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高齢者に対する保護手段
14. 家族計画が成功すれば、小家族が生まれる。経済開発の成功は、しばしば住民の移動や一家離散などを引き起こしてきた。大家族制が崩れて核家族化が進むと、高齢者の身の安定を約束してきた伝統的なアジアの制度が脅かされることになる。そこでアジアの高齢者に対して、社会的、経済的、心理的な安定を与えるメカニズムが必要になる。増加を続ける高齢者のニーズを訴えた立法・行政手段には、以下の点を網羅すべきである。
(a)国の開発計画と調整・統合を図りながら、身寄りのないまたは家族の世話を受けていない高齢者のための包括的な国家政策を打ち出すこと。
(b)高齢者対策と人口増加抑制政策との協力を試みること。
(c)各国の実情にそって高齢化に対する科学的理解を深め、また全体的な社会・経済開発を基にした長期対策を講じること。
(d)退職年齢を引き上げ、特別な再訓練プログラムの提供も含めた雇用の創出を行なうこと。
(e)高齢者の大部分を占める女性をはじめ、高齢者のために適用範囲や給付金を拡大する上で費用対効果性の高い方法を探しながら、国民健康保険と年金制度を再検討すること。
(f)家族の絆の維持・強化を図るなど、地域の資源を有効に活用しながら適切な手段を開発することで、高齢者に財政面のみならず心理面での援助も与えること。
 
青年の特別なニーズを明らかにする
15. 急激な人口増加がもたらしたものの1つに、社会・経済福祉の面で他の年齢層に依存する青年の数の増加が挙げられる。先進工業国においては、労働人口4.1人が学齢期の児童1人を支えている計算になるが、途上国ではその割合が2.3人に1人である。それは、途上国における経済活動人口にとって大きな負担であり、経済的な遅れと不十分な社会プログラムの原因にもなっている。ここで重要なのは、再生産年齢あるいは近々再生産年齢に達する若者が産む子供の数を制限することである。そのためには、
(a)少女の法的、社会的、文化的地位の向上を図ること。
(b)十代や新婚カップルのように、以前は家族計画の対象外になっていたグループも対象に入れること。
(c)初婚年齢を引き上げること。
(d)人口と家庭生活に関する教育を、学校および社会教育のカリキュラムに加えること。
(e)第一子の出産を遅らせ、第二子との間に間隔をおくことの重要性をうたった情報・教育・コミュニケーション・プログラムを開発すること。
(f)若い男女双方のために現金収入につながる活動を増やすこと。
(g)社会教育や識字教育を普及させること。
 
ヘルスケアの向上と家族計画の普及
16. 人口増加を抑制し、母と子の健康を改善するためには、家族計画プログラムを強力に推し進めることが不可欠である。アジア諸国での成功例をみて明らかになったのは、出産を遅らせて出産間隔も十分とることによって、乳児死亡率が下がり、母子の健康も向上し、生活環境もより清潔で安全なものとなり、家族全体の生活も改善されるということである。家族計画プログラムが成功すれば、地域社会もその恩恵をこうむることになる。健康対策としても人口抑制策としても重要な家族計画であるが、現在あるいは1990年代に生ずるであろうニーズに対応していく上で、その重要性は一層明らかになろう。それらのニーズを満たすためには、以下のことが必要である。
(a)家族計画を母子のヘルスケアや他の部門の活動に組み入れること。
(b)質の良いサービスを広く普及させ、男女双方にとって利用しやすいものにすること。
(c)可能な限り家族計画の選択肢を提供し、カップルにそれぞれ一番適した方法を選べるようにする。
(d)サービスや方法の選択をはじめ、器具の引き渡し、プログラムの評価など各段階で、地域社会の指導者や地元の信頼の厚い人の積極的な参加を求める。
(e)家族計画を身近なものとするために、実行者に対して密接なサービスを提供し、村レベルのプライマリー・ヘルスケアの一部としても加えてもらう。
(f)サービスと供給とカウンセリング面での質を高く保つため、最大限の努力をする。
 
行動への呼びかけ:
17. 本大会は、以下を呼びかける。
 
18. アジア議員は、
(a)議員と政府官僚と国民の、人口と開発の相互関係に対する認識と理解を深め、人々のニーズを代弁するコミュニケーションの媒介として、政府と国民をつなぐ役割を強化するために、一層の努力をする。
(b)女性の法的、社会的、経済的、文化的地位の向上をめざす手段をはじめ、この行動プログラム宣言を支援するために、法的な措置を含む適切なイニシアチブをとる。
(c)家族計画の趣旨と情報を広く伝えるためには、地元のボランティア組織の、また人口政策と人口プログラムの支援を得るためには、宗教や精神面でのあらゆる指導者の協力を求める。
(d)国全体や地域のニーズ、優先事項などについて同意を得るために、主要問題や政策提言などについて、政府関係者や非政府組織のリーダー、地域社会代表らの間で公式・非公式の話し合いを行なえるよう支援する。
(e)今後開かれるアジア太平洋人口会議(1992年)や国連国際人口会議(1994年)を通じて、人口および人口関連問題に対する国民の意識を高める。
 
