6−3. 海洋科学研究プロジェクト(まとめ)
本節ではMSR第九章で取り上げられている主要海洋科学研究プロジェクトについて、補足・整理する。国際的な海洋環境モニタリング・観測プロジェクトについては、その詳細は省略し、その相関係整理に留めた。
6−3−1. 海洋環境モニタリング・観測プロジェクト(UK)
6−3−1−1. 国家海洋モニタリングプログラム(NMMP)
英語名称 |
National Marine Monitoring Programme |
組織略称 |
NMMP |
組織形態 |
MPMMGのプログラム |
人員数 |
不特定 |
所在地 |
N/A |
設立年 |
1987年 |
予算規模 |
不明 |
目的 |
MPMMGの主要目的の一つである、「海洋環境モニタリングが国内・国際的要求を満たしており、コーディネートされ、コスト効率良く行われることを確かなものにする」ことを達成するための具体的プログラム |
管轄/活動概要 |
(1)Phase1(NMP) 1987−88年にMPMMGはUKの河口と沿岸水域で行われているモニタリングの見直しを行った。見直し結果を受け. 1993年には国際的なモニタリング要求を満たすために、オフショア水域も含む87ケ所の観測所から成るモニタリングネットワークが構成され、水質・堆積物化学特性・生物相多様性などについて定期的なサンプリングが開始された。 最初のサーベイレポート(Survey of the Quality of UK Coastal Waters)は1998年に発表された。 (2)Phasel(NMMP2) その後、プログラムはNMMP(National Marine Monitoring Network)と改称され、第2次調査として、特に約110ケ所の安定した堆積物サイトに焦点を当て、堆積物化学特性や底棲生物集合体などについて、より詳細なサーベイが行われた(NMMP−Phase2)。 NMMP開始の主な契機はEU指令やOSPAR条約で定められる加盟国の海洋環境モニタリング義務である。例えばOSPAR条約では、条約締結国はOSPAR海域における汚染を防止し、廃止するためにあらゆるステップを取ることが義務付けられている。OSPAR Joint Assessment and Monitoring Programme (JAMP)とNutrient Monitoring Programme(NMP)に基づき、北東大西洋域の環境品質モニタリングが条約締結国によって行われており、NMMPがUKにおけるモニタリング活動である。 MPMMGのNMMPワーキンググループは、海洋環境保護モニタリングに関して責任を負っている、以下の政府系機関のメンバーで構成されている。 ●環境・食料・農村省(DEFRA) ●環境・漁業・養殖科学センター(CEFAS) ●スコットランド政府環境・農村省(SEERAD) ●漁業リサーチサービス(FRS) ●北アイルランド農業・農村開発省(DARDNI) ●環境エージェンシー(EA) ●スコットランド環境保護エージェンシー(SEPA) ●北アイルランド環境・自然文化遺産サービス(EHS)
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最近の活動成果例 |
National Monitoring Programme Survey of the Quality of UK Coastal Waters, Nov. 1998(最初の包括的NMPレポート) |
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6−3−1−2. 海洋環境資源マッピングと情報データベース(MERMAID)
英語名称 |
Marine Environmental Resource Mapping and Information Database |
組織略称 |
MERMAID |
組織形態 |
ブリテン島とアイルランド周辺の海洋サイト、生息地、生物種についての情報へのアクセスをより広範に可能とするためにJNCCによって開発、管理されているデータベース |
人員数 |
N/A |
所在地 |
N/A |
設立年 |
不明 |
予算規模 |
N/A |
目的 |
1998年4月から2ヵ年計画でスタートしたJNCCの海洋情報プロジェクトはUKレベルでの海洋生息地と生物種に関する情報を、より広範な目的(特に海洋SAC確立のサポート)のために管理し、敷衍することを目的としていた。このプロジェクトの一環としてMERMAIDは開発された。 |
管轄/活動概要 |
MERMAIDの開発は、National Biodiversity Networkとも密接に関連しており、インターネットを介してデータベース情報をユーザに届けることが技術的に可能であり、有益であることを示すデモンストレーション・プロジェクトとなっている。 MERMAIDのデータの元となっているのは海洋自然保護調査(RMNC)によって収集されたデータである。RMNCは1987年に開始され、その主な目的は、UKの海底生息地・生物群・生物種の特定にあった。1990年の環境保護法発効により、RMNCはJNCCに引き継がれた。 |
