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6−2. 海洋科学研究に関するUK政府系組織(まとめ)
 
 MSR第九章要約文中にて一部整理したが、本節ではMSR第九章で取り上げられている「海洋科学研究に関係するUK政府系組織」について、補足・整理する。
 
 なお、中央政府及び地方政府の省についての情報は省いた。また、MSR発表時がUK政府のエージェンシー、リサーチカウンシルの5年毎の見直し時期と重なっており、組織再編を含めた各組織の活動の見直しが実施されている模様である。本報告書作成のためめ調査時点(2002年12月)において最新の組織データを収集することに努めたが、その後、組織再編や管轄変更が行われた組織が存在する可能性がある事をお断りしておく。
 
6−2−1. 環境保護組織
 
6−2−1−1. 環境エージェンシー(EA)
 
英語名称 Environment Agency
組織略称 EA
組織形態 Non−Departmental Public Body(NDPB)
人員数 1万人強
所在地 ヘッドオフィスはロンドンとブリストル
イングランド及びウェールズ内に全8ケ所のナショナル・センター
イングランド及びウェールズ内に全26ケ所の地区事務所
設立年 1995年環境法(Environment Act)に基づき設立
予算規模 DEFRA及びウェールズ政府からのスポンサーシップを受けている。
2002年3月末会計で、収入・支出共に7億ポンド程度。
収入のうち5億ポンド以上が税収・ライセンス収入で、政府助成金は1億ポンド強。
目的 イングランドとウェールズにおける大気・土壌・水の統合管理を通した、以下の項目を含む環境保護と改善。
洪水・環境汚染事故対策
産業の環境へのインパクト低減
河川や沿岸水域の清掃
汚染土壌撤去
野生生物生息地の改善
管轄/活動概要 (1)環境保護
●大気、土壌汚染防止と制御
●汚染事故対応
●放射性物質規制
●廃棄物規制と管理
●水質
●土壌品質
(2)水域管理
●洪水防御と洪水警告
●水源
●保全(特に河川地域と湿地帯)
●漁業(鮭、淡水魚、淡水・河口・沿岸水域漁場のウナギ。特定地域においては、沿岸から3マイル内の海洋漁業の規制力も持つ)
●航行(総長875kmの河川水路の管理)
●レクリエーション(カヌー、釣りなど、内地水域と沿岸水域における活動)
(3)規制関連活動
●許認可
様々な許可証、ライセンス、同意書、登録証の発行
●助言提供
ユーザの活動に対するライセンスの要否に関するアドバイス、活動が環境に与える影響を軽減するためのアドバイスなど
●捜査とモニタリング
ライセンス保持者が規定を満たしているかどうか定期的な捜査とモニタリング
●強制執行
環境犯罪の訴追
最近の活動成果例 (1)洪水と沿岸防護長期プロジェクト
DEFRAとEAの洪水対策・沿岸防護ジョイントR&Dプログラムの成果が. 30〜100年の長期に亘る将来の社会・経済・環境問題に取り組むためのリスクベースシナリオの作成に使われる。
(2)干満のある河口(estuaries)分類スキームの開発
EUの水枠組み指令実施のための研究の一つ。
(3)化学物質による内分泌物撹乱のリスクアセスメントに関する研究
(4)”Turning the tide”プロジェクト
イングランド唯一のマグネシウムライムストーン海岸線の12マイルに亘る修復事業
 
6−2−1−2. スコットランド環境保護エージェンシー(SEPA)
 
英語名称 Scottish Environment Protection Agency
組織略称 SEPA
組織形態 スコットランド政府エージェンシー
人員数 約900人
所在地 SterlingにあるCorporate Officeを含めて、スコットランド各地に22ケ所のオフィス
設立年 1995年環境法(Environment Act)に基づき設立
予算規模 政府助成金と同意書(consent)発行手数料などの課金スキームが主要収入源。
2001年3月末会計で、収入・支出ともに3千4百万ポンド強。
目的 スコットランドの大気・土壌・水の環境保護。
スコットランドのために効率的で統合的な環境保護システムを提供し、それによって環境を改善し、政府の持続可能な開発目標に寄与する。
管轄/活動概要 (1)SEPAが規制している対象
●水(地表水、3マイル限界までの干満のある水、地下水)を汚染する可能性のある活動
●大気を汚染する可能性のある活動
●廃棄物の貯蔵、移送、処理
●放射性物質の保管と処理
(2)その他のSEPAが主な責任を負っている事項
●洪水警報システムの保守
●国家廃棄物戦略(National Waste Strategy)の実施
●産業サイトにおける重大事故のリスクコントロール
●放射能事故モニタリングネットワークのスコットランド分の運営
基本的には、SEPAはスコットランドにおいてEAと同様の権限を持つ機関であるが、例えば、EAは洪水警報と防御の責任を負っているのに対し、SEPAの責任範疇は洪水警報のみ(洪水防御はスコットランドでは地方自治体の責任)など、細かい違いはある。
最近の活動成果例 (1)スコットランド東部沿岸線の環境品質目標報告書
(2)2002年度版遊泳域水質データ
 
6−2−1−3. 北アイルランド環境・自然文化遺産サービス(EHS)
 
英語名称 Environment and Heritage Service
組織略称 EHS
組織形態 北アイルランド政府環境省のエージェンシー
人員数 約400人
所在地 ベルファスト
設立年 1996年
予算規模 2001年3月末会計で、オペレーションコストが約2千8百万ポンド。そのうち、環境保護関連項目で研究所コストとして2. 2百万ポンド。
目的 現在及び未来の世代のための、自然及び人造の環境の保全
管轄/活動概要 (1)大気、水、陸地汚染のコントロール
(2)自然とカントリーサイドの保全、生物種の保護
(3)歴史的建造物や遺構の保護、記録、保全
(4)環境と文化遺産保護に関する公衆啓蒙活動
最近の活動成果例 (1)北アイルランド生物多様性戦略レポート
(2)北アイルランド生物多様性戦略実施計画2002/2005レポート
(3)北アイルランドの富栄養化状況レポート
(4)生物種目録シリーズ







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