2.4.3 舷区分とマーキン面の表示
造船所によっては、部材の「区分+指標」として、舷とマーキン面の方向をタイトルの近傍に指示するプラクティスがある。例として:−
[写真2.2.1 折れのマーキン]にみる、P上マ:左舷の上面マーキンの略
[写真2.2.5 NCスロット切断]での、(P)尾マ
[写真2.3.3 指標二つ]にある、外マP、外マ(S)、下マ(S)
など統一はとれてないが、意味はすぐ判る。ただし部材端には別途に配置取付用の指標があるから、同じ目的なら冗長(必要以上の重複)である。
マーキン面の表示は、上記した舷区分の約束の代わりに、型定規から取材マーキンするときの必要であり、取付指標としても使えるところからの由来である。
また舷の指示も、存在舷で行われていようが、物流仕分の目的では不明瞭な場面も生ずるはずである。
2.4.4 対象部材と製造数
取材数の過不足を避けるために、型定規に、それによりマーキンする対象部材数を記載する造船所もある。もっとも多いのは、当然に左右舷対称に各1個取材で、これを[P=1 S=1]のように型定規のタイトル記入の近傍の判りやすい所に表示している。この舷も存在舷で、マーキン時に消し込むのである。数が1でなく多ければ、正の字をメモして確認する。部材にはマーキンしない記事である。
両舷対称にある部材であるが[写真2.3.1 指標不要]に見るように、PSが実質同じで、どちらに持って行ってもよい場合に、「N部材」と扱うことがある。この指定があれば、仕分が不要で重ねて置けるからである。機能本位に作られる自家用船では、米国の戦時標準タンカーに習って、N部材化のためにPSのスチフナーサイドを逆にした例がある。
2.5 部材、定規、取材の単位識別
直接に型定規の内容となるものではないが、ここで現図に関連する情報の整理、保存、受け渡し、管理の区分につき述べておこう。
これらは個々の造船所の分業、工程、担当など取り扱いの“あり方:例えば、特定の個人に依存して問題がない・・・とか、判らなくなったら再度準備する方がキチンと整理整頓しておくより楽・・・とか、その難易”に絡み、一概に判断できない。
コンピュータの言葉で言えば、データベースの様式設計みたいな面もある。索引用のキーと内容となるデータをどう構成するか。データーキーにできればベストである。
2.5.1 部品コード
部材を識別するための名前、番号をいい、型定規に記入する。
1)通称で指定:船体位置×構造機能
船殻設計図での呼び方を、そのまま使うやり方である。例えば、Fr.98 D'K下BKT.・・・などと任意に言葉略称を綴って表現する。カナや英字混じりでも、何とか見当が付く。そのうち任意が通称に固まってくればよいが、そうは行かない。構造用語を覚え、ある程度慣れないと応用できない。また、ほんとに唯一のコードになっているか、保証はない。文字数は多く、なんの約束も要らないが、非効率である。
2)意味コードで体系化
ブロック構成×工程の意味番号での識別とするものである。標準化が必要であり、より少ない桁数の構成で上記1)の持つ船体位置×構造機能もイメージできるようにする。唯一コードの保証はあり、必要なレベルにより上位コードの省略ができる。
3)発生順の自動付番
量産品で採用される単なる整理コードで、当然に唯一となる。名前などなくても目の前に部材があれば、組み付けできる・・・との見解もあるが、造船での実例はない。
この3種に分けられる。このコードに関わる工程や作業者は多く、それぞれの目的に応じて利点・欠点は一様でなく、本書では、これ以上の説明は省略するが、これから決めるのであれば、思い切って単純簡単なものを薦めたい。
2.5.2 定規ナンバー
一般に型や一品図などの現図情報は、部材と一対一に対応し、識別は部品コードで代用できる。
長いスティールテープなどで、収納形態から「見出し」が必要なときに、定規ナンバーが用いられる。定規の進捗・整理・保管の担当者に便利であればよい。
2.5.3 カッティングナンバー
一素材から一部材を取る場合は、これも部品コードで識別できるが、複数部材をネスティング取材する場合は、その取材組み合わせの情報:カッティングプランを仕分する番号が必要になる。この場合も情報作成からマーキング切断までの工程関係者に便利な付番であればよい。
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