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4.2.4.2.5 Compositions and connections between members of classes
 オブジェクトクラスのメンバーは、他のオブジェクトクラスのメンバーから構成されることが出来る。これは、既存のクラスとの間との共通の構成の関係を成すものである。
 例えば、インペラーは渦巻ポンプの一部になり得るという事は、全ての渦巻ポンプに対していえる。STEPlibでは、クラス間の構成関係も記録される。これが構成の階層構造になる:
   − impeller can be part of a centrifugal pump
  − driven equipment can be part of a rotating equipment system
 同時に渦巻ポンプの一部となるインペラーの数は、1からnケまで変化するが、1ケのインペラーは、同時に1ケのポンプの一部になるか、例えば保管されている場合には全くそれになり得ないか(だからレンジは0から1になる)である。これらの制約はcardinalityと呼ばれる。定義に使われると、その定義は次の様になる:
   1,n      impeller can be part of 0,1 centrifugal pump
  1,n   driven equipment can be part of 0,1 rotating equipment system
 オブジェクトクラスは、また他のクラスに接続される。例えば、ノズルは容器に接続できる。これは、接続可能なものと同じように、既存のクラスとの間で共通の接続関係を成す。
 
4.2.4.3 Classes of Properties, Qualities and Encoded Information
 STEPlib Reference data Libraryには、更にプロパティクラスや品質クラスやコード化された情報クラスや許容計測単位がある。またそれらのクラスとオブジェクトクラス間の関連を持っている。
 Properties プロパティは圧力や直径の様な数量化された性質である。
 Qualities 品質は、開閉、耐火、腐食性などの数量化された性質である。
 Encoded information コード化された情報は、文字、音あるいはそれ以外のビットパターンなど計算機にコーディング規約に従って保存されたものである。コーディング規約には、自然言語によるものやASCIIやHTMLなど標準によるものなどがあり、インターネットに使われたり、MS−WordのDOCの様にアプリケーションに使われるものがある。
 
 数量プロパティは、特定の保有プロパティであるか、その保有プロパティの比較に使われる共通プロパティの何れかである。
 例えば、直径に分類された特定の保有プロパティは、3000mmで、それは距離と呼ばれるコンセプトプロパティの共通値である。
 
 STEPlibは、プロパティクラスや共通品質クラスや標準のアルファベット文字の様なコード化された情報のクラスに対するallowed common properties(with values)を持っている。これらの許容値は、時々ドメイン値と呼ばれる。
 ライブラリは、プロパティや量やコード化された情報のクラスと存在するのが分かっているオブジェクトあるいは定義型のオブジェクトクラスとの間の関連を持つ。
 例えば、ライブラリは‘diameter’は、‘vessel’に対する共通プロパティクラスであるという関連を持っている。これらは、プロパティクラスと物理オブジェクトクラスの間の関連として定義される。
 
4.2.4.4 Classes of Aspects of Physical objects
 物理オブジェクトクラスは、常に、1ケまたはそれ以上のメンバーが共通に持っているアスペクトを基準にして定義される。より大きな階層クラスの最上位を成すSTEPlibの基本(foundation)クラスは、最初に、一般クラスのサブタイプによって、更に文字によってアスペクトの区別を記述することで定義されていた。より多くのこれらのアスペクトは、STEPlibにて明示的にモデリングされるであろう。
 例えば、渦巻ポンプはポンプを渦巻の原理を基準にして詳細化したものである。従って、‘centrifugal’は渦巻ポンプを定義付けるアスペクトである。
 特別の物理オブジェクトクラスは、クラスに含めるか含めないかの基となる1ケまたはそれ以上のアスペクトを持っているという事実によって完全に定義が出来る。これは、そのアスペクトの定義を使えば、文字による説明を加えなくても、十分に定義可能であることを意味している。だから、詳細化されたクラスは、明示的な保有アスペクトを使って定義されなければならない。それらは、そのコンテキストの中ではユニークな識別子さえあれば、名前すら必要ではない。これは、クラス名がそのアスペクト類をつなぎあわせることで、引き出せる特別のケースである。
 例えば、ある購買依頼による特殊なフランジ(=フランジクラス)は、例えばKKSコードのような会社特有のコードによってのみ識別が可能になる。そこでは名前は要らない。親クラスを含むアスペクトを検索することで選択できる。
 標準オブジェクトを選択するには、技術者は、実現しなければならないプロセスやアクティビティの要求に沿って設計を進めている特定のオブジェクトのプロパティから開始するのが普通である。従って、要求されたプロパティを満足するプロパティを持つ標準オブジェクト(=物理オブジェクトの特殊クラス)が、選択される。そこで特定のオブジェクトは標準クラスの1ケとして分類することが出来る。
 
