II. N造船(新造船および修繕船)
1. 艤装関連組織
造船部と修繕部に分かれ、塗装、船具は修繕部所掌となっている。
2. 艤装関係職種別技能者数
表2.1 艤装関係技能者数(N造船)
職種 |
人員 |
協力会社数 |
発注形式 |
管理物量 |
現在の課題 |
本工 |
協力工 |
計 |
技量低下 |
人員確保 |
管理能力 |
塗装 |
0 |
65 |
65 |
3 |
人工提供 |
m2 |
|
|
|
船具 |
0 |
10 |
10 |
1 |
人工提供 |
|
|
|
|
鉄艤装 |
24 |
10 |
34 |
2 |
|
図面 |
|
○ |
|
甲板仕上げ |
3 |
1 |
4 |
1 |
|
|
|
|
|
木艤装・保温・防熱 |
0 |
20 |
20 |
3 |
材工一括 |
m2 |
|
|
|
配管 |
19 |
23 |
42 |
7 |
取付・据付 |
|
○ |
○ |
|
製缶 |
7 |
3 |
10 |
2 |
取付・据付 |
|
|
|
|
機械加工 |
0 |
6 |
6 |
2 |
取付・据付 |
|
|
|
|
機関仕上げ |
11 |
5 |
16 |
3 |
取付・据付 |
|
○ |
○ |
|
空調 |
0 |
0 |
0 |
2 |
材工一括 |
|
|
|
|
電装 |
14 |
3 |
17 |
1 |
|
|
|
|
|
合計 |
78 |
146 |
224 |
27 |
|
|
3. 職種別作業内容
○塗装
・サンドブラストは、塗装業者の3社のうちの1社が施工。
○電装
・主な作業は電路敷設、配線、大型機器の結線、照明結線。
・機器の運転調整はメーカ担当。機器の結線は造船所側で行い、メーカは最後の運転調整を担当。
・ハンガーは加工外注。
・電線はドラムでいれ、社内で切断。子会社に1本またはmあたりで委託加工。
○配管
・全体の仕事量の30%くらいが業者作業(請負)。
・甲板と機関で分けている。
・加工外注比率:外注、内作で45対55
・現場あわせ管はせいぜい2%程度。
・一品図は必須。なくてはならない。
・他職種と比し、人員、技術とも充実。
○甲板仕上
・荷役機械と係船機械。班長3人。セルガイドは鉄艤。
○製缶:協力工は貸付
○機関仕上げ:協力工は全員貸付
○空調:ダクト、運転調整は一括外注
○木艤装:現在、工程短縮目的で居住区(上甲)一括外注考慮中。歪取り含めすべて施工してもらうことで、後戻り作業がなくなるメリットあり。
○機関仕上げ
・芯だし、据付、運転調整が技量の中身。
・主機は、130Tクレーンで分割搭載。本工担当。
・補機は、主として協力工担当。
・修繕は、他社まで応援しているが、新造は社内で手一杯で余裕はない。
・修繕機関仕上げ:本工が多いことが船主の信頼につながっている。
4. 外注政策と発注形式
・「受注を増やしても外部に費用が流れるだけでは意味がない」との経営方針と、「品質重視」の積極的な政策が、島嶼という狭い労働環境地域とあいまって、積極的な「協力工比率増大」策はとっていない。
・本工:社外工=1:1で留めるのが操業度上、適切としている。若干の操業超過時間は、残業で消化。ただし、本工、社外工の単価がほとんど同じこともあり、本工:社外=2:1にする意見もある。
・ブロック外注:金額次第(過去高かったが、最近安くなっている)。
・操業度をあげるより生産性をあげることに注力。工程を安定させること(=平準化)が最近の眼目。
・しかし、艤装関係作業は、鉄艤装、配管、機関仕上げをのぞき、従来とおり外注委託の方向にある。
・塗装は、材料支給の一括外注。木艤は、材工込みの一括外注。それ以外は、基本的に取付け・据付工事の外注。
・塗装、木艤の管理物量は、面積(m2)。
・塗装は、2業者をP、Sで分けて発注していたが、修繕と兼務だったこともあって過剰人員を抱え、工事完了時点で追加請求されるのが常であった。このため、配員と必要人員の指示は本社が行うことに変更。パワーツール中心、近代的ブラスト中心業者もいる。能率をあげた場合は他の仕事にまわってよいことにしている。
・配管と製缶は「納期」の罰則条項を発注書に記載。
5. 雇用環境
・Uターン者が増えてきている。
・陸上電気技術者は多く、単価も変わらないので、電気関係の人集めには苦労しない。
・協力業者は、さがせば十分ある。
6. 技能レベルと必要資格
(1)技能レベル
・本工中心で施工する作業(鉄艤、配管、機関仕上げ)は、人員確保だけでなく、技量低下が懸念されている。
・鉄艤装:大きくハッチカバー、セルガイド、甲板機器、ランプの4作業にわけ、Aランクは4種の作業のすべて、Bランクは2つ、Cランクは1つ、Dランクは先手の4ランクにわけている。
・配管:現場の型とりを覚えるまでには5年かかる。また、地上ユニットをするには、図面の読解力が必要。
(2)資格
・塗装:有機溶剤取扱主任、玉掛、高所作業車。
・船舶電装協会:有資格者はいない。メリットがない。陸の有資格者はいる。
・資格認定制:若い人の励みになり、技術向上には不可欠ではないか。造船には何も資格がないのは驚き。
7. 教育訓練
(1)本工の教育・養成について
・最近、設計/現場のローテーションを含め、総合力に力をいれている。
例;省部材設計、設計変更の工場責任者承認(サノヤスは工場長承認が必要とのこと)。
・主要造船所見学行脚実施。作業長・班長にもいってもらっている。「相手のいいところだけを見て」くるよう指導。
・昼食会:改善すべきことを集中して議論。
・かつての作業改善事項資料があり、その有効利用を図りたいがスタッフの力がない。
・若いスタッフは育てると辞める。他産業に移る。フリーターになりたがる。
・教育の対象は、一人前になるのに時間のかかる仕上げや取付け職が中心になるのではないか。
(2)鉄艤装
・技量には不安をもっている。
・2年前から下請け業者に依頼して本工を育てつつあり。協力工10人中5人が棒心。
・棒心は得意分野をもっている。
例)ランプウェイ取付けなど専門化傾向。ハッチカバーしかり。このような技能をもつ人は定年延長して雇用。
(3)配管、機関仕上げ
・現在の作業長、班長が定年近いので、後継者の心配あり。
(4)船具
・修繕管轄で子会社化。離岸・接岸、操船可能な人が少ない。
(5)教育訓練について
・技能保有者で健康の心配ない人は定年延長し、後継者の育成にあたってもらっている。船殻で現在3人いる。
・因島技術センターへは今年1人派遣。他に子会社からも参加。免許をもって帰ってくるので助かる。
・新人がいないため、撓鉄教育VTRを使用した訓練はまだしていない。鉄工には一般知識の一つとして教育に利用した。
・技術者向けテキスト:船殻編、艤装編をインターネットのあちこちから図や写真を引っ張り出してテキスト作成。
・技術者に基礎を教える大学とか人(講師)がいるのかどうか疑問。
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