最近の活動成果例 |
MERMAIDデータベースは、以下のURLでアクセス可能。 http://www.jncc.gov.uk/mermaid |
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6−3−1−3. 海洋生物多様性と気候変動プロジェクト(MarCLIM)
英語名称 |
Marine Biodiversity and Climate Change |
組織略称 |
MarCLIM |
組織形態 |
Marine Biological Association(MBA)によって主導された、プリマス海洋研究所(PML)、スコットランド海洋科学協会(SAMS)、プリマス大学、コーク大学のパートナーシップによるプロジェクト。UK Climate Impact Programme(UKCIP)の下で実施されている。プロジェクト期間は4年間を予定。 |
人員数 |
不明 |
所在地 |
N/A |
設立年 |
2001年 |
予算規模 |
不明であるが、イングリッシュ・ネイチャー、DEFRA、WWFなど複数の政府系機関、NGOから資金提供を受けている。 |
目的 |
UK、アイルランドにおける海洋環境の保全・管理・保護のために、潮間帯の岩場に生息する海岸生物相を用いて気候変動の影響の調査と予測を行う。 |
管轄/活動概要 |
潮間帯に棲息する生物は、水温の影響を受けやすい、広範囲のサンプリングが容易、生物学的研究が進んでいる、過去の研究データも整備されていることなどから、気候変動の影響を測る指標として適している。これらの生物を生物学的指標として利用し、過去50年間に亘って起こった変化について調査し、将来の変化の予想精度を上げることを目指している。 UK海域における海洋生物多様性に気候変動が及ぼす影響を追跡調査し、年次レポートを作成するためのコスト効率の良いネットワークの構築も目標とされている。 |
最近の活動成果例 |
現在プログラム進行中であり、結果は未発表。 |
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6−3−2. 海洋環境モニタリング・観測プロジェクト(国際)
MSR第九章でUKも活動に参加しているとして取り上げられている、国際的な海洋環境モニタリング・観測プロジェクトについて、その相関関係を下記の図6−1に整理する。
図6−1:国際的海洋環境モニタリング・観測プロジェクト
(拡大画面:13KB) |
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WMO: |
世界気象機関(World Meteorological Organization) |
IOC: |
ユネスコ政府間海洋学委員会(Intergovernmental Oceanographic Commission) |
ICSU: |
国際科学会議(International Council for Science) |
UNEP: |
国連環境計画(United Nations Environment Programme) |
WCRP: |
世界気候研究プログラム(World Climate Research Programme) |
GOOS: |
世界海洋観測システム(Global Ocean Observing System) |
GCOS: |
世界気候観測システム(Global Climate Observing System) |
IGBP: |
地球圏・生物圏国際協同研究計画(International Geosphere−Biosphere Programme) |
WOCE: |
世界海洋循環実験(World Ocean Circulation Experiment) |
CLIVAR: |
気候変動予測実験(Climate Variability and Predictability Experiment) |
OOPC: |
気候に関する海洋観測パネル(Ocean Observations Panel for Climate) |
GLOBEC: |
世界海洋生態系国際共同研究(Global Ocean Ecosystem Dynamics) |
UOP: |
CLIVAR海洋上層パネル(Upper Ocean Panel) |
GODAE: |
全球海洋データ同化実験(Global Ocean Data Assimilation Experiment) |
ARGO: |
アルゴ計画(Array for Real−time Geotropic Oceanography) |
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