 しかしながら、オブジェクトのクラス分類は、1ケもしくはそれ以上の特定のプロパティは、値を持たないという状況を引起こす。しかしその分類はプロパティがそのクラスのプロパティの制約を受ける。
 STEPlibの基本クラスは、そのプロパティの値によって定義されるクラスは含まない。例えば、6インチのバルブは基本クラスには含まれない。このルールには幾つかの例外があって、クラスが一般にエンジニアリングプラクティスとして認められている場合には、STEPlibに含まれるべきである。それらが、明示的なアスペクトによって完全に定義されていたとしても、もしその文字による定義が成されてなかったとしても。
 一方、そういったクラス定義は、論理的にはクラス数には制限がないのだが、既に通常のエンジニアリングで使われているクラスに限られるべきである。
 例えば、‘single stage compressor’は、コンプレッサーのサブクラスになる。何故なら、それは産業界で認められていて、特定の物理オブジェクトは、段数=1である‘compressor’に分類することで、それ自体のクラスを作らなくても記述できるからである。
 
4.2.4.5 Classes of Substances −Process materials, Materials of construction
 物理オブジェクトは、事柄型から作られる。事柄の原子階層構造は、その物質型‘type of material’あるいはその物質として参照される。これらのクラスは原子や分子型や相互に関連する方法を定義する。
 例えば、インペラーはステンレス鋼で作られる。なので、‘class of stainless steel’は、その構造アスペクトのみを参照する。この事実は、インペラーは特定の材料から作られるという宣言とは区別されるべきである。バッチ(の構造アスペクト)は、またステンレス鋼として分類され得る。
 従って、ステンレス鋼は、(通常、物理オブジェクトの製造材料のロールの)物質のクラスの一例である。これは、ある物質クラスから作られるオブジェクトは、物質クラスと関連を持つことを意味する。
例:
 
物理オブジェクトはステンレス鋼から作られる(can be made of)。
 従って、製造材料‘material of construction’は、オブジェクトの特徴としてではなく、オブジェクトと物質クラス‘class of substance’の間の分類の関連として定義される。
 製造原料の様なプロセス材料Process material は、材料のロールである。そこで油、水、ブタンなどは、物質クラス‘class of substance’のインスタンスの別の例である。それらは、自分で階層構造を持っている:
   crude oil is a specialization of oil
  stainless steel is a specialization of steel
 Process materialsは、その様態やフェーズによっても分類される。
例:
 
材料は、流体状態になり得て、その状態はさらに、液体や気体や固体やプラズマなどに分類され、あるいはその状態は結晶やいろんな形になり得る。
 
4.2.4.6 Classes of Signals, Waves and Energy
 信号と波動Signals and waves は、物理オブジェクトのサブタイプである。エネルギーはプロパティとしては定義されない。それは、下記の様なクラス階層をもっている:
   signal is a specialization of physical object
  electrical signal is a specialization of signal
  radio signal is a specialization of signal
  wave is a specialization of physical object
  light is a specialization of wave
  energy is a specialization of property
  etc.  
 
 信号Signalsとは、物理オブジェクトの変調された流れであり、その変調プロパティが、搬送情報を表わしている。
 波動Wavesは、物理オブジェクトで、それは物の中を移動したり、放射したりする。波動は、エネルギーを表わす(或いは含んでいる)、それは熱の様にある物に貯えられている(物のプロパティの様にも見える)。エネルギーは、ものから取り出されて、他のものに伝えられる。
 例えば、流体から取り出される熱は、熱交換器の伝熱面を介して移動され、他の流体に伝えられる。
 電磁波Electro−magnetic wavesは、真空空間でも伝わる物理オブジェクトである、しかし他の物理オブジェクトの中も移動することができる、例えば導体を移動する電気のようなものである。電気エネルギーは、物理オブジェクトによって、蓄電装置に貯えられた電気の様に保持される(その様なエネルギーは、また物理オブジェクトのプロパティの様にも見える)。それは、物理オブジェクトから引き出され、電線のような導体を通して伝達される。
 例えば、電気や光の波は制御の為にコード化された情報の物理表現にも使われ、それらはまたエネルギーの伝達にも使われる。







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