日本財団 図書館


VII. Kドック
1. 艤装関連組織
・機械、エンジニアリング、環境開発とならび船舶事業部で修繕船工事を行っている。
・船舶事業部は甲板、機関、電気の担当技師が一組となって番船を担当し、人員手配、納期、品質を管理する。
 
2. 職種別技能者数
表7.1 職種別技能者数(Kドック)
職種 人員 協力会社数 発注形式 管理物量 現在の課題
本工 協力工 技量低下 人員確保 管理能力
塗装 0 7 7 1 人工提供 工程及び作業指示書で規定      
船具 7 9 16 3 人工提供    
鉄工 3 1 4 1 材工一括      
甲板仕上げ 0 0 0 0        
木工・保温・防熱 0 3 3 1 材工一括      
配管 0 3 4 1 材工一括      
機械加工 1 0 1 0 人工提供    
機関仕上げ 4 12 16 2 人工提供    
電気 1 1 2 1 人工提供    
合計 16 36 53 10  
 
3. 職種別作業内容
・仕上げ作業は、甲板と機械で分けず業者単位で施工。
・機器の船内積みこみから据付作業は、同一業者で施工。
・協力業者は大別して塗装、鉄工、配管、仕上げ、木工、運搬・据付の6社。
 
4. 外注政策と発注形式
・繁閑差が大きいため、協力業者中心で実施。このため、1週間前に工事内容、職種、必要人数、期間を連絡する。
・協力会社に人員、期間を指定することで実質上、工事金額を提示している。
・納期、品質は工事担当者が所掌。
・本工と協力工は、別々の作業を担当し、原則、混在作業はさせない。
・鉄艤装、木工以外は、材料は本社支給。
 
5. 雇用環境
・機械加工と電気職は、人員確保に苦労。
・その他の職種は、協力会社の努力で必要人数を調達。
 
6. 技能レベルと必要資格
・船具職は、若年層が中心で技能継承がうまくいっていない。
・仕上げと電気については、協力会社の管理能力低下懸念。
・総じて、協力工の技量は低下の一途を辿っている。
 
7. 教育訓練
(1)教育訓練、技能伝承
・船具、鉄工、機械加工、電気職の本工は、入社後3ヶ月間、工事費には計上せず、マンツーマン教育を行っている。
・マンツーマン教育は、3ヵ月後も一人前になるまで2〜3年間継続。
 
(2)資格認定と登録制
・近年、若年者は自習努力を嫌がる傾向にあるので、資格制をもうけて強制的に勉強させる環境が必要。
・また、全国標準的な技量の目安は、作業遂行上、作業グループ編成上、必要。
・問題は、資格を取得しても昇給させられない経営環境にあること。
 
8. 工事遂行上の課題
・船具は技量の低下、鉄工は高齢化、仕上げ、電気は工事監督能力の低下が懸念されている。
・連休(例;5月、盆)時に工事が増加する傾向にあり、一般人の祝祭日、休日と逆転していること。修繕=サービス業とみなして、従業員(本工、協力会社)を説得。
 
9. 外国人労働者
・本社、協力会社とも採用していない。
 
10. 協力会社の状況
(1)山谷調整法
・人員調整は、すべて協力会社に一任。本社は期間と職種、人数を事前に連絡するだけ。
・一方、協力会社は他地域を含め、修繕船工事を幅広く請け負うことで、繁閑差を調整している。
・特に、仕上げ職は350人強の人員をかかえて東西日本をカバーすることで、繁閑差を吸収。
(2)教育、技能伝承
・機関整備士の通信教育受講を勧めているが、それ以外、特段のことはしていない。
・技能教育の必要性は大いに感じているが、これまで地域で共同実施しようという動きはない。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION