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【2】造船所の動き
(1)センブコープ・マリーン(SembCorpMarine)*
 シンガポール国内に4ヵ所の造船所(JURONG SHIPYAR DPTE LTD, SEMBAWANG SHIPYARD PTE LTD, JURONG SML PTE LTD,PPL SHIPYARD)を持つセンブコープ・マリーンの2001年の総売上は、2000年に対して11.9%増の8億5,400万Sドルとなった。2001年の税引き前利益は2000年に対して7.6%増の1億340万Sドルとなり、史上最高益となった99年の11,110万Sドルとほぼ横並びとなった。
 船舶修繕の好調等が業績に反映された。
 2001年の売上げ構成は、船舶修繕部門の売上高は4億8,700万Sドルで全体の57%(2000年;50%)、オフショア・改造部門が2億400万Sドルで24%(2000年;32%)、新造船部門が1億400万Sドルで12%(2000年;11%)、その他が6,000万Sドルで7%(2000年;7%)であった。2001年のグループ全体の修繕および改造船舶数は、403隻(2000年;380隻)、1,810万総トン(99年;1,620万総トン)であった。このうち、373隻(99年;358隻)が修繕、残りの7隻(99年;6隻)が改造およびオフショア関連であった。船種別に見ると、タンカーが50%(2000年;50%)、旅客船が3%(2000年;5%)、バルクキャリアが8%(2000年;10%)、コンテナ船が13%(2000年;8%)、LNG/LPG船が8%(2000年;10%)、海軍艦艇、一般貨物船、浚渫船その他が18%(2000年;17%)であった。
 オフショア・改造部門では、ジャッキアップリグ4隻及びセミサブ型オイルリグ1隻のアップグレード、FPSO(Floating production Storage offloading)2隻、FSU(Floating Storage Unit)1隻及び発電バージ1隻の改造工事があった。
 新造船部門では、ケーブル敷設・修理船1隻、コンテナ船(1,078TEU)3隻、コンテナ船(2,500TEU)2隻が建造もしくは計画中であった。
 同グループは、インドネシアにはP.T.KARIMUM SEMBAWANGに資本参加しており、2001年5月ブラジルにジョイントベンチャ企業としてMAUA JURONGを設立し、中国ではBOHAI SEMBAWAN PTE LTDの他、COSCOグループの一部であるDALIAN COSCO MARINE ENGINEERING COに2002年4月を目途に資本参加すること等により、海外におけるハブ基地の整備を進めている。
 同グループは、現在2002年から2004年まで14億2,000万Sドルの受注残が有る。世界経済の減速により船舶修繕に対する船主の要求はますます厳しくなるが、船舶修繕の量の確保はある程度見込めるとしている。
 改造・オフショア部門については、2001年第3四半期からしっかりした成長を感じているとしている。
 総株主数3,400の97.65%に当たる3,320、総株式1,407,388,580の4.26%に当たる60,000,000株を石川島播磨重工業が保有している。
*: 2000年1月にセンブコープ・マリーン・リミテッドに名称変更。造船所所在地は、シンガポール、インドネシア、中国及びブラジル。従業員数、5,225人。
 
表3 センブコープ・マリーンの売上等の推移
(単位:百万Sドル)
  92年 93年 94年 95年 96年 97年 98年 99年 00年 01年
売上 380 334 334 325 371 662 934 921 763 854
税引前利益 94 88 72 52 47 68 102 111 96 103
注) 97年以前の数字はジュロン造船所のもの。99年の数字から、合併に伴う1997年8月以降のセンバワン造船所等の業績が含まれている。
 
表4 センブコープ・マリーンの分野別売上構成
(単位:百万Sドル)
分野 センブコープ・マリーン
2001年 2000年
船舶修繕 487 382
新造船 104 84
改造・オフショア 204 244
その他 60 53
合計 854 763
 
表5 センブコープ・マリーンの主要株主(第5位まで)
株主の名称 保有株数 シェア(%)
Sembawang Corporation Ltd 888,803,206 63.15
DBS Nominees Pte Ltd 128,499,660 9.13
Raffles Nominees Pte Ltd 72,948,957 5.18
Ishikawajima-Harima Heavy Industries Co. Ltd 60,000,000 4.26
Citibank Nominees Singapore Pte Ltd 49,979,675 3.55
全 体 1,407,388,580 100.00
 
