5.1.5 曲りブロックでの振り下げ度
なお別件であるが、上掲の配材要領図に見るように内部構造(トランス)部材の取付度も、定盤基準の振り下げ度=θで指示しているので、ここで説明しておこう。
曲面である外板との交角=αで取付度を与えるのは、不適切だからである。凹面なら自在金の脚の長さを規定しないと精度が出ず、凸面なら定めようがない。
[図5.1.14 振り下げ度]に使用する道具と出力例を掲げておく。
振り下げ度の値の使い方は、いずれも下げ振りと:−
●KAKUDOなら、図示の専用分度器
●AまたはBなら、差金
で、所定の取付角度を求める。数値現図では、A=l000 Tanθ、B=2500 Sinθ・・・のように自動計算で出力できるので、「お好みで、どれでも」といった冗長な様式となるようである。
図5.1.14 振り下げ度
5.1.6 曲りブロック仕上マーキン
先に説明したように、[図5.1.15 曲りブロック基準格子]に示すブロック曲面上の交叉線、縦横格子より出発する。以下、マーキンで求めるものの代表として、この図で示すSを曲面上の横方向の線、例えばシームやロンジ位置、Fは縦方向の線、例えばフレームやバット位置としよう。
まず、もっとも単純な事例、縦格子=T(トランス方向)基線、横格子=L(ロンジ方向)基線とする方法から説明する。
図5.1.15 曲りブロック基準格子
1)曲りブロック形状の確認
要領を[図5.1.16 曲りブロック形状確認]に示し、対応する寸法表(ラインプリンタ打出し)の例を[表5.1.16' 曲り外板ブロック形状寸法表]に掲げて、対応させる。また、この形状寸法表の事例は、先に掲げた[図5.1.5 組立曲面線図]および[図5.1.6 定点治具図]と同一ブロックである。
チェック項目は、次の通り網羅されていて、かなり繁雑であり、必ずしも全てを確認しなくてもよい。
●ブロック四周点(四つ角:シームとバットの交点=4、その中間にある基線端=4、計8点)の高さ:寸法は表の各点の近傍に指示。
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図5.1.16 曲りブロック形状確認
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表5.1.16' 曲り外板ブロック形状寸法表
●ブロック四周辺(シーム=2、バット=2、計4辺)のガースの長さ:寸法は表の各辺の近傍にGL=・・・で表示。
●ブロック(縦横)基線長:寸法表には[図5.1.17 基線寸法]の内容が基線上に打出される。差越は、バットやシームが開先で仕上がっていると、端点が空間位置になるので、代換点として指定でき、この事例では50と表示されている。
●基線タスキ(外タスキは必須で、端点の筋交い直線長。中タスキは補助で、縦基線中間のロンジ方向線交点に掛ける)長さ:寸法表では各タスキ上に打出してある(事例の中タスキ:上側のタスキ上の数値=0・・・はナシを意味し、下側のLCDCとはタスキを振ったロンジ方向線の名称)。
●対角タスキ(ブロック四つ角の筋交い)長さ:寸法表では[図5.1.18 対角タスキ寸法]の要領で、半ガースを夫々(括弧)内に、全弦長を右タスキ上に打出し。
●基線間角度:寸法表の中央右上の数値、90.1/はブロック曲面上の指示位置側基線交角、(90.8)は横基線と縦基線面となす同側空間角。
図5.1.17 基線寸法
図5.1.18 対角タスキ寸法
2)曲りブロック仕上マーキン
上記のブロック形状が全て確認されたら、[図5.1.19 曲りブロック仕上マーキン]の要領で、全て縦横基線を押えて、マーキン位置出しをする。
位置出しは、ガース長さが累積寸法で目盛られた幅定規と長さ定規を作成して行う。
その作成を、これまでの例に掲げた同一ブロックでのラインプリンタ出力[表5.1.19 曲り外板ブロック板継仕上寸法表](100p参照)で説明しよう。
図5.1.19 曲りブロック仕上マーキン
寸法表の読み方と定規作成の手順は次の通り:−
●表は定規作成に適する様式で、幅定規用と長さ定規用と2種ある。
タイトル: |
(幅 寸法)正規 フレーム =幅 定規用 |
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(長さ 寸法)正規 フレーム =長さ定規用 |
項目:(ライン名)=マーキンする線の記号
(定例項目)
L.KISEN=横(ロンジ方向)基線。
L.KOSHI=横基準格子
T.KISEN=縦(トランス方向)基線。
T.KOSHI=縦基準格子
B.TAN=Bottom TANgency
S.TAN=Side TANgency
E.KISEN=搭載用基線(WL、BLなどが用いられる)
(ブロック個別項目)
シーム線:(下から順に)S2、S3、S3−A、S4
ロンジ線:(同)LS、LCDC、LCDB
バット線:(左から最初に)B38、(右終りに)B53
フレーム線:(左右端バットの間に左から)F39、F40、F41〜F51、F52
寸法:−9999=ナシ
(横方向)ブロック最左端=0、あと右に追寸法
(縦方向)ブロック最下端=0、あと上に追寸法
●各表の最大寸法を見て、定規材を選び、それぞれ巻き尺と並べて動かないようにし、それぞれの項目と位置を目盛る。
[注記:(長さ 寸法)表は、掲載の都合でカットしてある]
基準格子線は、組立定盤との対比確認用であるが、この場合は基線兼用なので、同一となっており、かつ押え位置なので同一寸法である。
●図面より、板逃・開先・部材名など所定の記事・記号を転記する。
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