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3.5 その他の腐食現象
a)孔食
 アルミニウム合金の表面を覆う酸化被膜が塩素イオン(cl-)等で局部的に破壊されるとピット状の孔食を生じるが、一般に船舶材では、発生しても平均深さ0.5mm程度で止まる。
b)電食(Fig.9参照)
 電車の軌道等から漏れ出た電流が地中を流れる迷走電流となり、線路以外の地中構造物や埋設ガス管等を伝わって変電所に戻る時に、電流が抜け出す出口の金属部分が腐食する現象を、JISで「電食」と定義する。船舶関係で普通云われる「電食」は誤りであるから、用語に注意すること。
c)隙間腐食(図3−10参照
 隙間部分で酸素の拡散が妨げられ、酸素密度が低い部分(隙間の奥)が腐食する現象。
d)選択腐食(図3−2及び図3−11参照
 金属の特殊成分が選択的に溶出し、不溶性の成分が脱落しながら腐食が進行する現象。プロペラの脱亜鉛現象等。
e)粒界腐食、応力腐食割れ(図3−12参照
 結晶粒界部分に選択的に起こる腐食を粒界腐食、腐食環境下での応力付加による腐食を応力腐食割れと云う。
 
図3−1 亜酸化銅入り防汚塗料使用による外板の腐食例
D船 亜酸化銅入りA/F使用
 
E船 高湿度下で塗装 亜酸化銅入りA/F使用?
 
H船 亜酸化銅入りA/F使用
 
J船 亜酸化銅入りA/F使用
A/Fを剥いだところ
 
図3−2 プロペラ翼の腐食例
プロペラ、シャフトブラケット、推進軸の材質不明
 
正圧面
 
背圧面







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