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●第3章 分別、減容と資源ごみのリサイクル
 廃棄物処理法の強化により、廃木材、可燃ごみなどの焼却による処理が難しくなり、その他の産廃処理費用も益々増加する一方です。増加する産廃処理費用を抑制する方法は、いままで産業廃棄物として処理してきたゴミ類を分別することによる減容、再生資源化できる廃棄物の分別回収リサイクルしかありません。
 
※各地方自治体により、分別の種類、分別の意味が違います。例えば、高温処理が可能な焼却場を保有している市町村は、可燃ごみの中に、廃プラスチック類を含めてもよい場合などがあります。産廃の効率的な分類、減容、リサイクルを行うためには、産廃業者のみでなく、地方自治体と詳細を打ち合わせることお勧めします。
 
(1)主な廃棄物と分別方法
 中小型造船工業会にてのアンケート調査結果では、造船所における主な廃棄物は次のとおりです。
 
造船所における主な廃棄物
種類 廃棄物として挙げた事業所数
一般ゴミ 2
ウェス(油) 1
ペイント缶等 5
バッテリー 1
タイヤ 1
ビニール類 1
古木材 4
廃ペイント・シンナー 5
ブラスト砂 6
油エレメント 1
燃え殻 5
汚泥 4
廃油・ビルジ 11
廃プラスチックス 2
繊維屑・ロープ 2
金属屑・ワイヤ屑 6
鉱さい 2
スラジ 2
スラグ 1
がれき 1
 
 現在においては、焼却炉を使用している事業所も多く、可燃物類は燃え殻となっている事業所も多いようです。
 ほとんどの事業所では、すでに分別を行っており、その分別方法としては、専用のバスケット又は一般の容器を使用して分別を行っています。専用のバスケットは、そのまま廃棄業者がトラックで搬出する場合がほとんどです。
 
造船所の分別収集方式の割合
 
 造船所において廃棄されるゴミの種類は、事業所の種類、規模によって相違します。また、燃やせるゴミ、燃やせないゴミの区別も地域、廃棄業者によって若干変化します。燃えるゴミとして分類するどうかは、地方自治体、廃棄業者と打ち合わせをしてください。
 
造船所における廃棄物の分類の(例)
種類 内容 種類 内容
燃えるゴミ 廃液類
(1)紙類
(2)繊維類
(3)木材
(4)生ゴミ
・紙くず、汚れたダンボール
・軍手、皮手袋、作業服、繊維屑、油ウェス、ガムテープ
・古盤木、ボットム材等汚れた木材
・木切れ、ベニヤ板・船内、船員寮等の食堂、厨房からの生ゴミ
(1)廃油
(2)塗料類
(3)汚泥類
・廃油、ビルジ(含油)、ドック排水
・廃塗料、シンナー
・汚泥、スラッジ
燃えないゴミ 再生資源ゴミ
(1)汚泥
(2)ガラス類
(3)かき殻
(4)燃え殻
(5)セメント
(6)アスファルト
(7)断熱材
(8)ゴム
(9)廃プラスチック
(10)電池
(11)廃家電製品
・砂、泥、錆、錆打ちペイント、サンドブラスト廃砂
・廃蛍光管、電球、陶器
・ロックウール、グラスウール
・タフシート、ゴム手袋、一般ゴムホース、亜鉛板ゴム板、タイヤ
・油水分離機用エレメント、廃プラスチック、塩ビ、FRP、ビニール、発泡スチロール、樹脂ホース、固形化塗料
・乾電池、充電池
・パソコン、OA機器、テレビ、ビデオ、洗濯機、炊飯器、ポット
・冷蔵庫、エアコン等フロン冷媒を含むもの
(1)紙類
(2)木材
(3)プラスチック
(4)鉄くず類
(5)缶類
(6)電線
(7)非鉄
(8)ガラス類
・事務用紙、コピー用紙・古新聞、古雑誌、汚れていないダンボール
・梱包用木箱、木枠、汚れていない木材
・プラスチック容器、梱包材、溶接用リール
・スクラップ材、鉄くず、鋳物屑
・廃機械類、ブリキ、ボルト、ナット、番線、ワイヤ
・スチール缶(ペイント缶、オイル缶、シンナー缶)、アルミ缶(ジュース缶、ビール缶)
・銅線、舶用電線
・真鍮、銅、特殊鋼、ステンレス、アルミ、亜鉛板、削り屑
・ガラス板、割れガラス、ビン類
 
廃棄物の減容化と分別リサイクルのための心得・注意 −案−
 
 以下のリストは、廃棄物の減容化と分別を行う上での従業員に対する心得、注意の案です。事業所の規模、内容により事情が変わりますが、参考としてください。
 
○事業所内にゴミとなる可能性のあるものを持ち込ませない。私物の新聞、雑誌、週刊誌等は各自の責任で持ち帰るようにする。
 
○道具、材料類の梱包材等ゴミになるものは作業現場に持ち込まない。出庫する時点で可能な限り裸にする。繰り返し使える袋、箱等を使用する。
 
○再生資源ゴミを汚損させないように気をつける。
 ダンボールの油汚損、水汚損に気をつける。事務用等の不要用紙を丸めたり破らない。封筒類、冊子等のセロファン、とじ紐、等は取り外す。ビニール、発泡スチロール、木屑等、混在混入させない。
 
○作業現場において発生したゴミは、必ず当事者が持ち帰り処理をする。
 
○ジュース缶、ドリンクビンは、規定の場所以外に置かない、捨てない。
 
○喫煙は規定の場所で行い、吸殻を床に捨てない。
 
○分別ゴミ箱には、担当責任者を決め、中身が相違していれば、担当者が処理をする。
 ゴミ箱には入れるべきゴミの種類、担当責任者を書き出した看板を掛ける。ゴミ箱の中身は責任者が管理し分別を徹底する。
 ゴミ箱には、入れるゴミの種類を徹底し、何でも入れる一般ゴミ箱を作らない。
 各自がゴミの種類を判断することにより、分別が徹底する。吸殻入れにその他紙ごみが入るなどの禁止。
 
分別、整理がある程度徹底した場合には、やたらにゴミ箱をおかない。ゴミ箱があるからゴミが発生するという場合もある。
 
 コラム「造船所における産業廃棄物処理コスト削減例−一般雑芥廃棄物の場合−」分別したら産廃処理費用が3割減に!
 
 中小型造船(仮名)では、平成14年7月までは、不燃ごみ・可燃ごみ分類せず混合して集積し、一括して外部の産業廃棄物処理業者に委託していた。
 
平成14年7月まで
 
平成14年8月からゴミの減量化およびコスト削減対策
(拡大画面:22KB)
 
その効果は
 
項目 産廃処理外部委託費 効果
対策前
(H13年度)
対策後
(H14.8〜10)
実績総額 3,230,400 533,460
月平均費用 260,033 177,820 82,213
 
※産業廃棄物の処理業者との話し合い・打ち合わせが重要







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