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討議
 
コース・デイ(カンボジア国会議員)
 カンボジアはCAPPD設立以降様々な政策を提言し、対策をとってきている。人口だけではなく食料安全保障などについても全体的な対策が必要。貧困の拡大に対する対策や女性が対等の権利を持っていることへの理解をすすめる政策を国際協力を頂きながらプログラムとして実施している。
 
中国議員
 中国の家族計画は五十年の歴史を持っている。一九五〇年から家族計画が実施され一九六〇年、一九七〇年代、一九八〇年代には基本的な国家政策となった。一九九〇年には具体的な国家政策として実施され、二〇〇〇年代には法律を整備して法的な担保が取れるようになった。中国が家族計画政策を取らなければ増えるはずであった三億八千万の人口が増えなかった。
 
ジャキー・クロイ上院議員(フィジー)
 人口増加と生活の質を考えることが重要。教育と安全な水や食の問題を考えるときにそれぞれの文化のもつ独自性を考慮に入れ、それぞれの社会における生活の質を考えることが大切。ただこの戦略も人口が増加すると対策が困難になる。その意味で、人口を無視して対策を立てることはできない。しかし、この問題は支援を得ることが必要ではあっても他国から強制される問題ではない。人口問題は国の意思決定の問題であり、その意志に基づいて自ら決定しなければならない問題である。
 
インド:
 子供や孫の世代は私達の努力をなんと言うだろう。すべての国が、中国が取り組んでいるようなことを取り組めているわけではない。国によっては必要性を考えていないかもしれない。ただ中国は非常に大きな実績を示した。具体的な例として見ることができる。しかし、インドでは多くの人が強制されることは良くないと考え、中国ほどの進展は見せていない。
 
ネパール:
 これまでの発言に付け加えたいことがある。ネパール・ボナーパーティには「よき母を得たならばよき国家ができる」という言葉がある。何か欲しいものがあればそれは「男性にたのめ」しかし、何かを実施したければ「女性に頼め」という言葉がある。女性が実質的に果たしている役割は非常に大きい、男性のメンタリティーをかえて、女性に地位を与えなければ現実は変わらない。
 
マレーシア:
 マレーシアは国土の割には人口が少なく今後の開発可能性は大きい。マレーシアとしてもAFPPDの二十年の実績を高く評価している。人口と開発は深く関係している。開発に人口の視点を入れるべきである。政策の中に人口の視点を十分入れていない諸国も多く、そういう諸国にAFPPD活動を通して影響を与え、支援していくことが必要。活発でない国で活性化する必要がある。国会議員の役割は途上国や各地域が更に遅れをとらないように支援していくことである。参加者が各国に戻り議会に働きかけることで人口と開発の問題を最優先課題として欲しい。AFPPDが私たちの地域の将来を変える組織となるべきである。
 
リアーゾ上院議員(フィリピン)
 生活の質(Q0L)の改善が重要である。女性と子供の売買春の中止等の緊急課題にこれまで取り組んできた。AFPPDが各国における政策立案に関して、指導して欲しい。
 また、WTOの全面的な実施の影響が深刻な影響を途上国に与えることが懸念され、これに対応するために途上国の側からも提案を出すことが必要である。見直し期限が迫っているGATT/WTOの合意形成に国会議員のコミットメントが必要である。このままでは途上国へ不利になってしまう。先進国から輸出国への課税が一方的に決められたのは、途上国にとって不利となっている。マクロ的にWTOを考えて行くことが必要である。
 
イラン:
 人口と開発は深く関わっている。環境を守り生き物を守ることは、生命としてあたりまえのことである。人類はこの太陽系の生物の中で最も利益を受けてきた。この惑星に生きる人間として人口を減らす必要すらある。この会議のために数学モデルを作成した。
 
中国:
 持続可能な開発に対する私見をのべる。持続可能な開発を実現するためには、人口圧力を減らすことが重要。モンゴル自治区の出身であるが環境保護が人々の生活をまもるためにも必要になってきた。砂嵐の予防にも国民の啓発が必要、事の是非を見分けることが必要。環境に対する倫理を養うために道徳教育を子供達に実施することが重要。持続可能な開発が中国で推進されるよう努力する。
 
マレーシア:
 シュさんの発表で開発における女性の重要性に注目したことは大変意味がある。持続可能な開発のための世界サミット(WSSD)が開かれたが、その一方で人種差別、皮膚の色で紛争が起こっている。マレーシアは民主化のために戦っている。またテロを容認する国もあるがマレーシアは断固として反対している。世界の情勢が不安定な中で、テロがやまない中で、私達の努力がいかなるものであるべきなのか考えなければならない。
 
シン:
 WSSDのヨハネスブルグにおける宣言のなかに男女平等は明確に記載されている。いかなる国際国連会議でも男女平等は疑いなく主張されている。しかし、各会議毎にいかに具体化するかについて議論が分かれている。現実的には実現の手段は各国の裁量に任されている。
 
インド:
 人口抑制は、経済の安定的な開発にかかっている。女性のエンパワーメントがあれば人口は抑制される。持続可能な開発の概念をいかに実施していくかが重要である。
 
リ・ホンギ(中国)
 男女平等は世界中のコンセンサスだと思う。しかし、“いかに”という点が問題である。人口・開発は合い矛盾しないものであり、むしろ協調して両方を達成することができると考える。
 
シュ:
 ESCAP会議が本年十二月にバンコクで開催される。これはバリ人口会議から十周年を記念した重要な会議であり、この会議開催に対するアナウンスを各国でお願いしたい。人口問題の重要性を機会を見つけて繰り返すことが重要である。







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