1. AP227の概要
AP227の名称は、Plant spatial configurationプラント空間構成となっており、配管やダクト更には電路(電線)とその関連機器との空間配置に関する情報モデルであり、製品の形状、空間配置、配管とHVAC並びに電路(電線)を構成する要素の接合情報を含んでいる。この規格では、配管及び配管システムの設計、解析、製作並びに据付に関する情報の交換要件を定めている。またHVAC要素及びHVACシステムの設計、解析並びに据付に関する情報の交換要件を定めている。更に電路要素及び電路システムの設計並びに据付に関する情報の交換要件を定めている。またこの規格では、HVACと配管の要素とシステムに関する基本事項の情報の交換要件を定めている。
配管システムの設計情報では、圧力と流量を維持するポンプを規定することができる。設計では、形状の制限や要件、あるいはポンプの配置場所を規定することもできるが、ポンプの製作に関する完璧な情報をもつことはできない。
本APの要件のハイレベルな記述として基本的なデータの概念を含めて、図1にデータ計画モデルを示す。これによるとプラントはプラントシステムから成り、プラントシステムはプラントアイテムから成り、プラントアイテムは、プラントアイテムのコネクターを使って相互に接合される。プラントアイテムの形状と空間配置はアイテムシェイプによって表現される。形状表現には、CSGやBrep及びワイヤーフレームからなる幾何、若しくはこれらの組み合わせが使われる。プラントアイテム形状は、外形簡易形状から詳細形状まであらゆる表現が可能である。データ計画モデルでは、変更に関する事項も本APの守備範囲であることを示している。変更は各々のプラントアイテムやプラントアイテムの関連並びにプラントアイテムのグループに適用可能である。それはデータ計画モデルにある全ての概念に適用される。
注: |
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カタログアイテムとクラスに関しては、ISO13584 PLiBを参照されたい。 |
本APのコンテキスト、スコープ並びに情報要件は、プロセスプラント、プラントシステム、船舶システム、システム構成要素などの設計やレイアウトの情報の交換を満たすものである。ここでは次の様なものも含まれている;
●オーナからエンジニアリング会社に対する要件の交換
●設計エンジニアとシステムエンジニア間の電路、HVAC、配管及び機器の設計仕様の交換
●設計エンジニアと製作エンジニア間の電路、HVAC、配管及び機器の設計仕様の交換
図1 データ計画モデル
●設計エンジニアとシステムエンジニア若しくは製作エンジニア間の電路、HVAC、配管及び機器の変更仕様の交換
●エンジニアリング会社、製作会社若しくは工事会社間の配管製作情報、配管製作検査結果及び据付情報の交換
●異なるエンジニアによって作成された設計結果のインテグレーション
●システムと他のシステムの要素との物理的な干渉の検知
●エンジニアリング会社と工事会社及びオーナ会社との間の電路、HVAC及び配管の据付情報の交換
●オーナ、エンジニアリング会社、及び工事会社の間での現地設置のユーティリティとシステム構成仕様の交換
規格書によるとその守備範囲(Scope)は次の様になっている。
●プロセスプラント又は船舶のシステムを成すアイテムの形状と空間配置
●システムとコンポーネントに関する3次元形状の明示的な表現
●システムとコンポーネントに関する3次元外部形状の明示的な表現
展開図、概略図あるいは詳細図並びに外部形状のパラメトリックな表現も含まれる
●HVACと配管システムの機能構成、と機能構成の物理的な設計への関係
●配管要素と配管システムの設計、解析、製作及び据付に必要な情報
●製作された配管の検査情報
注: |
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機能構成は、接続、接続順序、要素寸法、及びスケジュール等の装置のタグ番号を必要とする。 |
●空間配置やシステムの構成に必要な基本技術データ
●プラントシステムの機能要件への参照事項で、蒸気データとか操作特徴など
●システム設計に必要となる要素や接合機器の機能特徴の参照や選定
●配置場所の面積、容積及び占有機器の識別、形状、位置、及び方向
●システムや要素の物理的な特徴や特性を指定するシステムや接続機器の仕様、標準、ガイドライン、若しくは法律への参照
例1: |
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材料と溶接に対する要求を含む物理特性 |
例2: |
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ISO 103030やISO13584への参照 |
●要素に関するカタログの識別
●要素定義に含まれるカタログの識別
●要素や接続機器及びその配置のステイタス
注: |
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プロジェクトの監視や管理の為にプロジェクト管理によってステイタスラベルが使われる。”仮”、”作業中”、”製造発注済”といったラベルが使われて完成度合いやその後の設計作業やレイアウト作業の便宜を設定する。 |
