿った空気の流入の影響を受けやすいためと考えられる。
 図2.3.1に典型的な晴霧の発生した2000年7月15日7時のAMeDAS観測値を示す。備讃瀬戸地域には、南東の海上から空気が流入しているが来島海況区域には南からの空気の流入が少ないことが分かる。
 
表2.3.4 2000年〜2002年の霧発生日数
  坂出・下津井・男木島 因島・多々羅・来島 合計
 
2000 14 20 1 6 35
2001 11 20 5 8 32
2002 12 21 4 9 36
合計 37 61 10 23 103
 
図2.3.1 2002年7月15日7時
風AMeDAS観測値
 
2.4 解析事例
 前項までに示した2000〜2002年に発生した霧から数事例を抽出し、該当日の計算を行い、沿岸・内湾における霧予報の実用化の可能性を調査する。
 代表日は以下のどちらかの条件を満たす事例とした。
1. 複数地点で霧が観測されている
2. 1地点以上で霧が観測され、かつ事故が発生している
 
 また、さらにその事例の中から、天気図が以下の条件の日を抽出した。
晴霧:四国の南東に高気圧があり、南から暖湿流が入りやすい。
雨霧:四国を前線が通過している
 
 以上の条件から最終的に計算を行ったのは以下の事例である。
 
晴霧
2000年7月2日
2001年6月25日、7月15日
2002年4月8日、6月5日
 
雨霧
2002年5月5日、5月11日







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