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(4)その他
(イ)フロンガスの取り扱い
 船舶に設置されている冷凍機、室内エアコン等には冷媒等として回収を義務付けられているフロン類があります。
 フロン類とは、オゾン層破壊物質であるクロロフルオロカーボン(CFC)とハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)そして、温室効果ガスであるハイドロフルオロカーボン(HFC)などをいいます。
 特定製品が廃棄される際にフロン類を回収することを義務付けた「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保に関する法律(フロン回収破壊法)」は平成13年6月に制定・交付されました。
 エアコンの冷媒等として使用されているフロン類は、オゾン保護法により段階的に生産を廃止しており、代替フロンへの転換等が進みつつあります。過去に生産されたエアコン等の機器類を廃棄するときにも、冷媒として充填されているフロン類が大気に排出されないように、適切に回収・破壊することが求められます。
(ロ)FRP廃船などの処理について
 廃船の不法投棄は社会犯罪です。「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律:(船舶等の廃棄の規制)」
 個人が所有するボートなどを廃棄処分にする場合、家庭ごみと同様に一般廃棄物に分類され自治体が処理してくれるはずですが、現実的には廃棄物としての大きさや処理の難しさなどから各地方自治体でも対応に苦慮しており、限られた産業廃棄物処理事業者により処分されるケースが殆どのようです。
 事業所としては、処理業者に依頼して処分することになります。FRP廃船、上部構造部などの大物廃棄物を処理するのは、トラックの荷台に搭載できる大きさに分解し、産廃として処理業者に処分を依頼する必要があります。細かく破砕することができれば、一般の不燃ごみとして処理できるかもしれません。なお、処分場以外誰も引き取らない廃棄物は運送するのに資格が必要ですが、有価物の扱いになるならば搬送が可能です。但し、処分場へ持ち込む場合は有価物であって、処分場に持っていく行為は廃棄物と見なされます。
 
※産業廃棄物を処分場へ運び込むには、廃棄物の収集運搬業の資格が必要です。FRP廃船などをトラックなどで自らが処分場へ運ぶことはできません。
 
(ハ)PRTR制度について
 PRTR (Pollutant Release and Transfer Register)制度とは、[人の健康や生態系に有害なおそれある化学物質について、環境中への排出量及び廃棄物に含まれての移動量を事業者が自ら把握して行政庁に報告し、さらに行政庁は事業者からの報告や統計資料を用いた推計に基づき排出量・移動量を集計・公表する制度」です。
 造船所において使用する塗料及びシンナーには、トルエン、キシレン等の特定化学物質が含まれております。平成14年度よりこれらの物質を年度当たり5トン以上使用する造船所のうち、従業員・社外工合わせて21人以上のものは、前年度に使用した特定化学物質について環境への排出量及び廃棄物に含まれての移動量を算出し、毎年6月に所在地の都道府県担当部署に報告することが義務づけられました。因みに499GT貨物船1隻を建造すると、5トン以上の特定化学物質を使用すると言われています。
 さらに、平成15年度からは特定化学物質を1トン以上使用する造船所にまで報告義務の範囲が拡大されます。虚偽の報告や報告漏れ等については、罰金20万円以上の罰則規定が設けられており、造船所は十分注意して適正に対応することが必要です。
 なお、(社)日本中小型造船工業会は平成13年度日本財団助成事業としてPRTR制度における特定化学物質の排出量・移動量の算出、及び都道府県宛に提出する報告書の作成を行うソフトを開発し、排出量、移動量の算出代行業務を行っております。お問い合わせは、総務部相本(電話03−3502−2065)までお願いいたします。
 
※塗料の使用実績等必要事項をエクセルファイルにして(社)中小型造船工集会に送付し、同会が代わりに排出量及び廃棄物に含まれての移動量を算出・報告するシステムがあります。お問い合わせください。







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