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海洋科学技術研修テキスト

 事業名 マリンサイエンス・スクール事業
 団体名 海洋研究開発機構 注目度注目度5


新たなる挑戦
 気候変動や地震などの地球変動メカニズムの解明、未知の深海微生物や地下生命圏の解明、ガス、ハイドレートなどの新しいエネルギー資源の発見、更には人類未踏のマントルヘの挑戦は、人類共通のチャレンジングな課題です。海洋科学技術センターはこれらの人類共通の課題に対し新たなる挑戦を始めています。
 これらの課題の克服により、自然災害の予測、有用微生物の産業などへの応用、エネルギー/地球環境問題の解決など社会の発展にも大いに貢献できると期待されています。
 
深海地球ドリリング計画(OD21計画)
 1975年に始まった国際深海掘削計画(IPOD*1及びODP*2)は、日本を含む20ケ国以上が資金を分担し、国際科学プログラムの中で最も成功した野心的な取り組みであるといわれています。現在、JOIDES Resolution号を用いて実施されているこの計画は、今新たに、日本が建造する世界最高の科学掘削能力を持つライザー方式の地球深部探査船「ちきゅう」と米国の従来型掘削船との2隻を用いた統合国際深海掘削計画(IODP)へと大きく飛躍しようとしています。
 海洋科学技術センターでは、この一翼を担うOD21計画の中心的な役割を担うこととなり、現在、水深2,500m(最終目標4,000m)の海域で7,000mの掘削能力を有する「ちきゅう」の建造をはじめ、さまざまな準備に取りかかっています。
 
*1 international phase of ocean drilling:国際深海掘削計画の意で、現行のODP(国際深海掘削計画)の前身
*2 ocean drilling program:国際深海掘削計画(第二次)の意
 
1)OD21計画の目的
 深海底を掘削し、地球の歴史をとどめる海底堆積物や地殻、さらにはマントルに至る地球自身を構成する試料の採取を行います。それと並行し、掘削孔内に計測機器を設置して地震波等の長期観測を行います。本計画では、地球変動のメカニズムの解明や新たな資源の発見などを目指すもので、「地球フロンティア研究」における地球気候変動研究や、「極限環境生物フロンティア研究」における地殻内微生物研究とも連携し、それらの研究にも貢献できることが期待されています。
 
2)深海掘削の意義
 「ちきゅう」などによる研究を目的とした深海底の掘削を、科学掘削と呼んでいますが、その必要性については、次のようなことがあげられます。
 
1. 海洋の堆積物は、陸と違ってあまり浸食を受けていないため、過去から現在に至る地球環境や地殻変動が時系列データとして記録されており、それによって将来の予測も可能になります。また、海洋底を掘ることにより、地球誕生以来の地球の進化を支配し続けてきたメカニズムを解明することも可能です。私たちがこれまでに学んできた地球のダイナミックな姿の多くは、この深海掘削によって明らかになってきたと言っても過言ではありません。
 
2. 未だ人類が到達したことのないマントルは、地球の体積の8割を占め、固体でありながら、流体的ふるまいをするという特異な物理的性質によって地殻を動かしています。そのマントルヘの最短距離が深海底にあります。
 
3. 巨大地震の多くが海域で発生しており、その地殻変動プロセスを直接かつ精密に観測するには、深海掘削による深部構造の究明と掘削孔深部に設置した機器による観測が極めて有効です。
 
4. 未知の生命や新しい資源が海底下に眠っていることが、さまざまな研究の中から推測されるようになってきました。
 
5. 人類の活動領域を深海、さらに海底下に拡大する技術的基盤を提供してくれます。
 
(拡大画面:156KB)
 
3)これまでの成果
 深海の科学掘削は、昭和36(1961)年に米国の「カス1号」によって初めて実施されました。それ以来、「グローマーチャレンジャー号」によるDSDP(Deep Sea Drilling Project:ODPの前身となる深海掘削計画)及びそれに続くIPOD(国際深海掘削計画)、「ジョイデス・レゾルーション号」によるODP(国際深海掘削計画)へと引き継がれ、これらにより、以下の成果が得られました。
 
1. 過去の気候変動の解明
 深海底の堆積物の解析から、過去の地球環境が大きく変動していたことが分かりました。
 
2. プレートテクトニクスの実証
 中央海嶺を横断する深海掘削から、海洋性地殻の形成年代を決定することによって、プレートテクトニクスを初めて実証しました。
 
3. ガスハイドレートの存在確認
 海底に多量のメタンが水和物(ガスハイドレート)として閉じ込められており、その挙動が地球温暖化や大陸斜面の崩壊などの原因となっていることが指摘されるようになりました。また、ガスハイドレート層からのサンプルの本格的な回収が行われたことにより、埋蔵量が予想外に多いことが判明しました。







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