平成14年度日本財団助成事業
当会は昨年9月、競艇の交付金による日本財団の助成金を受けて、ドイツ連邦共和国ハンブルグ市で開催された「SMM2002国際海事展」に初めてブースを出展しました。
第20回目を迎える本海事展は、共催国に初めて中国を迎え、9月23日夕刻のオープニングセレモニーに始まり、24日から28日まで5日間、ハンブルグメッセ会場の12ホール全館を利用して催されました。本海事展は、造船及び舶用機械、海洋技術等の分野で世界をリードする見本市として位置づけられており、本年は世界52ヵ国から1,414の企業が参加し、総入場者数は4万人以上という過去最多の記録を樹立(前回46ヵ国/1,364企業/37,000人)、入場者の3分の1はドイツ以外の国々からの訪問者でした。今回、訪問者数が増加した理由としては、最新の海事産業技術の展示に加えて、会議、ワークショップ、セミナー、専門家会合等々90に及ぶイベントが組み込まれたことが考えられます。例えばCIMAC(International Council on Combustion Engines)主催の専門家会合では、300席を超える会場がほぼ満席となるほどの盛況ぶりでした。
会場メインエントランス前
概 要 |
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名 称 |
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20th Shipbuilding, Machinery&Marine Technology International Trade Fair Hamburg(SMM2002) |
会 期 |
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2002年9月24日〜2002年9月28日(5日間) |
場 所 |
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ドイツ連邦共和国ハンブルグ市 |
主催者 |
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Hamburg Messe und Congress GmbH |
共催国 |
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中国(2002年) |
出展物 |
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造船、造船設備、エンジン・推進装置、電気・電子エンジニアリング、ポンプ、コンプレッサー、舶用機器、貨物運搬・輸送機器、港湾サービス・廃棄物処分システム、港湾、海運会社、水路交通、海洋技術、オフショア研究、環境技術、研究開発、教育訓練、関連出版物等 |
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本海事展には当会から三輪会長はじめ9名が参加、ブースには会員造船所建造の船舶写真パネル掲示するとともに、会員造船所とその建造船舶を紹介したカタログ「Modern Ships in Japan 2002」等を配布して来場者に対応しました。
<当会参加者(敬称略)> |
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内海造船株式会社 |
相談役 |
三輪善雄(当会会長) |
墨田川造船株式会社 |
代表取締役社長 |
石渡博(当会副会長) |
株式会社三和ドック |
代表取締役社長 |
寺西勇(当会副会長) |
浅川造船株式会社 |
代表取締役社長 |
浅野富士人 |
福岡造船株式会社 |
代表取締役社長 |
田中敬二 |
檜垣造船株式会社 |
東京事務所副課長 |
柏木昭彦 |
ジェトロ・パリ・センター |
船舶部長 |
芳鐘功 |
(社)日本中小型造船工業会 |
業務部長 |
北村和芳 |
(社)日本中小型造船工業会 |
業務部 |
正岡優一 |
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当会出展ブースにて
賑わいを見せる中国ブース
今回の海事展について主催者側は「造船・舶用工業界や世界経済をめぐる沈滞ムードにもかかわらず、大勢の訪問者を迎える結果となり、SMM国際海事展が関連業界に対して将来に向けて良き刺激を与え、新しいビジネスチャンスの契機を数多く提供した」とのコメントを発表しています。事実、欧州の有力造船所、有力舶用機器メーカーはその殆どが出展し、スペースや出展内容からこの海事展に掛ける意気込みが強く感じられました。一方、アジア勢では共催国である中国がメインエントランスに隣接している大ホールを貸し切って大展示ブースを設ける一方で、会場内での情報収集にも力を注いでいたのが印象的でした。
海事振興連盟(会長:原田昇左右衆議院議員)は平成14年10月24日、キャピトル東急ホテルにおいて平成14年度通常総会を開催した。
同総会では、「中小造船業の産業基盤再構築」及び「日本造船業の基盤整備、技術開発の推進、付帯空港の実現」を盛り込んだ平成14年度事業計画等を承認するとともに、造船・海運をはじめとする我が国海事産業の発展のための9項目からなる「決議」を次の通り採択した。
