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5.1.7 曲りブロックの内構組立基準線
 曲りブロックの外板板継仕上は、前章のように形状確認され、バット・シーム共に正確に決められるが、あとの内部構造を組付けての変形:ブロックの捩じれなどは、完成後の治具上端の隙をチェックし、四周の跳ね上がりを定盤からの高さで再計測して見る他に、適切な方法がなかった。
 曲りブロック定盤基準を内構にも適用できないか、その要請から設けられるようになったのが、ここに記す内構組立基準線である。
 [図5.1.23 組立治具定盤と内構組立基準線の関係]に、その概念を示す。
 組立垂直基準線は、治具定盤の基準格子面を内構にマーキンした線。トランス・ウェブなら横格子線が入り、足元でブロック横基線に一致し、ガーダーやストリンガーなら縦格子線が入り、同じく足元でブロック縦基線と一致する。正確に組み上がっていれば、格子面である鉛直面内に、この内構にマーキンされた組立垂直基準線が、一致して重なった1本の線として(トランシット/下げ振りで)見透せる。
 
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図5.1.23 組立治具定盤と内構組立基準線の関係
 
 組立水平基準線:主要な内構の高さに入る定盤面に平行な平面を設定し、その交叉線をマーキンしたもの。その水平面内で(トランシット/水盛測定で)見透して、全ての組立水平基準線が1本に重なれば、完成した曲りブロックに変形はないことになる。
 つまり、この内構の垂直・水平基準線で完成ブロック形状が確認できるのである。
 この内構組立基準線の設定は、手作画で求めるのは面倒で、数値現図でないと実際的でない。数値現図なら、曲り外板システムの治具定盤データを、内構一品システムに送り込み受け渡せば、定式通りに自動設定される。
 
5.1.8 曲り外板加工
 各単位の外板展開と曲型では、取扱うフレームに「正規」と「切直し」がある。
 正規フレーム:船全体で一貫して決められ(船体系)、内構やフレームの取付位置となる。前章で見た[表5.1.19' 曲り外板ブロック板継仕上げ寸法表]で、正規フレーム・・・と断ってあったのは、マーキンに使うフレームとして特定する意味である。
 切直しフレーム:個別のブロックまたは単位の外板毎に設定され(定盤系)、その工程までの便宜で用いられる。
 [写真5.1.1 フレーム線マーキン]で、Fナンバーが正規、Kナンバーが切直し・・・である。
 切直し展開については、別冊『現図展開』参照。
 ここでは金取マーキンと曲加工について述べる。
 
写真5.1.1 フレーム線マーキン
 
写真5.1.2 切直し曲型
 
 切直しフレーム面は撓鉄定盤に鉛直で、切直し曲型は[写真5.1.2 切直し曲型」に見るように、曲げ外板にほぼ直角に当てるようになる。また、見透面は板幅の中央部を走るように決める。
 したがって:−
1)曲型の形状=外板の横曲げ形状なので判りやすい。
2)曲型の置き方:外板上への支持がしやすい。
3)曲型当度による見透変動が少なく、精度がよい。
 [図5.1.24 曲型当度誤差]に見るように、角度誤差δでの見透高さは、正規フレーム曲型では変化大であるが、切直しフレームでは変化小。また、正規フレームでは、シームの流れに依っては、板幅方向にも見透しを落とすことになり、当度誤差の精度影響は更に大きくなる。
 
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図5.1.24 曲型当度誤差
 
 現尺作画機があれば、[図5.1.25 曲り外板展開型と曲型]のように、原寸形状が描ける。
 
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図5.1.25 曲り外板展開型と曲型
 
 プロッターやラインプリンターならば、[図5.1.26 曲り外板一品寸法図](108頁参照)か、[表5.1.26' 曲り外板一品寸法表](109頁参照)を出力して、直接にか、定規を作るか・・・で金取マーキンができる。
 この図および表の構成を解説しておこう。[図4.0 平行二本基線によるマーキン]に類するが、はるかに簡単である。
 見方は[図5.1.27 曲り外板展開寸法表示]に示した。
 
 上下の平行基線幅は、左端の縦基線の近傍に記され:−
(X)フレーム名:左・右端バット=B1・B2、その間に左から昇順に正規F/切直しKフレーム
(A):縦基線〜下基線の長さ寸法
(B):下シーム〜下基線の巾寸法
(C):見透線〜下シームの巾寸法
(D):見透線〜上シームの巾寸法
(E):上基線〜上シームの巾寸法
(F):縦基線〜上基線の長さ寸法
(G):バックセット量(Kフレームでは、ほとんど発生せず)







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