(2)ケッペル・グループ
 ケッペル・グループは、シンガポールに本拠を置き、世界22カ国に事業を展開している。総従業員数は、約16,200人で、主な事業は造船・オフショア関連、エネルギー・インフラ関連、不動産、銀行・金融、運輸・通信など。
 2001年のグループ全体の総売上は、前年比5.5%減の59億Sドルで、営業損益は前年比5・4%減の6億2,000万Sドルの赤字であった。税引き前利益も前年比6.2%減の6億6,500万Sドルの赤字であった。
 ケッペル・グループ内の主な造船所としては、シンガポール国内にKeppel Hitachi Zosen(Hitachi Zosen Singapore(修繕・改造・新造)*、Keppel Shipyard(Keppel Hitachi Zosenの100%子会社)(修繕・改造)、Keppel Singmarine Dockyard(修繕・新造)、Offshore Technology Development(ジャッキシステム製造)及びKeppelFELS(オフショア・リグ)、フィリピンにKeppel Philippines Marine(修繕・新造)、Keppel Cebu shipyard(修繕・新造)、ベトナムにKeppel Bason Shipyard & Engineering Ltd(修繕・新造)、アラブ首長国連邦にArab Heavy Industries(オフショア・リグ建造・修繕),アゼルバイジャンにCaspian Shipyard Company(オフショア・リグ建造)、ノルウェーにOffhore & Marine A/S(オフショア・リグ建造・修繕)、米国にAMFELS Inc(オフショア・リグ建造・修繕)、ブラジルにBrasFELS SA(オフショア・リグ建造)、FELS Setal SA(オフショア・リグ建造)がある。
*: Keppel Hitachi Zosenは、99年1月2日に日立造船シンガポールとKeppel Shipyardと合併した。
また・2001年5月1目、Keppel FELS Energy & Infrastructureと統合し、ケッペル・グループのオフショア・マリン部門としてケッペル・オフショア&マリン(ケッペルO&M)となった。
 
 
表6 ケッペル・グループの売上高・税引前利益の推移
(単位:百万Sドル)
1997 1998 1999 2000 2001
売上高 3,485 3,794 4,015 6,218 5,882
税引前利益 441 283 662 709 665
 
図4ケッペル・グループの分野別売上げシェア
 
1)シンガポール国内の主な造船所の実績
(1)ケッペル日立造船(船舶修繕・改造および船舶製浩)
 アメリカ経済の減速を受け、VLCCのレートが65,000USドルから28,000USドルヘと急激な下落が起こるなど、2001年の海運市場は低迷した。しかしながら、2001年のケッペル日立造船の売上高は、対前年80%増の7億5,490万Sドル、営業損益はケッペル・グループの不動産、金融部門が落ち込む中、対前年の980万Sドルから3,520万Sドルヘと大幅な黒字となった。
 また、船舶の曳航事業も売上高が対前年比12%増の2,800万Sドル、税引き前利益も対前年47%増の920万Sドルであった。
 修繕船の分野では、Keppel Hitachi Zosen Singaporeのシンガポール3社(Hitachi Zosen Singapore、Keppel Shipyard、Keppel Singmarine Dockyard)の合計修繕船隻数が、2000年の542隻から2001年は499隻に減少した。
 改造・改良工事の分野では、FPSO及びFSOへの改造工事、コンテナの家畜運搬船への改造工事、浚渫船及びテンダーバージのジャンボ工事を各1隻づつ行った。また、2隻のFPSOへの改造工事が2002年中に完工予定。
 新造船の分野では、ケーブル敷設船2隻(合計契約隻数6隻)、セミサブ型自立式テンダーリグ1隻、ホッパーバージ2隻、タグボート2隻及び60トンクレーン搭載のバージ1隻を引き渡した。また、2001年に多目的サプライ船1隻、タグボート4隻、アンカーハンドリング兼サプライボート1隻の新造の新規契約を行っている。
 同社は、今後の見通しとして修繕船については、ガスキャリアー、タンカー、バラ積み船等の海運市場が今後も弱含みで推移し、修繕分野での量的増加が見込めないとしており、激しい市場競争が続くとしている。このような中で、同社は日系船主のLNG船の修繕を実施するなど、修繕対象船舶が高付加価値船へ移行しつつあるように見える。改造・改良工事については、オフショア分野が好調であり、FPSO/FSOへの改造工事に期待している。
 新造船については、オフショア分野の好調を受けた、サプライベッセルやアンカーハンドリング船の建造に期待を寄せている。また、えい航事業は引き続き好調と予想している。
 
(2)ケッペルFELSを中心とするケッペル・グループのオフショア部門
 KeppelFELS(オフショア・リグ)を中心とするKeppelグループのオフショア分野では、2001年は世界経済の低迷、とりわけアメリカでの同時多発テロがそれを加速し、オフショア部門が減速するという不安感にとらわれていたが、メキシコ湾及び西アフリカでのジャッキアップリグ及びセミサブ型オイルリグの活況が、この不安感を払拭した。
 ケッペル・グループオフショア部門の2001年の売上は、2000年の3億1,700万Sドルから倍増し、7億3,400万Sドルとなった。
 2001年の新規契約のうち、新造はジャッキアップリグ1隻、セミサブ型オイルリグ1隻、アップグレードはジャッキアップリグ5隻、セミサブ型オイルリグ2隻、テンションレグの船体建造1隻等があり、海外分としてブラジルのFELS SETALでのEPSOへの改造1隻、アンカーハンドリング兼サプライベッセル1隻等がある。
 2004年まで仕事量を確保しており、「市場により近く、お客様により近く」を戦略の基本としている同部門は、西アフリカ、ロシア極東マーケツトをターゲットにするとともに、中国等の低船価造船所への対抗措置として2001年5月1日、Keppel Hitachi Zosenを完全子会社化するとともに同社をオフショア部門に統合し、ケッペル・グループのオフショア・マリン部門としてケッペル・オフショア&マリン(ケッペルO&M)となった。







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