なお、同総会には当会から石渡博副会長(墨田川造船株)社長)が出席し、(1)官公庁船の代替建造の促進による需要の創出、(2)中小企業経営革新支援法に基づく経営基盤強化、(3)技術開発支援体制の強化、(4)人材育成、技能伝承の推進など中小造船業対策の推進について要望を行った。
決議
わが国が長引く不況を克服し、活力を取りもどすためには、経済・社会全般にわたる構造改革が断行されなければならない。海事諸産業においても環境変化に即応した制度改革、競争力強化のための環境整備が不可欠である。
当連盟では、わが国経済活動や国民生活を支える基幹産業である海事諸産業の使命を深く認識し、国民的合意と関係諸方面の協力を得て、下記事項の実現を期するものである。
記
(1)
(1)世界単一市場のなかで厳しい国際競争に晒されているわが国外航海運の競争力確保のため、船舶特別償却制度の延長・恒久化など税制をはじめとする諸制度のイコール・フッティングの実現
(2)「TAJIMA号」事件を教訓として、外国籍船上で犯罪等が発生した場合に迅速かつ的確な措置が講じられるような法整備等の実現
(2)「造船産業の競争力強化」及び「メガフロート等革新的技術による新規需要の創出」
(3)官公庁船の代替建造促進による需要の創出など中小造船業の産業基盤再構築に関する諸施策の推進
(4)港湾運送事業の安定化、効率化及びサービス向上のための指導及び支援並びに港湾の国際競争力の復権に関する諸施策と港湾労働の安定化に関する諸施策
(5)物流効率化・高度化に資する倉庫施設整備の推進並びに改正倉庫業法への適切な対応
(6)内航海運における「内航海運暫定措置事業」の着実な実施及び「政策目的適合船舶の建造のための共有船舶に係る既往金利の軽減」を推進していくための平成15年度予算の確保、並びにモーダルシフトの円滑な促進等のために内航海運業に対する税制改正、また、若年船員の安定的確保等、経営基盤強化対策の推進。
(7)離島航路に係る航路補助並びに旅客船のバリアフリー施設助成の充実、高金利時に建造された共有船の金利軽減、地球温暖化対策に係る諸助成の充実及び本四連絡架橋に関する転職者対策
(8)国際競争力の強化、産業及び地域経済の活性化、安全安心な地域づくり、循環型社会の構築等の課題に対応する次期港湾関係長期計画の策定。
(9)わが国港湾の国際競争力を確保しグローバル化に対応した魅力ある企業環境を創出するためのスーパー中枢港湾の育成、中枢・中核国際港湾及び国際幹線航路等の整備、行政を含めた港湾の24時間フルオープン化と諸手続のワンストップ化、国有港湾施設の維持管理に対する国の責任を果たすための制度改正、港湾を核とした総合的な静脈物流システムの構築等ハード・ソフト体となった取組の推進。
(10)不審船追跡能力の向上、情報・通信・監視能力の強化、現場対処職員の安全確保のための防弾対策や武器の高機能化等、不審船事案対応能力の強化。
石渡副会長
日本財団では海の安全と環境を守るための情報ネットワークを創設、目下、海の情報提供ボランティア「海守(うみもり)」を募集しています。
「海守」は、海難事故による油流出やゴミの不法投棄などによる海洋汚染、さらには不審船事件等々いつも危険にさらされている海を海上保安庁や(財)海上保安協会と協力しながら守っていくためのボランティア組織で、具体的には、次のような海での異変に遭遇した場合、海上保安庁の緊急番号「118番」に連絡していただくことになります。
・不審な船舶、人物、漂流物を発見した。
・油の流出や不法投棄等を発見した。
・密航・密輸・密漁等の情報を得た、目撃した。
・海難事故に遭遇した、または目撃した。
「海守」創設の趣旨は次の通りです。また、「海守」会員へのお申し込みやお問い合わせは下記「海守事務局」までお願いします。
海守事務局:
〒105−0001
東京都港区虎ノ門1−15−16海洋船舶ビル8階
TEL:03−3500−5707 FAX:03−3500−5708
創設の趣旨
近年のわが国周辺海域では、不審船事件をはじめ、銃器・薬物の大量密輸入、密航事件、密漁、ゴミの不法投棄や海難事故による油・化学物質等の流出による海洋汚染など種々の問題が発生し、国民生活を直接または間接的に脅かしています。また、1997年に原油流出事故を起こしたナホトカ号のような、老朽化した整備不良船舶は日本沿岸域を多数航行しており、海土はいつも危険にさらされているといって過言ではありません。
一方、わが国の沿岸域の海上安全を守り、海上防犯を責務とする海上保安庁は総勢1万2千人であり、日本の海岸線3万4千kmをカバーするにはあまりにも少数です。早急にわが国沿岸部における市民生活の安全を確保する対策があります。
そこで、日本財団は(財)海上保安協会、海上保安庁と協力し、沿岸域の安全確保の役目を負う、沿岸監視・海洋環境保全活動等を行う全国的なボランティア活動組織を設立することとなりました。国民ひとりひとりの目で海を見守り、情報の提供を行うことにより、海上保安庁の迅速な行動と、事案への的確な対応に協力するほか、海洋環境の保全活動など広く海についての関心の高揚を図るとともに、人々が安心して海に親しめる環境づくりを目指します。
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