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3.5.3 二重底の設置
 船舶構造規則では、船底構造は船体の縦強度を増すため、なるべく、連続した二重底構造としなければならないとしている。前記以外でも二重底を設けることは差支えない。船首尾倉内は普通は全体がバラストタンクとして使われるので、単底構造とし、かつその部分の横断面は瘠形であるから、単底肋板の深さを増して左右舷の外板を十分強固に結び付けるようにし、まだ肋板自身にも防撓材を適当に設けて防撓しなければならない。
 二重底の高さ(中心線桁板の高さ)は、船舶構造規則では、船の幅の1/16以上であり、かつ、700mm以上であることとしているが、これは二重底内のタンク容積にも関係し、船倉の深さにも関係する。またあまり低いと二重底内の工作が難しくなるから注意を要する。大よその目安としては、L57m以下は700mm、L70mで770mm、L80mで800mm位となろう。二重底高さが著しく高いときは、縦通桁、実体肋板などの増設を必要とする。また船底勾配のいちじるしく大きい場合には、二重底の深さを増加し、湾曲部外板が二重底縁板で保護できるようにする。縁板はほぼ水平に配置する方がこの意味でも有効である。(とくに船首から0.2L間で推奨される)この部分の構造例を第3.34図に示す。
 
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第3.34図 湾曲部の構造
 
 二重底は船倉が横式構造の場合でも縦式構造とすることが推奨されている。これはブロック構造に適していることと、縦強度に寄与する部材を多くとれるためである。二重底実体肋板は一般の箇所には約3.5mをこえない心距に設け、主機室内では横式構造のときは各倉内肋骨の位置、縦式構造のときは主機下部は各肋骨位置、それ以外は肋骨1本おきに設ける。またスラスト受台下部、横隔壁の下部は実体助板を配置する。船首隔壁から船首船底補強部の後端までは、横式構造のときは各肋骨位置に、縦式構造のときは、肋骨1本おきに実体助板を要する。縦式構造の場合、中心線桁板は中央部0.5L間は連続構造とし、船底縦肋骨および内底縦肋骨は、実体助板に貫通孔を明けて連続させる。肋板間の中間に形鋼支柱を設ける場合、形鋼支柱は平鋼又は球平鋼以外の形鋼とし、船底及び内底縦通肋骨のウェブと十分ラップさせなければならない。まだ中心線桁板には1.75mをこえない心距で、縁板には各倉内肋骨の位置に肘板を設け、隣接する船底及び内底縦肋骨に結び付ける。
 縦式構造の二重底の例を第3.35図に示す。
 横式構造の場合は、実体肋板を設けない倉内肋骨の位置には、正肋材、副肋材、形鋼支柱および中心線桁板付肘板ならびに縁板付肘板より成る組立肋板を設ける。
3.5.4 船楼とその附近の構造
 一般に船首楼もしくは低船首楼(上甲板がこの部分で半段下ってその上に船首楼があるもので、小型船では前方の見通しをよくするため採用される)を設けることが強制されているが、これは船首の乾舷を大にして荒天時の凌波性を増す意味であるから、上甲板だけでも乾舷の十分ある船とか、船首の舷弧の高さがとくに大きい船で船首の予備浮力が十分ある場合には船首楼を省略してもよい。船首楼は操舵室からの前方下方の見通しの妨げとならないようにする必要がある。
 船首楼の外板および甲板の寸法の決定には、波の衝撃を考慮する必要がある。
船尾楼の外板は、(その下部も含めて)曲がりがきついので熱加工(火造り)をひどく行なうことが多く、加工瘠せや腐食がはげしいことがあるので、厚さを少し増した方がよい。
 船橋楼が長い(0.15Lをこえる)場合にはこの部分が縦曲げ応力を受持つことになるので、とくにその両端と上甲板の部分に注意を要する。この箇所を船楼端部といい、第3.36図のような補強を必要とする。つまり、上甲板の舷側甲板は船楼内に延長し、その厚さを船楼のない場合の厚さの20%増しとし、船楼外板は船楼端での形状の急激な変化を避けるよう、漸次その高さを減じながら船楼外に延長し、舷側厚板に連続させ、この部分は船楼側部の外板の厚さの20%増しとする。
 
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第3.35図 縦式構造の二重底
 
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第3.36図 船楼端部の補強(外板展開)
 
3.5.5 コーミングおよび敷居の高さ
 乾舷甲板(普通は上甲板がこれに当る)上の開口は波の打ち込んだ際船内への水の流れ込み防止の意味と、船が傾斜したときの浸水を防止し復原性を確保する意味とから、開口のコーミングの高さが規定されているので、構造設計の際にこの点を注意せねばならない。これらは遠洋、近海の船舶と沿海の船舶(L30mで分れる)、平水の船舶(L30mで分れる)および木船、漁船等により差がある。もっとも高いものは600mmで、これが船の前後位置、甲板位置、暴露、非暴露などの条件で順次緩和されている。この高さは通行、作業の邪魔となることが多いが、船の安全上守らなければならない。







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