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アルミニウム合金船の設計・建造の要点

 事業名 小型造船技術講習
 団体名 日本中小型造船工業会 注目度注目度5


V 防食に関する留意事項
1. 全般
1.1 一般
 使用すべき塗料、塗装法、実船塗装仕様例、電気防食法については、(社)軽金属溶接構造協会発行の「アルミニウム合金製船殻工作標準」及び旧(財)日本小型船舶工業会発行の「アルミニウム合金船建造技術指導書(工作編)」に判り易く説明されているのでそれらを参照のこととし、ここでは注意すべき主要点のみについて述べる。
1.2 塗装と電気防食
 アルミニウム合金には良好な耐食性があるが、海水環境下に置かれる船舶では
1)海水雰囲気中での孔食の発生
2)異種金属の接触(海水中)による電池作用
3)異物付着、結晶粒の偏析、粒界析出、加工歪み、残留応力、海水中の酸素濃度差或いは隙間等に起因する電池作用
等により腐食し易い。之を防ぐために表面を塗装膜で保護するが、塗膜にはピンホール等もあり完壁とは見なされないので、流電防食法等の電気防食措置により塗膜欠陥を補完保護する。
 
2. 塗装
2.1 新造船の塗装
2.1.1 一般
a)塗装は、仕様書又は塗料メーカーの指示する塗料、塗装回数、塗装間隔に従って行い、指定の塗膜厚さ及び性能に仕上げなければならない。
b)アルミニウム合金に適した塗料を使用し、銅及び鉛を含む塗料は使用してはならない。
c)原則として雨天、相対湿度85%以上、気温5℃以下の環境では塗装しない。
d)下地処理は十分に行い、塗膜の密着性を高めるため、素地面にアンカーパターンをつける。
2.2 修理船の塗装
2.2.1 一般
 修繕船特有の条件はあるが、基本的な施工法は新造船の場合と同様である。
2.2.2 塗膜の除去
 塗膜を除去し、地肌を出す必要がある場合は以下の事項に注意すること。
a)補修部のルーズな塗膜を除去した上、一部健全な塗膜にかかるところまで十分に塗膜を除去する。
b)除去するには、一般にはディスクサンダー、ショットブラスト、塗膜剥離剤等が使用される。但しこれらの使い分けは、除去の難易度や面積等により選択する。
c)各方法についての注意事項は次の通り。
1)ディスクサンダー
 一ヶ所に掛け過ぎて地肌に傷をつけ過ぎないよう注意すること。
2)ショットブラスト
 ショット材には、角を丸めたアルミ合金粒、珪砂、樹脂等比較的軟らかいものを使用する。地肌を傷つけず、又、温度上昇により歪み生じさせないよう、ショット圧力の設定に注意する。
3)剥離剤は塩化化合物を含んでいるので、使用前、メーカーとよく協議し、その取扱いには十分注意する。又、剥離した塗膜や廃液の処理についても同様である。
2.2.3 下地処理と塗装
a)塗装仕様は原則として新造時や修理前歴の仕様に従う。従って補修塗装に当たっては、極力それらを確認することが望ましい。やむを得ず変更等を行う場合は、必ず塗料メーカーと協議の上施工すること。重ね塗りの仕様には特に注意すること。
b)塗膜損傷の形態とそれに対する補修塗装要領を大別すればほぼ次のようになる。
 
塗膜損傷の形態 下地処理 塗装
アルミ地肌が露出している場合 油汚れ、異物等をシンナー等で拭取り、ディスクサンダー等で目荒らし WP×1 +A/C×1〜2 +A/F×1〜2
防錆塗膜(A/C)が少なくとも1層は残っている場合 ワイヤブラシ、ディスクサンダー等で劣化塗膜を除去した後、汚れ等を拭取り、 A/C×1〜2 +A/F×1〜2
防錆塗膜(A/C)は健在で、防汚塗膜(A/F)も薄く残っている場合 同上、又は十分水洗の後乾燥 A/F×1〜2
 
c)破口修理の場合、溶接不良とならぬよう、補修溶接部に残った塗膜片は完全に除去すること。
 
3 電気防食
3.1 アルミニム合金船の腐食の状況
 我が国のアルミニウム合金船保有量は数千隻を超えるが、重大腐食事故を起こしたものは極めて少なく、従ってアルミニウム合金船の耐食性は極めて優れていると言える。しかし部分的腐食を生じた事例も可成りあるので、注意が必要である。
 実船での腐食現象は凡そ次の様に大別される。
1)海水雰囲気中での異種金属との接触腐食
2)海洋大気中での無塗装部の孔食
3)その他
 これらを今少し具体的に見ると次のような例がある。
1)海水雰囲気中での異種金属との接触腐食によるもの
(1)亜酸化銅系塗料使用による船体全面のアバタ状腐食(図3−1)
(2)流電陽極が効かず外板が腐食、或いはプロペラの選択腐食が発生(図3−2)
(3)鋼製甲板機械とアルミ甲板又は機器台との取合い部の腐食
(4)ドア、窓枠等及び取付ビスとの固着部の腐食
(5)魚倉ビルジウエルのSUS材使用部の腐食(グレーチング、パイプ等の箇所)
(6)ブルワークトップレールのSUSカバー板の下面(隙間腐食)
(7)船内海水水溜り部への鋼製品等の放置による腐食
2)船内を含めた海洋大気中でのアルミニム合金の裸表面の孔食の進行率は、約0.1〜0.2mm/年程度であり、又、深さ0.5mm程度で進行が止まるものが殆どであるため、外観上問題はあるが機能的、寿命的には殆ど問題はない。風雨に曝されるところはそのクリーニング作用により、孔食の発生は極めて少ない。
3)(1)海苔養殖用酸液等による腐食
(2)材料成分、冷間圧延率等による材料の剥離、又は応力腐食割れ
(3)異物の付着、堆積
3.2 腐食対策
1)必ずアルミニウム合金船用塗料で塗装すること。
2)必ず電気防食を行うこと。
3)陽極板の取付要領、位置、数を再チェックすること。
4)ビルジウエル内は、陽極板の取付、FRPコーティング、タールエポキシ塗料で塗装等の処置を適用する。
5)隙間部は接触両部材面を十分塗装する。
6)孔食防止上からは船内も塗装することが望ましい。塗装する以上は、下地処理を含め、標準通りの塗装を行うこと。
曝露部を定期的に静水洗浄すれば、孔食防止、更には艤装品の接触腐食緩和に役立つ。
7)成長促進用酸液に対しては、エポキシ系塗膜でも或程度はもつが、擦過・剥離の心配があるので、やはりFRPコーティングする方が良い。
8)材料の剥離・応力腐食割れ等については、材料の改良も進み、現在では殆ど心配はない。
9)機関室底は無塗装の場合が多いので、異物の堆積等には十分注意し、定期的に清掃を行うことが必要である。
10)異種金属との固着部には、絶縁措置を施すこと(図3−3)
 
図3−3 アルミニウム合金と異種金属の固着面の絶縁法
LWS W 8101 による
アルミニウム合金と鋼のボルト結合
(拡大画面:24KB)







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