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(3)サイドスキャーンソーナー(side scan sonar)による探査
 サイドスキャーンソーナーは、海底の物体に影を作って、その大きさと形を知ることのできる装置です。この装置の原理は、図3に示したように、海底からある高度を保って曳航されるディープ・トゥシステム*1(図4)に積まれた送受信装置から薄い扇型のビーム(Fan Beam:図5)を斜め上方から送波し、海底の凹凸にぶつかって戻ってくる信号の時間から距離を算出し、併せて信号の強度を色の濃淡に変えて、2次元的に表示するものです。そもそもこの装置は、1960年代に米国の原子力潜水艦の沈没事故の調査を行うために開発されたものですが、その後、信号処理や画像処理技術の進歩により、精度や画質が格段に向上したことから、近年、沈船や墜落した航空機の探査などに盛んに使われるようになってきました。
 
*1 船上から(電力や信号を送る)ケーブルによって吊り下げられて海底附近を曳航し、調査を行うシステムのことです。これには、ソーナーシステム(図4写真左)とテレビシステム(図4写真右)とがあり、それぞれ、調査目的により使い分けられます。
 
 また、この種のもので、周波数が数十KHz〜数百KHzのものがプレジャーボートでも使用されていますが、この場合の探査幅は、数百m〜数kmで、解像度は、数cm〜数m程度です。
 
図3 サイドスキャンソーナーの原理
 
サイドスキャンソーナー曳航体
TVカメラ曳航体
図4「ディープ・トウ」システム
 
図5「かいこう」のソーナーシステム
 
 なお、無人探査機「かいこう」に搭載されたサイドスキャンソーナー(図4)は水深1万mを越える深海域でも使用できる唯一の装置ですが、学童疎開船の「對馬丸」(図6、7)、ロシアタンカーの「ナホトカ号」(図8)や打ち上げに失敗した「H2ロケット」の機体の探査においても大きな威力を発揮しました。
 
図6 サイドスキャンソーナー記録
(黒いほど反射が強いことを示す。枠の中がエンジン部品の反射)
 
図7 「かいこう」のサイドスキャンソーナーによる船影の確認
 
図8 海底に沈んでいるナホトカ号の映像







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