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【5】運輸関連産業
(1)旅行者の動向
 2001年の外国人シンガポール来訪者数は、対前年比2.3%減の752万人と同時多発テロの影響を受けた形で前年までの大幅な伸びから一転前年比マイナスとなった。ASEAN、オーストラリア等からの旅行者の増加があったものの、2000年には全旅行者の12.1%を占めていた日本からの旅行者が前年比18.7%減の76万人と大幅に減少したことが響いた。
 なお、シンガポールの空の玄関であるチャンギ空港では、2001年に前年比1.6%減の2656万人の旅行者を扱った。また、2002年にMRT(Mass Rapid Transit;大量高速輸送システム)が延長され、空港と市内とを結んでいる。
 
表10 シンガポールヘの主な国・地域別来訪者数の推移
   1999 2000 2001 1999 2000 2001
千人 対前年比(%)
日本 860.7 929.9 755.7 2.0 8.0 -18.7
ASEAN 2,224.0 2,427.7 2,520.0 17.8 9.2 3.8
中国・台湾(注11) 690.4 725.2 719.5 5.3 5.0 -0.8
オーストラリア 466.1 510.3 550.5 9.1 9.5 7.9
英国 401.5 445.0 459.9 12.2 10.8 3.4
米国 351.5 385.6 343.7 2.6 9.7 -10.9
全来訪者数 6,958.2 7,691.4 7,518.6 11.5 10.5 -2.3
注14) 香港を含まない。
注15) 陸上交通を利用したマレーシア人旅行者は含まない。
 
(2)貨物輸送
(1)航空輸送
 航空貨物取扱量は、対前年比10.5減の151万トンとなった。
 
表11 シンガポールにおける航空機による貨物取扱量等の推移
注16) 出典:Economic Survey of Singapore 2001(シンガポール貿易産業省)。
 
(2)海上輸送
 海上貨物やコンテナ取扱量が減少したにもかかわらず、2001年のシンガポール港の寄港船腹量は対前年比5.5%増の9億6,000万総トンと総トンベースで世界第1位の座を維持した。寄港隻数は対前年比0.6%微増の146,265隻であった。コンテナ取扱量は対前年8.9%減の1,560万TEUとなったが、香港に次ぎ世界第2位であった。
 シンガポール籍船腹量は、2001年現在2,320万総トン、世界第7位の船腹量を誇っている。バンカー油の2001年の供給量は、2,040万トン(1999年;1,890万トン)と増加している。
 
表12 シンガポールの海上貨物取扱量等の推移
注17) 出典:Economic Survey of Singapore 2001(シンガポール貿易産業省)。2001年は、暫定値
注18) 入港船腹量には、全ての国際航海に従事する船舶と75総トン以上の旅客船が含まれる。
注19) MFT:Million Freight Tonnes
 
(3)造船・舶用工業
 製造業が全体として低迷する中、船舶修繕業、船舶製造業及びオフショア部門からなるシンガポール海事産業は最高の売上げを記録し、急回復を遂げた。
 シンガポール海事産業の2001年の総売上げは、1998年の38億Sドルを抜き過去最高の40億3千万Sドルであった。これは、前年の27億6千万Sドルに対して46%も増加した。
 船舶修繕部門は、ここ数年同様シンガポール造船業の主力部門であり、全売上げの63.5%を占めている。2001年の売上げは対前年比52%増の25億5,900万Sドルとなった。シンガポール海事港湾局(Maritime and Port Authority of Singapore, MPA)によれば、2000年にシンガポールに修繕のため訪れた船舶(沖修理を含む)は、隻数は6,760隻で2000年に比べ隻数で2,164隻、比率で47%の増加となり、総トン数でも4,116万総トンと2000年に比べトン数で514万総トン、率で14.3%の増加となった。
 新造船部門の売上げは、5億4,400万Sドルと2000年の4億5,400万Sドルに対して19.8%の増となり、全売上げの13.5%を占めた。
 オフショア部門売上げも、9億2,700万Sドルと2000年の6億2,600万Sドルに対して48.1%の増となり、全売上げの23%を占めた。
 シンガポール造船業は、競争力を強化するため、合理化、コストダウンを図っているが、需要の伸びに対応したため、2001年の労働者数は対前年16%増の34,871人であった。2001年の労働者一人当たり付加価値額は、対前年13,000Sドル増の51,000Sドルとなり新たな段階に入っている。







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