●電路、HVAC及び配管要素並びに機器に対する接合及び接合要求
●手配に必要詳細な要素の定義
●変更承認、通知、及び検証、システム情報の版数の差異のトラッキング、及びプラントアイテムやその属性の変更に対するトラッキング
注: |
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変更情報のみが対象で、変更プロセスは本規格の対象ではない |
●配管やHVACの中を流れる流体の化学成分の仕様、要素が意図されたプロセスで安定であることを評価できるに十分なもの
●データ交換
●クラス分けされたシステムの外部参照
●標準部品への外部参照
●標準部品の表現への外部参照
●スケマテック系統図
●仕様、標準、ガイドライン、あるいは法律などの書物
●配管仕様の準備
●調達並びに材料管理
●配管システム内の流体の化学成分の仕様、プロセスフロー設計に十分なもの
●プロセス設計と概念計画
例: |
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プロセス設計には、材料やヒートバランス、プロセスフローダイヤグラム開発、機器寸法の決定作業を含む |
●プラントの試験、運転、引渡し、保守、及び廃却
●プラント運転要領
●調達と契約に関する商業上の事柄
例: |
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商業上の事柄には、価格、期間と条件、支払スケジュールを含む |
●プロジェクトのライフサイクルを通してデータセットの革新と成長に必要な情報
●履歴データ
●機器の内部設計と保守
本APには下記の16ケのUOF機能単位から構成されている;
− associative_schematics UoF;
− cableway_component_characterization UoF;
− change_information UoF;
− connection UoF;
− connector UoF;
− hvac_component_characterization UoF;
− hvac_system_functional_characterization UoF;
− hybrid_shape_representation UoF;
− piping_component_characterization UoF;
− piping_inspection UoF
− piping_system_functional_characterization UoF;
− plant_characterization UoF;
− plant_csg_shape_representation UoF;
− plant_item_characterization UoF;
− shape UoF;
− site_characterization UoF.
本規格は現在(2002.12)AP227 ed2としてDISの段階にある(AP227 ed1は既にIS化済である)。DIS投票が2003.04に完了する予定である。なお、ed1にPiping Fabrication配管製作を加えたものがed2であり、更にこれに船舶機関部Ship Mechanical Systemの要求をDISコメントの形で加味して、AP226 Ship Mechanicalを吸収する方向で関係者間で合意されている。Ship Mechanical SystemをこのAPの中でどのように実現するかは、現在鋭意検討がすすめられているが、DISドキュメント注1には未だ何も触れられていない。
注1: |
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ISO TC 184/SC4/WG3 N1144 (Note: This will be number of DIS) Date:2002-10-04 Supersedes ISO TC 184/SC4/WG3 N1088 ISO/DIS 10303-227 |
参考:AP226 Ship Mechanical SystemのUOF
AP226 CDドキュメントに示されたShip Mechanical SystemのUOFは次の通りであった。また参考にデータ計画モデルを図2に示す;
− dictionary_items_and_definitions;
− engineering_measure_with_units;
− external_references;
− items_and_definitions;
− library_references;
− mechanical_product_representation;
− mechanical_product_structures;
− part41_resources;
− part42_resources;
− schedule_and_events;
− ships.
(拡大画面:40KB) |
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図2 AP226データ計画モデル
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