4.4 甲板機械(2001年3月/国際船艇)
国際船艇社が16の造船企業を対象に行った調査によると、甲板機械の国産化率は、低下しており、その市場は外国製品及び外国の技術で作られた国産品で占められている。
甲板機械全体では、特に独・ノルウェーの欧州メーカーが優勢である。(表1〜表4)Ulsteinは、中国のどの企業とも提携していないが、大きなシェアを持っており、また、Hatlapaは南京航海儀器二廠と提携して、係船機械を製造している他、本国からもクレーン等を中国に輸出している。辻産業や三菱重工業等の日本企業は、中国への直接の輸出は少ないが、川崎重工業及びIHIと提携した武漢船用机械廠が、甲板機械で大きなシェアを持つ。(表5)
欧州のメーカーが、中国で大きなシェアを持つ理由は、(1)長い歴史に基づくブランド力(2)産官が協力してのR&Dと投資(3)多くの代理店等販売前、販売後を含む充実したサービス(4)人件費の安い韓国・中国等への技術移転・ライセンス供与(5)Mac-GREGOR、Ulstein、Hugglundに見られる多国籍企業の形成(船主が含まれる)がある。
現在の中国企業の技術は、80年代、90年代前半のものであり、中国のWTO加盟で外国企業の参入が進む中、外国技術の導入が必要だが、資金等の面で問題がある。
(国際船艇 2001年3月)
表1 中国製品の搭載率
|
操舵装置 |
係船機械 |
クレーン |
1991〜1994 |
80% |
77% |
41% |
1996〜1997 |
40% |
56% |
30% |
1999〜2000 |
48% |
46% |
14% |
|
1)1991〜1994は、8造船所で建造された100隻、1996〜1997は主要造船所で建造された68隻が対象。
表2 操舵装置メーカーとシェア(2000年)
企業名 |
数量(台数) |
% |
Ulstein |
30 |
32 |
武漢船用机械廠 |
25 |
27 |
南京航海儀器二廠 |
13 |
14 |
KGW |
8 |
8 |
Porsgrunn |
7 |
7 |
南京航標廠 |
7 |
7 |
その他 |
5 |
5 |
|
表3 係船機械メーカーとシェア(2000年)
企業名 |
数量(台数) |
% |
武漢船用机械廠 |
28 |
25 |
Ulstein |
23 |
20 |
南京緑州机器廠 |
20 |
18 |
Hatlapa |
17 |
15 |
KOCKS |
12 |
11 |
その他 |
12 |
11 |
|
表4 クレーンメーカーとシェア(2000年)
企業名 |
数量(台数) |
% |
Hagglund |
24 |
23 |
Mac・GREGOR |
18 |
17 |
NMF |
15 |
14 |
華南船用机械廠 |
12 |
12 |
辻産業 |
8 |
8 |
Phinsoll |
6 |
6 |
Ulstein |
6 |
6 |
その他 |
15 |
14 |
|
表5 甲板機械での技術提携
項目 |
技術供与メーカー |
製造メーカー |
甲板機械(クレーン、係船機械) |
IHI |
武漢船用机械廠 |
操舵装置 |
川崎重工業 |
武漢船用机械廠 |
甲板機械(電動) |
BLM |
武漢船用机械廠 |
クレーン |
Liebherr |
南京緑州机器廠 |
クレーン |
Hugglund |
南京緑州机器廠 |
カーゴウインチ |
Blohm, Voss |
南京緑州机器廠 |
甲板機械 |
Hatlapa |
南京緑州机器廠 |
クレーン |
Norlift |
華南船用机械廠 |
|
|