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4. 大型押出形材使用上の留意事項
●使用に際しては、事前に大型押出形材採用の得失を良く検討し確認すること。
 特に小型船では適用箇所を厳選すること。設計希望通りのサイズのないことが多い。
 
●JIS規格7種の外、各社は多寸法多種類の型を持つ。材料手配上の理由から各社製品を混用する場合には、予め寸法、精度を確認すること。
 
●板巾が300〜600mmに限定されるため、板継ぎ(シーム)溶接量が大。自動又はトーチ自走溶接、かつ片面裏波溶接法採用が望ましい。この場合パネルの拘束を十分に行うこと。
 溶接仮付け前に前後パネルとの配列整合を確認すること。
 
●前後部ロンジ配列との関連を現図作業時に十分考慮すること(ロンジのランディング計画)。
 
●船底、船側外板用はテーパ付きとするのが普通であるから、ロンジ貫通部のトランスは裾払いをする必要がある。上部構造用は一般にテーパなしが使用される。
 
●大型押出形材は水・油密隔壁、外壁、諸室仕切壁等にも使用される。
 
●骨材溶接組立パネル(プレリブ等)の活用も有効。ただし、溶接組立であるため、トランス溶接後の戻り歪みの可能性のあること、及び重量軽減面で大型押出形材に劣ることはやむを得ない。
 
●パイセクションの強度、重量上の利点
◇パイセクションの利点の一つ=1スパン間の曲げ応力が各位置で均等となる板厚配分
=1スパン間不均一な断面厚さ
=テーパ付き→→重量軽減
 
◇パネルは両端固定、等分布荷重による曲げモーメントのみのかかる帯板の梁。この条件では、スパン中央部の曲げモーメントは固定端の(ほぼ)1/2になる。
 以下、パネル中央点の板厚算定法を説明。
 
固定端モーメントM0=k・ps2/12
板中央〃 M1=(3−2k)・ps2/24
固定端曲げ応力=板中央曲げ応力→σ0=σ1
Z0、Z1=固定端及び板中央部の断面係数
 
∴Z0=Z1・M0/M1=k・b・t12/3(3−2k)
 
ただし、Z0=b・t02/6、b=板巾
Z1=b・t12/6、t=板厚
 
∴板中央部の板厚
 
kは通常1.0〜1.2程度である。安全サイドを採り、k=1.0とすれば t1=0.71・t0となる。
即ち板中央部の板厚は骨付部厚さの71%となる。
厳密には詳細解が必要ではある。
 
曲げモーメント図
p=
等分布荷重
k=
板厚さ比、テーパ長さ等で決まる係数
 
●船用アルミニウム合金押出形材の採用寸法簡易決定法
(JIS F 2008−1997の解説書による)
(1)適用基準及びモデル船主要目
軽構造船暫定基準,L=28m、Bc=5.4m、V=30kt、排水量=90t、β=15°、沿海
 
(2)基準による船底水圧の計算
 
P1=K/10.2(V2/1000+C×W/L×Bc)=0.239MPa
 
(3)基準による船底外板の厚さ
 
(4)板部の候補材の選定
 表2は、基準の計算により平板ベースのロンジスペースと板厚が決まった時、これに相当する押出形材デザィンでの設計水圧を求めたものである(基準の水圧とは異なる)。
(2)、(3)の計算値に基づき、表2から対応するテーパ付き押出形材の設計水圧を求める
スペース300mm、板厚8mm→設計水圧=0.222 MPa
 
 表3から、スペース300mm、設計水圧≧0.222MPa以上のテーパ付き材候補を選択する。
厚さ 6mm 相当欄から 0.227 MPa(板部質量4.73kg/m)
厚さ 7mm 相当欄から 0.244 MPa(板部質量5.14kg/m)
厚さ 8mm 相当欄から 0.227 MPa(板部質量4.73kg/m)
[注]
表3にある型は全てJISに規定された7種以外のものであることに注意。従ってJIS材を使用する時は表3に近いものを使用することになる。
 
 厚さ6mm相当材を使用することができれば、表2の平板の場合のスペース300mm、板厚8mmの質量6.48kg/mに対し約27%軽くなる。
 
(5)骨部の計算
 
基準の塑性断面係数
 
ZP=83,500×P1×S×l2/σy
 
s=0.3m、スパンl=1.0mとすれば
 
ZP=47.90cm3
 
もしJISのP1−02を採用したい場合は、その骨部塑性断面係数=21.82cm3で不足するから、スパン即ちトランススペースを次のように修正して設計しなければならない。
 
 
(6)決定 以上の(4)及び(5)から最終的に採用型を決定する。
 
(拡大画面:190KB)
 
船用押出形材の曲げ方
(拡大画面:36KB)
 
押出形材の活用例
(拡大画面:34KB)







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