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海外事務所活動レポート
亜州海事情報
ジェトロ・シンガポール・センター船舶部 山崎壽久駐在員
 
1. シンガポール
<セムコープ子会社、海上施設など受注>
 セムコープ・インダストリーズの子会社で、海上でのガス・石油部門であるSMOEが、浮体式海上構造物建造などの2契約を合計4億6,000万Sドル(シンガポールドル)相当で受注した。発注者は、米オキシデンタル・ペトロリアムのカタール子会社とフランスのブオイゲス・オフショア。
《14 Jan 2003, The Business Times, Singapore》
<ケッペルフェルス、浮体式石油生産施設を納入>
 ケッペル・フェルス・エナジー・アンド・インフラストラクチャー(ケップフェルス)は、米国のアトランティア・オフショアから2,200万米ドル(3,830万Sドル)のプロジェクトとして受注していた浮体式石油生産施設のテンションレッグプラットホーム(TLP)を引き渡した。アトランティア・オフショアが海洋石油生産施設を米国外に発注したのは初めて。また、ケッペル・フェルスは、納期に間に合わせたことや工事の安全性が評価され、2万2,000米ドルのボーナスをアトランティア・オフショアから受けた。ケッペル・フェルスは、ケッペル造船との業務統合で生産性、効率が改善した効果が表れたとしている。
《15 Jan 2003, The Business Times, Singapore》
<業績悪化でNOLのトップ辞任>
 ネプチューン・オリエント・ラインズ(NOL)は、フレミング・ヤコブス社長兼最高経営責任者(CEO)が6日付で辞任したと発表した。経営悪化から早期辞任のうわさは絶えず、業界関係者は引責したとの見方を示している。NOLは、世界規模で後任候補探しを開始するとしているが、さしあたり、執行役員会のメンバーであるチェン・ワイ・ケング、フリドバート・モルト、ブン・スワン・フー、リム・ハウ・テクの4氏が経営をみることとなる。ヤコブス氏の就任した1999年は、企業の競争力を高めるため政府が才能ある外国人の登用を奨励した時期に当たり、その代表例とされた。
 NOLの決算は99年3月期に黒字転換したが、金利負担がのしかかり、その後は低迷している。2002年3月期は5,660万米ドルの赤字を計上。9月中間期も1億5,140万米ドルの赤字と過去最悪を記録していた。
《07 Jan 2003, The Business Times, Singapore》
<NOL、12月期の業績見通しを下方修正>
 ネプチューン・オリエント・ラインズ(NOL)は、2002年12月期決算の業績見通しを下方修正し、最大3億3,500万米ドルの赤字が予想されるとした。予想される特損は1億1,000万米ドル。内訳は、退職金を含むリストラ費用(3,700万米ドル)、子会社売却損の引当金(3,300万米ドル)、保有資産の減損処理(1,800万米ドル)など。
 同社子会社のAPLの幹部は、海上貨物運賃は回復の兆しを見せており、業界にも明るさが見え始めたとしている。
《22 Jan 2003, The Business Times, Singapore》
<6地域区分を4地域区分に統廃合:APL>
 ネプチューン・オリエント・ラインズ(NOL)のコンテナ海運の子会社APLが大胆な組織再編、首脳人事に着手した。これまで6分割していた地域区分を4区分に統廃合し、エド・アルドリッジ最高執行責任者(COO)とアジア地域責任者のケン・ソエレンセン氏が辞任する。今回の地域区分は、昨年分割した北米と中南米を再統合し、中東・東アフリカ部門を廃止するもので、米州、アジア、中国、欧州の4地域体制が整うことになる。
《27 Jan 2002, Shipping Times, Singapore》
<海上火災基地を、西海岸に開設>
 海事港湾庁(MPA)は、海上や港湾の火災に対応する船舶の基地を西海岸埠頭(WCP)に開設し、専用船2隻を導入した。建造費は、2隻合計で1,200万Sドル。MPAは、港の安全はシンガポール港の競争力にとって重要であり、港湾火災に対応する機能が必要としている。
 2隻の船舶は、消火活動のほか、石油や化学製品の流出事故にも対応するとして、長さ30メートル、総トン143トン。ポンプ2台を備え、1時間当たり1,365立方メートルの放水が可能。
《13 an 2002, Shipping Times, Singapore》
<テロリストは船舶自体を武器にする>
 セキュリティーの専門家グループであるマリタイム・インテリジェンス・グループ(MIG)のタナー・キャンベル副社長は、「国際海事・港湾保安会議」で、爆弾をコンテナで持ち込むのではなく、船舶そのものをテロの武器にするシナリオもあると警告した。米国同時テロで燃料を積んだ航空機がテロの手段として利用されたように、爆弾製造の原料として利用可能な化学肥料を積載した貨物船などがテロに利用される可能性が考えられるとした。同会議には30ヵ国から400人が参加している。
《22 Jan 2002, Shipping Times, Singapore》
 
2. マレーシア:
<MISC、NOLのアメリカン・イーグル・タンカーに関心>
 マレーシア国際海運(MISC)は、ネプチューン・オリエント・ラインズ(NOL)のタンカー部門であるAET(アメリカン・イーグル・タンカー)への出資に前向きであるとの見解を示した。国営石油会社ペトロナスの海運部門であるMISCは、事業機会拡大の長期戦略により、昨年から海運会社の買収を検討している。
《10 Jan 2003, The Business Times, Singapore》
<スター・クルーズランサット港に寄港>
 スター・クルーズがジョホール州タンジュンランサット港を乗客の乗下船に利用することとなった。ジョホル州政府傘下の投資会社ジョホール・コーポレーション(Jコープ)は、同州のタンジュンランサット港の利用について大手旅客船会社スター・クルーズと合意した。合意内容の詳細は後日正式に発表する予定。Jコープは、1ヵ月当たり13客船の寄港を見込んでいる。
 Jコープは現在、1億リンギを投資してパシルグダンに隣接するタンジュンランサットに貨物用新港を開発している。同港の95%はすでに完成し、1月11日には660人の乗客を搭載したスター・クルーズ所有の客船が初寄港した。
《14 Jan 2003, Business Times, Malaysia》
 
3. インドネシア
<タンカー建造、韓国と地元企業が落札か>
 石油公社プルタミナが実施している燃料輸送タンカー12隻の建造入札で、重量26万トン級の2隻の造船会社に韓国企業が、重量3,500トン級の1隻に地元ドック・プルカパラン・コジャ・バハリが、それぞれ候補に上がっているもよう。現在はこれら企業の融資先と、資金調達について調整を進めている段階。
 プルタミナは、2008年までに38隻の燃料輸送タンカーが必要で、このうちまず12隻の発注先を決定する入札を実施。26万トンのタンカーは、国内最大級になる。同社は先に、一部の発注を国内の造船所に割り当てることで同意。プルノモ鉱物資源エネルギー相は、国内造船所では建造が不可能な26万トン級の2隻については、海外の造船所に発注するべきとの見解を示していた。
《28 Jan 2002, The Daily NNA》
 
4. フィリピン
<船舶関連製品の輸入関税引き下げ>
 大統領府は、船舶関連製品の輸入関税を引き下げる大統領令第164号を発令した。これにより国内の海運業者のコスト削減につながると期待される。これにより、発火信号、救命胴衣、はしご、無線航海システム、救命艇の輸入関税がそれぞれ1%に引き下げられる。このほか、鋼製チェーンが7%、足場、柱材用品とエンジン用エアフィルターなどの関税が10%になる。
《22 Jan 2002, The Inquirer, Philippine》
<WG&A、優先株を6年で償還>
 海運最大手のWG&A(ウィリアム・ゴソン&アボイティス)はこのほど、先月発行して既存株主に割り当てた優先株を今後6年間で順次償還する計画を発表した。償還額は合計25億ペソに上る見通し。少なくとも年間2億5,000万ペソ相当を払い戻す。同社は昨年1〜9月期の連結決算で、純利益が前年同期比17%減の6億4,900万ペソにとどまった。事業拡張に向け、フェリー2隻を導入する計画を進めている。
《14 Jan 2002, The Daily NNA》
<RORO港開発に300億ペソ、内貿を刺激>
 運輸通信省は、RORO船による物流を促進するため、RORO船に対応する港湾の開発・改修事業を進める計画を明らかにした。政府は既に約300億ペソの予算を充てている。メンドーサ運輸通信相は、「内航の輸送手段を発達させ、企業の物流コスト削減や観光促進を図る」と説明。既に投資優遇パッケージの策定に着手したと語った。ただ、政府がRORO式を推進すれば、港湾荷役費などが減収となるのは確実で、事業者から反対が出ることも予想されるとのこと。
《23 Jan 2002, The Daily NNA》
 
5. タイ
<海運大手、トルコから貨物船購入>
 海運大手トレセン・タイ・エージェンシー(TTA)は、14日付で中古貨物船1隻の購入すると発表した。同社の完全子会社を通じてトルコの会社から575万米ドルで買い付ける。貨物船の建造年は1985年、積載量3万5,458トン。同社の貨物船購入は過去1年で4隻に上るが、老朽船の買い替え目的のためで、保有船数は26隻前後でほとんど変わりがない。
《16 Jan 2002, The Daily NNA》
<伊ロイド・トリエスティーノ、TMNの株式30%を取得>
 イタリアの海運会社、ロイド・トリエスティーノ(LT)が、タイ国営海運会社タイ・マリタイム・ナビゲーション社(TMN)の発行済み株式30%を3億バーツで買収するもよう。すでに25%買収で合意しており、最終的には5月に結論が出るとのこと。政府はTMNに対して発行済み株式の51%を民間分とし、残り49%を財務省が保有するとしている。
《15 Jan 2002, Shipping Times, Singapore》







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