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用語解説
 カイロの国際人口開発会議(ICPD)の宣言文および行動計画で、中心的な概念がいくつか提案された。その1つがEmpowerment of Womenでもう1つがReproductive Health and Rightsである。
 「Empowerment of Women」は女性が社会的にも健康の面でも、力をつけるという意味である。この語を構成する英語のpowerが日本語で「力」と「権力」という2つの意味を持つことから、日本語への翻訳が困難であった用語である。本書ではこの両義的な意味を含む日本語として「女性の権能の向上」と訳し、その後「女性のエンパワーメント」とカタカナで表記することにした。
 また、「Reproductive」は政府訳では「性と生殖に関する」となっているが、ただ通例、この用語はreproductive health and rights, including sexual healthと特に「性行動にかかわる健康」を併記することが多い。従って、「Reproductive」を「性と生殖に関する」と訳した場合、Reproductive Healthは「性に関する健康を含む性と生殖に関する健康」と翻訳せざるをえないことになる。
 このため、「国際人口開発議員会議カイロ宣言」および、「国際人口・社会開発議員会議コペンハーゲン宣言」、国際女性、人口開発議員会議「東京宣言」、第12回人口と開発に関するアジア国会議員代表者会議「マニラ決議」までは、翻訳上の整合性を持たせる上から「Reproductive」を「生殖に関する」と訳してきた。
 しかしながら、その後、黒田俊夫博士によって訳語の検討が行なわれ、「Reproductive」に対する訳語として「再生産にかかわる」という用語が提案された。「再生産にかかわる」という用語が提案されて以降、当財団の出版物においても、同語を「再生産にかかわる」と訳出することにした。
 今回、過去の宣言文を編集するに当たって、過去の宣言文で「生殖に関する」と訳されていたものを改め、「再生産にかかわる」もしくは「リプロダクティブ」とカタカナ表記することとした。
 この「Reproductive」に関する検討については本書と同じ「リソースシリーズ1」黒田俊夫著『国連人口開発会議20年の軌跡−ブカレストからカイロヘ−』に記されている。
 またその他の用語に関しては「リソースシリーズ4」『国連食糧農業機関1996年世界食料サミット世界食料安全保障のためのローマ宣言および世界食料サミット行動計画』「補足」をご参照いただきたい。







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