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(4)自己浮上型海底地震計
 日本周辺において、マグニチュード8(M8)を越える巨大地震は、そのほとんどが海底下で発生しています。そのような地震の原因となっているのがプレートの沈み込みであるため、地震発生の予知をするためには、海底下の構造、特にプレートの沈み込み帯で何が起こっているのかを探ることが重要です。そこで海洋科学技術センターでは、海底下構造の調査に取り組んでいますが、そこで使われているのが自己浮上型海底地震計です。
 本地震計は、調査海域の観測測線上にあらかじめ設置しておき、船上から海底に向けてエアガンと呼ばれる装置により、人工地震波を発震して人工的な地震を発生させ、地層からの屈折波を受信する装置です。これにより、海底下約30kmでの地層の様子を知ることができます。なお、海底に設置する地震計は、錘り(アンカー)により海底に固定されていますが、データ取得後は、船上から音響信号を発信してアンカーを切り離し、浮上させます。
 
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海底下深部構造を探る探査システムの原理
 
 一方、海底地震総合観測システムは、地震や津波などの海底変動現象を長期間連続でリアルタイムで観測するもので、現在、重点地域として高知県室戸沖と北海道釧路・十勝沖に設置されています。室戸沖およびその周辺海域は、フィリピン海プレートとユーラシアプレートとの衝突に起因して、1944年の東南海地震など、巨大地震が多発し、海底下の地殻変動が活発な海域として知られています。
 また、北海道の下には、太平洋プレートが千島海溝から西南西の方向へ年間約8cmの速度で沈み込んでいて、この沈み込みに伴う活発な地殻変動のため、北海道太平洋沖合では1952年に十勝沖地震などの巨大地震が発生しています。そこで、釧路・十勝沖に本システムを設置し、日夜精度の高い観測を行っています。
 
◆日本列島周辺のプレート境界
 
海洋科学技術センター
 
南海トラフにおける観測網の展開
 
◆高知県室戸岬沖「海底地震総合観測システム」の観測機器
先端観測ステーション
 
海底地震計
津波計
 
 今後、日本周辺の太平洋側、日本海側および南西諸島方面のプレート境界域等に「海底地震総合観測システム」を多数設置する計画があります。







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