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8. 工事遂行上の課題
・人員の確保に難航しているのは、鉄艤装、配管、機関仕上げ。
・一方、技量低下の不安を抱えている職種は、配管と機関仕上げ。
 
9. 外国人労働者
・現在15人+8人+6人(予定)の中国人を使用している。日中技能交流センター仲介。溶接中心で、1年研修、2年実習の計3年。学科試験あり。
・この他、塗装業者がブラスト作業には5人使用。日本人の倍の作業をこなしている。
・即戦力の点では溶接が一番。鉄艤のように複合作業は、実験してみたが1人前になるには時間的に無理がある。図面をみて施工することも無理で、先手程度しかできない。日本語は1ヶ月訓練されて来日するので、言葉の心配はない。専任の世話人はおいていない。問題おこせば帰国させられる条件があるため、皆まじめ。
 
10. 雇用流動化に対する考え
・本当に技量一流な人が、流動化するかどうか疑問
・大手造船所からの人材受入れに関しては、人材次第で採用意向あり。
 
11. 協力会社の状況
(1)塗装
○会社の規模
・平均常駐人数は40人。年齢;22〜63歳。臨時と本雇いのほか下請けが15人ほど。
・外国人労働者:中国人は4人(グリッド・ブラストか磨きで、塗りはやらせていない)。日本人の倍の仕事をする。10月には3人増員予定。
○技量ランク
・特装タンクができる腕のいいのが52歳と47歳の2人いる。外板と居住区担当にも棒心がいる。若いのは4〜5人。
・育つかどうか、一人前までの時間は人それぞれ。普通のレベルになるには3〜4年だが、相応の腕になるには14、5年必要。
・作業は大別して磨き、ブラスト、塗りの3種。他所から借りるときも、この分類で依頼。
・ランク別人員:Aランク2割、Bランク6割、Cランク4割の割合(推定)。
・作業内容は、個人ごとに固定。
○雇い入れ
・雇い入れ:たまに職安に経験者を求人。
・他の造船所にもいっている。造船所間での人の融通は、業者間のネットワークで行っている。
○工事施工
・難しい仕事は2人ペアにしてマンツーマンで覚えてもらうやり方をとっている。
・品質チェックは造船所側が行う。湿度が高ければ、剥離責任を負わされるので無理な作業は行わない。設備としてブラストマシン、除湿機を有している。
・雨天時:休日振替することあり。
・資格:高所作業車、玉掛。有機溶剤取扱主任以外は全員持っている。
・仕事が終われば自由にあがることを認めている(早帰りOK)。
・心配事;事故、怪我。
 
(2)木工
○会社の規模と業務内容
・平均常駐人数:本工8人+協力工7〜8人、設計に3名程度。
・全社人員:本工43人+留学生3人(ベトナム)+研修生(予定)3人+臨時工若干名
・構外に家具工場を有し、6〜7割内作。
・仕事の内容:基本は家具類の設計、製作、船内据付、各種造作。客船の場合は、照明まで含め1式。防熱込み。ダクト、配線、配管はしない。タイルは施工するが外注。
○技量と資格
・技量ランク:技能継承は大事。船の場合はキャンバ、シアがあるので、特有のノウハウがいる。未経験者が2日かかるのをベテランは30分ですませることがある。
・超ベテランが3人。NC木工機械(穴あけ、外周切断。3年前に3台導入。7〜8千万円)の操作が中心になりつつある。効率も7〜8倍違う。年寄りよりは若い人向き。6〜7割は社内製作。1割が外注。材料は原則、受注してから発注(心材はフィリピン、シンガポール。テーブル天板など簡単なものは中国、フィリピンから輸入)(リードタイム4ヶ月あり)。板割りは日本で行っている。錠前、蝶番は韓国製。
・壁材は、パネル化でズブの素人でもできるようになった。船専属の職人は陸に比べ甘い。厳しさが足りない。陸は、ネタ専門、パネル専門、化粧専門などと非常に専門化されていて生産性が高い。
・操舵室は小型船(499GT)なら難しいが、1万トン以上の大型船の場合はそんなに難しくない。
・飲み屋のカウンタを10年間絶対ばらさないように工作できる腕のいい人もいる。陸の仕事(12、3%)を行うことで、船舶木工工事にもいきている。
・資格:木工機械。特に必要ない。ただし造船所で要求される玉掛、フォークは取らせている。年がいくとまず目、体力問題がある。
○雇い入れ
・新規採用者:ほとんど30代。新卒者は入ってこないのでUターン者が中心。
 
(3)空調
○会社の規模と業務内容
・社員数:約400人。34出張所。ベテランがいる。
・尾道出張所:4人+業者20人(専属)。担当は内海、神田、警固屋および学校関係の船舶。潮冷熱と渦潮電気は共同受注で四国側はほとんど押さえられている。
・仕事の内容: 冷凍空調プラント(陸、船舶)、高圧タンク(フロンガス、LPG)の製作、据付。ただし、冷凍機、空調機はダイキンから調達。ダクト工事すべて込み。冷凍運搬船の倉内設計・工事。製缶(ダクト)、配管、機械、電気の職種あり、だいたい専任。
→ 設計は大阪で一括。
○技量と資格
・技量ランク:出張所単位で3〜4人はAランク。
・技能教育・訓練の方法:7〜10年間、先手で経験をつまないと冷凍装置は動かせない。
・大阪本社で講習会あり、海外もあるので一人での解体、復旧ができなければならない。若い子はすぐ逃げて設計にいきたがる。
・舶用の特殊性:船舶工事は変更が多い。陸上の人は船舶はできないが、逆はOK(船舶は狭く、きつい)。鏡を見て溶接せざるを得ないような狭隘箇所があるのも船の特徴。さらにはダクトの固縛程度が違い、応用動作が多く要求されるのも船舶工事の特徴。
・冷凍機の入り口と出口の音や液温度差が判断できることが重要。メーカとしては温度キープが所定の精度でできるかどうかがポイント。
・冷媒問題;化学ウラン、404A、407C、デュポン+三井化学で冷媒研究中。
・資格:冷凍機1〜2級、高圧ガス、危険物取扱主任。玉掛、ガス溶接は造船所で取得。
 
以上







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