19. 各国政府は、
(a)国内外の対立を回避し、よって軍事費を減らし、その分を行動プログラムの実施や、家族計画および人口に関連した諸プログラムのニーズに対応する資金に割り当てる。
(b)途上国の人口問題を解決するために、国連人口基金のプログラムをはじめ国際的な人口抑制プログラムに対する財政支援増をめざし最善をつくす。
(c)国の開発の優先事項とともに、人口政策と人口プログラムに対する政治的なコミットメントを一層強化する。
(d)バランスのとれた人口増加、資源の活用、経済および社会開発をめざして、人口と環境と社会に関する各種プログラムの統合を図る。
(e)各国の人口政策と人口プログラムの目標を、地域社会に合った具体的な行動へ転化する。
 人口および家族計画プログラムを普及させる段階で、普及が比較的遅れている場合は特に、非政府組織や地域のグループに支援を求める。
(f)あらゆる点で女性の役割と地位が向上し、女性が人口や開発関連の活動に積極的に参加してその恩恵をこうむることができるよう努力する。
(g)小学校と中学校に通う少女の数を増やし、西暦2000年までには学齢期の少女全員が小学校に行けるようにする。
(h)学校の公式・非公式カリキュラムとして、人口教育を加える。
(i)避妊や多産に対する社会文化的な考え方の変化、また家族の規模や構成に関する価値観や見解に影響を及ぼす要素や環境についての研究を公費でまかなう。
(j)地方から都市への人口流出を減らし、恵まれない都市居住者の生活水準を上げるための包括的な政策を立案する。
(k)アムステルダム宣言にうたわれている人口についての目標を達成するために努力する。
 
20. 非政府組織は、
(a)家族計画や小家族制の採用や、生活の質を高める開発活動に人々の参加を呼びかけるために、特に地域社会レベルを中心にあらゆるレベルで行動を起こす際には、非政府組織を奨励してその助けを借りる。
(b)草の根レベルで家族計画サービスを一層普及させるために、非政府組織の既存の全国および地方ネットワークを活用する。
 
21. 報道とマスコミ関係者は、
(a)人口と家族計画プログラムに対する積極的な参加を奨励する。
(b)社会と経済の開発における、人口および人口関連問題の重要性に対して、人々の意識を高める。
(c)人口関連活動を肯定的かつ建設的に取り上げる。
 
22. 国際社会は、
(a)アジア地域で人口問題の支援に対する需要が高まる中、国連人口基金をはじめ多国間・二国間組織に対する財政援助を拡充する。
(b)家族計画の生物−医学、コミュニケーション、プログラム面での研究開発に対する支援を増大する。
(c)援助国と受益国の政府間だけでなく、援助諸国間でも人口活動における協力態勢を強化する。
(d)国の戦略を補足・補完し、援助の優先をうまく決定し、各過程を調整し、援助諸国の役割を決めるためにも、国際人口支援のための戦略プランを立てる。
(e)人口プログラムとプロジェクトの監視と評価手続きを、強化し、体系化する。
(f)途上国に対し、避妊具と家族計画に関する科学的知識と技術的情報の移転を促進する。
 
23. アジア議員フォーラム事務局は、
 各地域における人口と家族計画プログラムの、質と向上と影響力の拡大のために、議員間やその他の人々との間で、定期的な情報と知識の交換を図る。
 
誓いの言葉:
24. 我々、人口と開発に関するアジア議員フォーラム第3回大会に参加した議員は、立法者として、地域社会の指導者として、また国民の代表として、人口抑制、人権の尊重、社会の発展、環境への配慮、経済発展からなるバランスのとれた開発をめざして、たゆまぬ努力を続けることに、我が身を捧げる覚悟である。よってここに、母子をはじめ人類全体の健康を向上させ、理にかなった人口増加を普及させ、都市化と人口流入問題とを解決し、高齢者に安定した老後を約束し、若者の特別なニーズを代弁し、環境と生態系のバランスを守るための政策やプログラムを支援することを誓うものである。
 
25. この目的を達成するため、改めて、人口増加と社会経済開発、資源の利用、環境保護等の調和を図る行動プログラムの実施と成功につくすことを宣言する。そして人類全体にとって、よりよい平和な将来が来ることを願い、努力を続ける所存である。







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